まつだい芝峠温泉レビュー|「雲海」に宿泊、星空と朝の絶景露天風呂(新潟県十日町市)

湯め活びよりまつだい芝峠温泉体験記アイキャッチ画像

越後の山並みを見渡す、標高約380mの芝峠。
尾根の上に建つ一軒宿には、内湯と露天風呂、それぞれに異なる自家源泉が引かれています。
塩分を多く含むお湯と、かすかな鉱物の香り。湯口から流れる音に耳を傾ければ、地下深くに広がる水の世界まで想像が膨らみます。
谷あいを白い雲が埋める朝には、湯けむりの向こうに、越後の山々が島のように浮かび上がります。

この記事でわかること
  • まつだい芝峠温泉の宿泊体験記
    夕方のチェックインから翌朝の出発まで、1泊2日の滞在を紹介します。
  • 2本の自家源泉と温泉分析書の違い
    内湯と露天風呂で異なる源泉温度や泉質、成分の特徴を読み比べます。
  • 内湯と露天風呂の湯ざわりと香り
    実際に浸かって確かめた湯色や香り、湯口の様子を振り返ります。
  • 雲海を望む露天風呂と夜空の絶景
    星空の下での入浴と、早朝に出会った雲海の光景をたどります。
  • 朝食と客室で過ごす温泉宿の一夜
    畳の客室で過ごした夜や、焼き魚と炊きたてご飯の朝食を紹介します。
目次

まつだい芝峠温泉ってどんなところ? | 4コマ漫画で体験してみる

ゆめにゃん

猫は入れないからフィクションにゃ…

まつだい芝峠温泉の魅力を詰め込んだ4コマ漫画。2本の源泉や雲海、周辺の郷土グルメと棚田を紹介。

まつだい芝峠温泉 体験記

12月上旬の平日、松之山温泉で雪見風呂を楽しんだあと、夕暮れの芝峠へ車を走らせました。
夜の浴場で2枚の温泉分析書を読み比べ、内湯と露天風呂、それぞれのお湯をじっくり観察。
星空の下で湯と冷水を行き来した翌朝、眼下の谷あいには白い雲海が広がっていました。
17:40頃の到着から翌朝9:30頃の出発まで、越後の高台で過ごした1泊2日の記録です。

この体験記は、訪問当時の個人的体験と記憶をもとに情報を交えて執筆しています。季節や営業状況、時間の経過などにより、掲載内容が現在と異なる場合があります。お出かけ前には、各施設の公式サイト等で最新情報をご確認ください。

夕暮れの芝峠へ到着、雪国の一軒宿で過ごす静かな夜

松之山温泉を出発し、雪の気配が残る山道を登って芝峠へ。到着した頃には周囲の山並みも薄暗く、宿の窓から漏れる明かりが目に入りました。夕食なしの宿泊プランを選んだため道中で用意した食事を客室で広げてから、夜の大浴場へ向かいました。

  • 夕闇の峠道を登って到着
    雲海を眺めながら入浴できる宿として、以前から気になっていた「まつだい芝峠温泉 雲海」さん。直前に立ち寄った松之山温泉では雪が降っていましたが、芝峠へ向かう道中では次第に雪が止んでいきました。17:40頃に宿の敷地へ到着し、車を降りて周囲を見渡します。山の稜線はすでに黒い影となり、建物の窓から漏れる明かりが夕闇に浮かんでいました。
  • 屋根付き駐車場に車を停める
    駐車場は建物の下部に設けられており、屋根のあるスペースに車を停められました。夜間に雪が降った場合を考えると、車が直接雪に覆われにくい構造はありがたいものです。荷物を降ろして防寒着の襟を立て、玄関へ向かいました。振り返ると、駐車場の向こうには暗く沈んだ山の斜面。12月の山あいらしい冷気が頬をかすめました。
  • 畳の客室で夕食を広げる
    受付で鍵を受け取り、静かな廊下を通って客室へ。扉を開けると畳敷きの部屋が広がり、障子の向こうには夜の山並みがかすかに見えました。今回は夕食なしの宿泊プランだったため、道中のスーパーで購入したおにぎりや煮物、お惣菜をテーブルに並べます。運転中の出来事を振り返りながら食事を済ませ、お茶をすすってしばらくテレビを眺めました。
  • 21時を過ぎて大浴場へ向かう
    食事のあとも部屋でゆっくり過ごしていると、時計は21時を回っていました。日帰り入浴の時間帯を過ぎ、館内の物音も少なくなっています。コップ1杯の水で水分補給を済ませ、浴衣とタオルを持って部屋を出ました。廊下の照明をたどりながら、頭の中では2本の自家源泉のことが気になり始めていました。どんな湯ざわりなのか、まずは分析書を確認するところから始めます。
入浴前に温泉分析書を熟読、2本の自家源泉を見比べる

21:30頃、大浴場の脱衣所で2枚の温泉分析書を見つけました。露天風呂の2号源泉と内湯の1号源泉。並んだ数値を見比べると、泉温だけでなく、含まれる成分にも違いがありました。実際のお湯に触れる前に、まずは分析書の前で足が止まってしまいました。

