芦ノ牧温泉を深掘りレビュー! 大川荘とドライブ温泉で探る泉質の違い(福島県会津若松市)

湯め活びより芦ノ牧温泉考察編アイキャッチ画像

大川渓谷を望む露天風呂で、湯のぬくもりと雄大な景色を楽しんだ芦ノ牧温泉。
温泉分析書を眺めていると、複数の源泉を束ねる仕組みや、湯の成分に隠れた小さな違いが気になり始めました。
さらに調べていくと、古くから語り継がれる伝説や、会津の暮らしに根づいた食文化にも興味が広がっていきます。
この土地の自然と、人々が大切にしてきた温泉。
その魅力がどこから生まれたのか、体験を振り返りながらたどってみました。

芦ノ牧温泉で興味深かったこと
  • 泉質名を分けたわずかな数字の違い
    塩化物イオンの割合が少し違うだけで、泉質名が変わることに興味を持ちました。
  • 5つの源泉を合わせる綜合泉の仕組み
    分析書にあった「5源泉の混合泉」という言葉から、温泉街への湯の届け方が気になりました。
  • 棚田露天で感じた湯温の不思議
    段々に並ぶ3つの湯船。それぞれ温度が違うのはなぜなのか、仕組みを知りたくなりました。
  • 火山の見えない渓谷に湧く熱い湯
    周囲に火山が見当たらないのに、なぜ56℃もの湯が湧くのか。地下の様子を想像しました。
  • 古い伝説と郷土料理に残る土地の記憶
    開湯伝説や鰊の山椒漬けを通じて、温泉と会津の歴史がどう結びつくのか気になりました。
目次

芦ノ牧温泉ってどんなところ? | 4コマ漫画で体験してみる

ゆめにゃん

猫は入れないからフィクションにゃ…

芦ノ牧温泉の魅力を詰め込んだ4コマ漫画。渓谷美、豊かな湯、会津グルメ、猫駅長や周辺観光を紹介

芦ノ牧温泉レビューと注目ポイント考察

この記事は、筆者が実際に温泉を訪れた際に感じた「なぜ?」をきっかけに、温泉分析書や公開資料などを調べ、自分なりに考察した内容です。資料から確認できる事実と筆者個人の考察を分けて記載するよう努めていますが、専門家による学術的な見解や結論を示すものではありません。直接的な裏付けを確認できていない仮説や想像については、その旨を明記しています。一人の温泉好きが、分析書や資料を眺めながら考えた「温泉の自由研究」としてお楽しみください。

無色透明・無味無臭なのに、なぜ「ぬるっと」感じるのか

大川荘さんの内湯に肩まで浸かったとき、最初に興味を引かれたのは湯ざわりでした。見た目は水道水と変わらないような透明感で、匂いもほとんどありません。それなのに、腕をなでると指がすべるような、やわらかい感触がありました。

硫黄泉のようなわかりやすい個性がない湯で、この感触はどこから来るのでしょうか。弱アルカリ性のお湯なので、アルカリ性単純温泉のような「つるつる」に近いものなのかなと思いました。

湯上がりに分析書を読み返すと、pHは7.7でした。アルカリ性単純温泉に見られるpH9前後のお湯と比べると、ずいぶん中性寄りです。むしろ目立つのは、硫酸イオン693.4mg/kg、カルシウムイオン197.7mg/kg、そしてメタけい酸67.1mg/kgという数字でした。

気になって調べると、日本温泉協会の解説では、pHも湯ざわりに関係する要素のひとつとされています。また、温泉の成り立ちを紹介する「温泉の科学」には、硫酸塩泉には滑らかでやさしい湯ざわりのものが多いという説明がありました。さらに、実際に大川荘へ泊まった方の宿泊記にも、「ぬるっとした肌ざわり」という感想が見つかりました。

もしかすると、私が感じた滑らかさにも、硫酸塩を中心とした成分の組み合わせが関係しているのでしょうか。pHの高さだけに注目していたら、気づかなかった視点です。

「無色澄明・無味無臭」という分析書の言葉だけでは見えてこない個性。同じ湯でも、分析書を読む前と後で印象が変わるところに、温泉巡りの面白さを改めて感じました。

塩化物19.33%、泉質名を分けた「あと0.67ポイント」の境界線

芦ノ牧ドライブ温泉さんの分析書を読んで、思わず二度見した数字があります。陰イオンの塩化物イオンが「19.33%」と書かれていた部分です。

泉質名は、主な成分の割合によって決まります。大川荘さんに掲示された綜合泉は「硫酸塩・塩化物温泉」なのに、ドライブ温泉さんは「硫酸塩温泉」です。塩化物イオンの割合が少ないから名前から外れたのだろうと予想しましたが、実際には19%以上もありました。

