葛温泉レビュー|髙瀨舘で源泉掛け流しの湯に浸かる夕暮れの高瀬渓谷(長野県大町市)

湯め活びより葛温泉レビューアイキャッチ画像

北アルプスの山懐、高瀬川沿いの峡谷に三軒の湯宿が点在する葛温泉。
高温の源泉は大町温泉郷へも引かれ、山中の小さな温泉地から下流へ湯が渡ります。
岩壁と森の間には湯けむりが立ち、川音の向こうに宿の灯りが浮かびます。
温泉街を歩く旅とは趣が異なり、源泉と渓谷を間近に置いて湯を追える温泉地です。

この記事でわかること
  • 葛温泉・髙瀨舘の日帰り入浴
    実際に訪れてわかった受付から入浴までの流れを紹介します。
  • 葛温泉・髙瀨舘の泉質と特徴
    泉質やpH、源泉温度など温泉分析書の数値を確認します。
  • 源泉掛け流しの湯ざわりと香り
    湯色や硫黄系の香り、湯の花など実際の浴槽を記録します。
  • 湯口とオーバーフローを観察
    豊富に注ぐ湯口や析出物、浴槽からあふれる湯を紹介します。
  • 高瀬渓谷に佇む葛温泉の魅力
    北アルプスの山懐にある温泉地の風景や現地の空気を伝えます。
目次

葛温泉ってどんなところ? | 4コマ漫画で体験してみる

ゆめにゃん

猫は入れないからフィクションにゃ…

葛温泉の魅力を詰め込んだ4コマ漫画。三軒の温泉宿や高温源泉、高瀬渓谷を紹介。

葛温泉 体験記

8月の夕暮れ、白馬の宿へ入ったあと、予定を変えて高瀬渓谷へ車を走らせました。
目的地は葛温泉の髙瀨舘。日帰り入浴の可否を電話で確かめてから山道へ入ります。
館内の温泉分析書を読み、湯口、香り、湯色、オーバーフローを順に観察しました。
高温源泉の掲示と実際の浴槽を往復して記録した、夏の夕刻の入浴レポートです。

この体験記は、訪問当時の個人的体験と記憶をもとに情報を交えて執筆しています。季節や営業状況、時間の経過などにより、掲載内容が現在と異なる場合があります。お出かけ前には、各施設の公式サイト等で最新情報をご確認ください。

夕刻の白馬から高瀬渓谷へ急遽進路変更

白馬の宿へ着いたのは16時20分ごろ。まだ空に明るさが残っていたため、その場で日帰り入浴先を探し、電話確認を済ませて葛温泉へ向かいました。

  • 白馬から急遽もう一湯へ
    昼間は戸倉上山田温泉を巡り、そのまま白馬で一日を終える予定でした。ところが宿へ着いて時計を見ると16時20分。窓の外にはまだ夏の日差しが残っています。新潟方面へ進む案と高瀬渓谷へ向かう案を並べ、夕方でも日帰り入浴を受け付けている場所をその場で調べました。
  • 日帰り入浴を電話で確認
    髙瀨舘さんへ電話を入れると、この時間からでも日帰り入浴を受け入れているとの返答。必要な荷物だけをまとめ、すぐに白馬を出発しました。国道を南へ走り、大町の市街地を抜けて高瀬川沿いへ。建物が減るにつれて山肌が道路へ迫り、やがて窓の向こうに白い湯けむりが見え始めました。
  • 公式サイトで源泉を確認
    髙瀨舘さんの公式サイトでは、「高瀬の湯」「炭酸の湯」と2つの源泉名が記載されていました。異なる2つの湯がどのような体験に結びつくのかも、興味の1つでした。
  • 18時ごろ髙瀨舘へ到着
    18時ごろ、葛温泉の奥に建つ髙瀨舘さんへ到着しました。玄関で日帰り入浴の受付を済ませると、脱衣場には鍵付きロッカーがないとの案内を受けます。財布などを持ったまま浴場へ入るのは避け、一度駐車場へ戻って車内へ保管。施錠を確認し、タオルだけを手に館内へ戻りました。
  • 静かな館内に湯音が響く
    磨かれた木の床を進むと、人の話し声に交じらず、奥から流れる湯の音だけが廊下へ届いていました。さらに数歩進むと、鼻先に淡い硫黄を連想する香りが混じります。夕刻の館内は照明も控えめで、足音と湯音を追うように脱衣場へ向かいました。
温泉分析書から「炭酸の湯」の数字を追う