  • 脱衣所で2枚の分析書と対面
    脱衣所に入ると、壁には2枚の温泉分析書が並んでいました。左側が露天風呂で使用される2号源泉、右側が内湯で使用される1号源泉です。同じ施設に2本の自家源泉があることは事前に調べていましたが、こうして数値を並べて見ると興味が膨らみました。額縁のガラスに照明が反射するため、少し立ち位置を変えながら、泉温や成分の欄を順番に目で追いました。
  • 露天の2号源泉は47.9℃
    まずは露天風呂の2号源泉から。分析書には、泉温47.9℃、pH7.8、ナトリウム-塩化物温泉と記されています。溶存物質は8,315mg/kgで、塩化物イオンは4,820mg/kg。知覚的試験の欄には「淡黄色透明」「強塩味」「微油臭」という文字もありました。塩分を多く含むお湯で、しかも油を思わせる香りがあるらしい。数字を眺めながら、露天風呂の湯口が気になってきました。
  • 内湯の1号源泉は22.7℃
    続いて内湯の1号源泉を確認します。こちらは泉温22.7℃、pH7.6のナトリウム-塩化物冷鉱泉です。溶存物質は8,190mg/kgと2号源泉に近いものの、炭酸水素イオンは573.6mg/kg。2号源泉の53.7mg/kgとはかなりの差があります。さらに鉄(Ⅱ)イオンも18.0mg/kgと記載されており、2号源泉の0.1mg/kgとは対照的です。同じ塩化物系のお湯でも、数字の並びはずいぶん異なっていました。
  • 数字を頭に刻んで浴場へ
    2本とも成分総計は8g/kg台で、浸透圧による分類では等張性にあたります。一方は47℃台の高温泉、もう一方は22℃台の冷鉱泉。塩分を多く含む理由を考えると、かつての海との関係まで想像したくなりますが、分析書だけで水の由来を判断することはできません。内湯は炭酸水素イオンが多いので、湯ざわりにも違いがあるのでしょうか。そんな予想を抱えながら衣服を脱衣籠に収め、浴室の扉を開けました。
夜の内湯で湯口を観察、澄んだ湯色と香りを確かめる

浴室に足を踏み入れると、湯けむりの混じる湿った空気が広がっていました。洗い場で身体を洗い流し、利用者のいない主浴槽へ。湯口から注がれるお湯の音、透明な水面に広がる波紋、かすかな鉱物の香り。分析書の数字を頭に置きながら、ひとつずつ確かめました。

  • 無人の浴室に響く湯の音
    浴室に入ると、天井付近には薄い湯けむりが漂っていました。まずは洗い場のカランで身体を洗い流し、シャワーを止めて周囲を見渡します。この時間帯、ほかに利用者の姿はありませんでした。耳に届くのは湯口から流れる水音と、浴槽に落ちるお湯の音だけ。タイル張りの床を歩き、波立ちの少ない主浴槽へ近づきました。
  • 淡黄色の記載と透明な水面
    浴槽に足を入れると、湯温は体感で41℃前後。分析書には淡黄色透明と記されていましたが、浴室の照明で見る限り、お湯はほとんど無色に近い透明さでした。底のタイルや目地まで見通せるため、少し身をかがめて湯舟の中を観察します。見る角度を変えても目立った濁りはなく、静かな水面には照明の光がゆらゆらと映っていました。
  • 湯口から漂うかすかな鉱物の香り
    湯口の近くに移動し、注がれるお湯の香りを確かめました。分析書にある微油臭を意識していましたが、その場では金属や湿った土を連想する、ごく淡い鉱物のような香りが印象に残りました。湯口から生まれた波紋は浴槽の端へ広がり、縁からはお湯が静かに流れ出ています。オーバーフローの様子を眺めながら、湯面の動きにしばらく目を向けました。
  • 指先に残るなめらかな湯ざわり
    肩までお湯に浸かり、腕をゆっくり動かしてみました。さらりとした水とは少し異なる、密度のあるような湯ざわり。手先で水面をなでると、指の間をお湯が滑らかに通り抜けていきます。分析書にあった炭酸水素イオンの多さを思い出しましたが、この感触がどの成分によるものかまでは判断できません。浴槽の縁に首を預け、天井に響く水音を聞いたあと、ガラス扉の向こうの露天風呂へ向かいました。
星空の露天風呂で湯を味わい、夜の湯使いに思いを巡らす

露天風呂の扉を開けると、12月の冷気が一気に流れ込んできました。頭上には星が瞬き、眼下の谷あいには白い雲のような帯が浮かんでいます。内湯とは異なる香りと湯ざわりを確かめ、水風呂にも浸かりました。浴場を出る前には、もう一度分析書と掲示を読み直しました。