改めて、温泉分析のルールブックともいえる環境省の「鉱泉分析法指針」を開きました。泉質名には、陽イオンと陰イオンそれぞれで20ミリバル%以上を占める成分を、多い順に並べるという決まりがあります。ミリバル%とは、イオンの電荷の違いを踏まえて計算した割合のことです。

つまり、ドライブ温泉さんの塩化物イオンは、基準まであと0.67ポイントでした。泉質名は硫酸塩温泉ですが、塩化物イオンも一定量含まれているお湯ということになります。比べてみると、綜合泉の塩化物イオンは23.21%で、こちらは基準を超えています。

泉質名だけを見ると、塩化物温泉という表記の有無が目につきます。ところが数字を追うと、二つの源泉は硫酸塩を主体としながら、塩化物イオンの割合が境界線を挟んでいることがわかりました。

泉質名は温泉を知る入口。その奥にある数字まで読んでみると、名前だけでは見えなかった共通点や違いが浮かび上がってきました。

ほぼ同じ重さのナトリウムとカルシウム、それでも順位が決まる理由

ドライブ温泉さんの陽イオンの欄を眺めていて、不思議な一致に気づきました。ナトリウムイオンが188.3mg/kg、カルシウムイオンが188.1mg/kgで、ほぼ同じ重さになっていました。

それなら泉質名は、わずかに多いナトリウムが先に来て「ナトリウム・カルシウム」になるはずだと思いました。ところが実際の泉質名は「カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉」です。重さでは負けているカルシウムが、なぜ先に来るのでしょうか。

答えは、分析書の右側に並ぶ「ミリバル(mval)」の列にありました。環境省の鉱泉分析法指針を調べると、泉質名の成分の順序は重さではなく、ミリバル%という割合に基づいて決められることがわかりました。

ミリバルとは、イオンの重さだけでなく、電荷の大きさも考慮した単位です。ざっくり言うと、重さを原子量で割り、イオンの電荷の数をかけて計算します。

・ナトリウム(電荷の数1):188.3 ÷ 23.0 ≒ 8.19
・カルシウム(電荷の数2):188.1 ÷ 40.1 × 2 ≒ 9.39

カルシウムイオンはナトリウムイオンの2倍の電荷を持つため、同じ重さでもミリバル値は大きくなります。その結果、割合はカルシウム52.52%、ナトリウム45.81%となり、順位が逆転していました。

綜合泉もカルシウム49.80%、ナトリウム47.93%と、やはり僅差でカルシウムが上位です。どちらの分析書でも、二つのイオンが近い割合を占めていることに気づきました。

同じ重さなのに、泉質名では順序が逆になる。分析書の数字を少し違う角度から眺めるだけで、温泉の新しい一面が見えてくるのだと感じました。

5つの源泉を合わせた「芦ノ牧温泉綜合泉」という仕組み

大川荘さんの分析書で興味深かったのは、源泉名の「芦ノ牧温泉綜合泉」という言葉でした。その下には「5源泉の混合泉」と書かれ、湯川原に3か所、峠に2か所の湧出地が並んでいます。採水場所も個々の源泉ではなく、貯湯槽でした。

分析書に記載された事業者は、宿ではなく「芦ノ牧温泉開発事業所」です。ここから、複数の源泉を集めて混合し、温泉街の宿へ配っているのではないかと考えました。いわゆる温泉の集中管理に近い仕組みでしょうか。混ぜることで供給量や温度の変動を抑える工夫もあるのかもしれません。

資料を探すと、るるぶ&more.の芦ノ牧温泉紹介には、源泉数5、湯量毎分1400L、宿泊施設8軒と掲載されていました。分析書の「5源泉」と同じ数字です。また、大川荘さんの公式サイトにも、綜合泉の利用と毎分約200Lの使用が案内されています。なお、分析書に記載された利用量は毎分1073Lで、揚湯には動力が使われています。

混合泉と聞くと、個々の源泉の特徴が薄まるのではと身構える方もいるかもしれません。それでも、複数の源泉を束ねて温泉街へ届ける仕組みには、限りある温泉資源を活かしながら、多くの人を迎える工夫があるように思えます。