浴槽へ向かう前に足が止まったのが、掲示された温泉分析書でした。まず源泉名、泉温、pHを確認し、そのあと成分表を上から順番に追っていきました。

  • まず泉温とpHを確認
    分析書の源泉名は「炭酸の湯」。2009年の分析では泉温72.4℃、pH7.39、泉質は単純温泉(低張性・中性・高温泉)と記されています。成分総計は641.1mg/kg。高瀬渓谷の奥で使われている源泉が、数字の一覧として目の前に並んでいました。
  • 香りの記載を数値で追う
    知覚的試験には「無色透明、沈殿物有り、微硫化水素臭を有する」とあります。成分表を追うと硫化水素イオン1.1mg/kg、遊離硫化水素0.5mg/kg。浴室へ入る前から、「微硫化水素臭」という一文を頭に置いて、実際の香りを確認することにしました。
  • 非解離成分まで目を通す
    非解離成分ではメタケイ酸158.1mg/kg、メタホウ酸12.3mg/kgという数値が目に留まりました。さらに炭酸水素イオン122.1mg/kg、塩化物イオン142.9mg/kg、遊離二酸化炭素36.7mg/kg。名称だけで判断せず、分析表に並ぶ数値をそのまま記憶へ置いてから浴室へ進みます。
  • 二種類の掲示を分けて読む
    別の掲示には源泉名として「高瀬の湯、炭酸の湯」が併記され、泉温90.0℃、加水ありとの表示もありました。72.4℃、pH7.39と記された炭酸の湯の分析書とは対象や表記が異なります。同じ数字としてまとめず、「分析書」と「浴場掲示」を別々に記録しておくことにしました。
湯口とオーバーフローを目の前で追う

浴室では分析書から視線を離し、湯そのものを観察しました。湯けむり、淡い香り、無色透明の湯色、浴槽縁の析出物。数字だった源泉が目の前の光景へ切り替わります。

  • 扉の先は白い湯けむり
    浴室の扉を開けると、視界の低い位置まで白い湯けむりが漂っていました。そこへ混じるのは、卵を連想するほど強くはない、ごく淡い硫黄系の香りです。まずカランで体を流し、浴槽の縁へ。手桶で数回掛け湯をしてから、足先をゆっくり沈めました。
  • 縁から湯が絶えずあふれる
    浴槽へ入ると、水位が持ち上がり、縁を越えた湯が洗い場へ流れていきました。湯口からの投入は途切れず、オーバーフローも連続しています。湯色は無色透明。浴槽の縁には析出物が重なり、水中へ目を凝らすと細かな湯の花も漂っていました。
  • 湯ざわりと湯温を確かめる
    手のひらを湯の中で往復させると、さらりと流れる中に、わずかに厚みを伴う湯ざわりが残ります。手元の体感では内湯は42℃前後。湯口付近へ寄ると流れ込む湯の熱がはっきりし、浴槽の中央へ移動すると温度の角が少し薄くなりました。
  • 薄暮の露天で湯音を聞く
    露天風呂へ出ると、8月の夕風が濡れた首元を横切りました。内湯と比べると湯温はわずかに高め。湯けむりの向こうには高瀬渓谷の稜線が黒く沈み、耳に残るのは湯口から落ちる水音と川の音です。岩風呂の縁へ腕を置き、薄暮が夜へ切り替わるまで湯面の波紋を追いました。
湯上がりに分析書と浴槽の記憶を照合する