  • 星が瞬く夜空と白い谷あい
    ガラス扉を押し開け、露天風呂へ出ました。冷たい風が頬をかすめ、頭上には数え切れないほどの星が瞬いていました。浴槽へ向かう途中、眼下に目を向けると、暗い谷あいに白い塊が帯状に連なっていました。雲なのか霧なのか、夜の暗さでは細かな輪郭まで確かめられません。それでも、山々の間に白いものが漂う光景をしばらく眺めてから、湯舟へ足を入れました。
  • 露天に漂う油を思わせる香り
    露天のお湯は内湯と比べて少し熱めで、体感では42℃近い印象でした。外灯が水面を照らすと、透明な湯色にほんのり黄色が混じっているようにも見えます。湯口の近くでは、内湯とは異なる、油を思わせるかすかな香りが鼻先をかすめました。浴槽の縁には細かな析出物らしき付着も見られます。湯の花は暗くて確認できませんでしたが、湯口の音を聞きながら、星空と谷の白い帯を交互に眺めました。
  • 水風呂と露天を行き来する夜
    露天でしばらく過ごしたあと、サウナ室の隣にある水風呂へ向かいました。掛け水をしてから入ると、夜の外気とはまた違う鋭い冷たさが伝わってきます。1分ほどで水風呂を出て、再び露天風呂へ。今回はこの行き来を3回繰り返しました。冷水の冷たさと塩化物泉の熱さ、その対照的な温度が記憶に残っています。星空を眺めながら湯舟の縁に腕を預け、湯けむりが風に流れていく様子を追いました。
  • 入浴後に湯使いの掲示を再確認
    浴場を出る前に脱衣所へ戻り、温泉分析書と利用状況の掲示を改めて読みました。加温、循環ろ過、消毒の記載があり、2本の源泉を浴槽で使うための設備に考えが向かいます。とりわけ22.7℃の冷鉱泉を浴槽の温度まで上げるには、加温が欠かせません。自分が入浴した際には強い薬品臭は気にならず、かすかな鉱物や油を思わせる香りが印象に残りました。実際の管理作業を見る機会はありませんが、雪の季節にも入浴を支える方々への感謝を抱きながら、掲示の前を離れました。
夜明けの露天で雲海に出会い、越後の山並みに別れを告げる

翌朝は5時に起床し、まだ暗さの残る大浴場へ向かいました。露天風呂の扉を開けると、前夜とは一変した白い景色が広がっています。谷を埋める雲、その上に浮かぶ山々、刻々と明るさを増す空。朝食を終え、出発前にロビーから見た雲海も、忘れがたい光景となりました。

  • 早朝5:30、雲海の露天風呂へ
    目覚ましを5時にセットし、5:30頃には再び大浴場へ向かいました。まだ薄暗い浴室を抜け、露天風呂の扉を開けた瞬間、思わず足が止まります。前夜は白い帯にしか見えなかった谷あいが、一面の雲に覆われていました。遠くの山々は雲の上に頂だけをのぞかせ、まるで白い海に浮かぶ島のよう。湯けむりの向こうに続く光景を見渡してから、冷えた足先をそっとお湯に入れました。
  • 青白い雲が朝の光を映す
    肩までお湯に浸かり、露天風呂の縁に腕を預けます。空にはまだ夜明け前の青さが残っていましたが、時間が経つにつれて山並みの輪郭が少しずつ鮮明になってきました。白い雲の表面にも淡い桃色が混じり、やがて明るい光が広がっていきました。雲の形はほとんど変わらないように見えても、色合いは刻々と移ろっていました。湯口から流れる水音を聞きながら、30分ほどその景色を見つめました。
  • 朝食に並ぶご飯と山里の味
    浴場をあとにして客室へ戻り、7:30頃に食堂へ向かいました。テーブルには小鍋や焼き魚や煮物、小鉢、温泉卵などが並び、朝から品数のあるお膳です。炊きたてのご飯は艶やかで、箸で持ち上げると湯気が立ち上ります。ひと口頬張ると、噛むほどに米の甘みが広がりました。焼き魚をほぐし、小鉢のおかずを少しずつ口に運びながら、ご飯を最後の一粒までいただきました。
  • ロビーいっぱいに広がる雲海
    朝食後は客室で荷物をまとめ、9:30頃にフロントへ向かいました。ロビーの大きなガラス窓に目を向けると、早朝の露天風呂で見た景色とはまた違う、厚みのある雲海が広がっています。山々の間を埋める白い雲は、窓枠の向こうまで続いていました。チェックアウトの際には、スタッフの方へお湯と景色のお礼を伝えました。玄関を出て車に乗り込み、バックミラーに映る峠の宿を見送りながら、次の温泉地へ向けて山道を下りました。
ゆめにゃん

湯口の音を聞き、星空を仰ぎ、白い雲海を見渡す。
次の休みは、芝峠で「越後の空と大地の記憶」をたどる旅に出かけませんか?

まつだい芝峠温泉 – アクセスと基本情報

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この記事を書いた人

温泉巡り歴15年。
トロトロのお湯と硫黄の香りが大好物。
なのに他の泉質にもすぐハマってしまう。
休日は山奥の秘湯へ直行。
そして、猫が好き。

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