それぞれの源泉を一つにまとめた「綜合泉」。その名前の奥に、温泉街を支える仕組みが隠れているのかもしれません。湯船のお湯だけでなく、そこへ至る道筋まで想像するのも、温泉巡りの楽しみだと感じました。

56℃の高温泉と、棚田露天「たな田」の温度グラデーション

大川荘さんの名物「四季舞台たな田」は、渓谷に向かって3つの湯船が段々に並ぶ露天風呂です。上の段から下の段へ移っていくと、湯の温度が少しずつ違うことに気づきました。

分析書の泉温は56.4℃です。そのままでは熱すぎるので、何らかの方法で温度を調整しているはずです。棚田の形を眺めながら、上の湯船からあふれたお湯が下の湯船へ流れ落ち、その途中で冷めていくのではないかと想像しました。まるで棚田に水を引くように、段ごとに温度が下がっていくという妄想です。

ところが、大川荘さんの公式サイトを読んでみると、意外な答えが見つかりました。それぞれの湯船には別々に温泉が注がれ、湯守りが温度を管理しているそうです。さらに、上段からあふれたお湯が下段へ流れ込まない構造になっているとのこと。棚田のようにお湯が順番に流れるという私の予想は、見事に外れていました。

公式サイトでは、源泉かけ流しで、季節によって加水する場合があるとも案内されています。つまり、段ごとの温度差は、湯船それぞれの管理によって生まれているようです。

見た目はひと続きの棚田でも、お湯の流れはそれぞれ独立している。温度の違いを不思議に思ったことから、湯守りの工夫をひとつ知ることができました。

次に訪れるときは、湯口の位置だけでなく、オーバーフローがどこへ流れていくのかも、じっくり観察してみたいと思います。

仙峡閣さんの湯船の底から湧き出す湯、温泉街から離れた自家源泉

芦ノ牧の宿を調べていて、気になる一軒がありました。温泉街から少し離れた旧街道沿いにある仙峡閣さんです。口コミを読むと「芦ノ牧で唯一の自家源泉」という言葉が何度も出てきました。

温泉街の宿の多くが綜合泉を使っているなら、仙峡閣さんの湯は泉質も違うのではないかと考えました。場所が離れているぶん、別の湯の通り道から湧いているのかもしれません。

ニフティ温泉の口コミによると、泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉で、源泉名は「遅谷仙峡閣」です。泉質名は綜合泉と同じでした。

さらに驚いたのは、湯船の底から温泉が湧き出しているという記述です。小判型の湯船には深くなった部分があり、そこからお湯が注がれているそうです。仙峡閣さんの公式サイトにも、湯船の底からお湯が湧き出ると紹介されていました。

これは、温泉好きが憧れる「足元湧出」なのでしょうか。そう思って調べてみると、口コミには浴槽の底から源泉を注入しているという記述もありました。湯船の真下から自然に湧いているのか、別の場所から引いた源泉を底から注いでいるのか、今回の資料だけでは判断できませんでした。

それでも、泉質名が同じだからといって、湯の届き方まで同じとは限りません。綜合泉が複数の源泉を束ねた大きな流れだとすれば、仙峡閣さんの湯は独自の源泉を使い、浴槽の底から注がれるお湯です。

建物も興味深く、昭和13年に建てられた武徳殿を昭和30年ごろに移築したもので、国の登録有形文化財になっています。日本秘湯を守る会の宿でもあります。

同じ芦ノ牧温泉でも、源泉の成り立ちや湯の届け方には違いがある。今度は仙峡閣さんにも訪れて、その湯船の底で何が起きているのか、自分の目で確かめてみたいと思いました。

火山が見えない渓谷に、なぜ56℃の湯が湧くのか

露天風呂から大川渓谷を見下ろしていて、ふと疑問がわきました。周りを見渡しても、煙を上げる火山は見当たりません。それなのに、なぜこの渓谷沿いに56℃もの湯が湧いているのでしょうか。

渓谷は、川が長い時間をかけて大地を削った場所です。そうであれば、岩の割れ目やずれた地層が地表近くに現れ、そこが地下の熱い水の通り道になっているのではないか。そんな想像が膨らみました。

コトバンク(日本大百科全書)の芦ノ牧温泉の項目を開くと、芦ノ牧温泉は大川の断層破砕帯にあると書かれていました。断層破砕帯とは、断層の動きで岩が細かく砕けた帯状の部分のことです。岩の割れ目などが地下水の通り道になる場合もあり、私の予想にもつながる手がかりが見つかりました。