浴室を出たあと、もう一度温泉分析書の前へ戻りました。今度は数値を読むだけではなく、直前に見た湯色、香り、湯の花、湯ざわりと並べながら確認していきます。

  • 微硫化水素臭の記載へ戻る
    最初に目を戻したのは知覚的試験の「微硫化水素臭」という記載です。浴室で拾った淡い硫黄系の香りと文章が重なりました。硫化水素イオン1.1mg/kg、遊離硫化水素0.5mg/kgという数字も再確認。ただし、香りの強弱を数値だけで決めつけず、現地で嗅いだ記録と並べて残しました。
  • メタケイ酸の数値を再確認
    次に目を止めたのがメタケイ酸158.1mg/kg。入浴前にも確認した数字ですが、湯ざわりを記録したあとでは見落としたくない項目になりました。ただし「この成分だからこの触感」と結びつけることはせず、分析値と浴槽で拾った情報をそれぞれ別項目としてメモしました。
  • 炭酸の湯という名称も確認
    「炭酸の湯」という源泉名を改めて見ながら、遊離二酸化炭素36.7mg/kg、炭酸水素イオン122.1mg/kgを確認しました。名称だけから泡付きなどを想定するのではなく、泉質名は単純温泉。実際の浴槽でも、湯色や香り、湯の花といった目の前の情報を優先して記録しました。
  • 90度の掲示も読み直す
    隣の掲示には「高瀬の湯、炭酸の湯」「源泉90.0℃」「加水」の文字があります。一方、炭酸の湯の分析書では72.4℃。二つの掲示を同一条件の数値として扱わず、それぞれの表示内容として整理しました。高温の湯を浴槽へ届ける現場では、温度を扱う管理が欠かせないことも、この掲示から読み取れました。
数値を頭に残し夜の高瀬渓谷を下る

入浴を終えるころには、窓の外から昼の明るさが消えていました。水分補給を済ませ、分析書の主要項目をもう一度読み、宿の方へ礼を伝えて夜の山道へ戻ります。

  • 湯上がりにもう一度数値確認
    着替えを済ませたあと、脱衣場を出る前に分析書へもう一度目を通しました。スマホを浴場へ持ち込んでいなかったため、源泉名「炭酸の湯」、72.4℃、pH7.39、微硫化水素臭、メタケイ酸158.1mg/kgといった項目を確認しながらメモしました。
  • 水分補給を済ませてロビーへ
    館内で水分補給を済ませ、来た廊下をロビーへ戻ります。入浴前には湯音だけが目立っていた通路も、今度は浴槽で見た湯口やオーバーフローを頭の中で順番にたどりながら歩きました。帳場では夕刻の日帰り入浴を受け入れていただいたことへ礼を伝え、玄関へ向かいます。
  • 玄関の外は渓谷の夜
    時計は18時50分ごろ。玄関を出ると、高瀬渓谷はすでに暗闇へ沈んでいました。宿の窓から漏れる灯りが周囲の湯けむりを薄く照らし、谷底からは川の音が絶えず響いています。駐車場へ戻り、車内へ保管していた財布を確認してからエンジンを始動しました。
  • 白馬へ向けて山道を戻る
    前照灯の先に現れるカーブを一つずつ拾いながら、街灯の少ない渓谷沿いを下ります。窓を少し開けると高瀬川の音が車内へ入り、袖口には浴室で拾った硫黄系の香りがわずかに残っていました。19時台に白馬へ戻り、このあと入る白馬八方温泉では、葛温泉とは異なる湯ざわりを改めて追うことになりました。
ゆめにゃん

湯けむりをくぐり、湯口を覗き、渓谷の夜風の中へ戻る。
次の休みは、葛温泉で「北アルプスの源泉地」を五感でたどる旅に出かけませんか?

葛温泉 – アクセスと基本情報

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

温泉巡り歴15年。
トロトロのお湯と硫黄の香りが大好物。
なのに他の泉質にもすぐハマってしまう。
休日は山奥の秘湯へ直行。
そして、猫が好き。

目次