もう一つ参考になったのが、「グリーンタフ型温泉」という考え方です。グリーンタフとは、古い時代の火山活動で生まれた火山灰や火山岩などが、変質によって緑色を帯びた地層のことです。新潟や福島の山あいには、現在の火山から離れた場所にも塩化物泉や硫酸塩泉が点々と湧いていると紹介されていました。

北陸の温泉を調べた日本地球惑星科学連合の発表要旨では、ナトリウム・カルシウム・硫酸イオン・塩化物イオンを主成分とする組成が、典型的なグリーンタフ型温泉の一つとして紹介されています。これは芦ノ牧の綜合泉の成分構成とよく似ています。

もちろん、成分が似ているだけで芦ノ牧温泉もグリーンタフ型だと決まるわけではありません。それでも、断層破砕帯という場所と、分析書に並ぶイオンの数字を見ていると、地下で起きていることをもっと知りたくなりました。

目の前の渓谷の景色と、分析書の数字が、地下でつながっているように感じます。絶景と泉質が、同じ大地の物語から生まれているのかもしれない。そう想像すると、露天風呂からの眺めがいっそう味わい深くなりました。

10年で変わる分析書と、「石膏泉」という旧泉質名

帰宅後、ほかの方の入浴記を読んでいて、大川荘さんの泉温を「56.8℃・pH7.5」と紹介している記事が多いことに気づきました。私が見た分析書は「56.4℃・pH7.7」でした。

温泉法では、温泉を公共の浴用や飲用に利用する場合、10年ごとの成分再分析が義務づけられています。環境省の温泉法の解説を読んで、私が見たのは令和6年に作成された新しい分析書だったため、それらの記事には以前の分析結果が使われているのではないかと考えました。

2017年に書かれた入浴記には、泉温56.8℃、pH7.5、湧出量毎分1,211Lと記録されていました。私が見た分析書と並べると、こうなります。

項目2017年令和6年の分析書
泉温56.8℃56.4℃
pH7.57.7
湧出量・利用量1,211L/分(湧出量)1,073L/分(利用量)

泉温とpHにはわずかな違いがありました。ただ、古い分析書そのものは確認できず、湧出量と利用量も同じ意味とは限りません。数字の差が、そのまま源泉の変化を示しているかどうかは分かりませんでした。

温泉の成分が年月とともに変わることは珍しくないようです。兵庫県の研究報告では、およそ10年以上の間隔で分析結果を比較した97源泉のうち、34源泉で泉質名が変わっていました。芦ノ牧の綜合泉は、今回見つけた記録では泉質名が同じです。大きな変化がないのかもしれませんが、詳しい成分の比較もしてみたくなりました。

もう一つ面白かったのが旧泉質名です。福島県のページでは、芦ノ牧温泉の泉質が「含食塩石膏泉」と紹介されていました。鉱泉分析法指針の新旧泉質名対照表を調べると、これは現在の「カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉」に対応する名前でした。一方、ドライブ温泉さんの分析書には「含芒硝-石膏温泉」と書かれています。同じ温泉地でも、源泉によって昔の呼び名が少しずつ違うようです。

「石膏」は、硫酸カルシウムを主成分とする鉱物です。実は、この硫酸カルシウムは豆腐の凝固剤にも使われています。

温泉の名前を調べていたはずが、思いがけず豆腐にたどり着きました。同じ化学成分が温泉と食卓の両方に登場すると思うと、湯上がりの冷奴まで少し違って見えてきました。

行基の開湯伝説と、古い地誌に伝わる「眼病の湯」

芦ノ牧温泉の紹介文を読んでいて、気になる言葉がありました。昔の会津の地誌に、この湯が「眼病によい」と書かれていたということです。今の温泉分析書に並ぶ適応症とは、ずいぶん違う言葉です。

なぜ目なのでしょうか。透明で匂いのない湯に、昔の人々はどのような印象を抱いていたのでしょうか。薬や医療が身近ではなかった時代、山あいの湯治場は、人々の願いや暮らしを支える場所でもあったのかもしれません。そんな想像が膨らみました。

るるぶ&more.の芦ノ牧温泉の紹介によると、約1200年前に旅の老僧が発見したと伝えられ、「会津風土記」や「会津鑑」に眼病によいという記述があるそうです。昭和前期頃までは、静かな山あいの湯治場だったとも紹介されていました。

開湯伝説については、旅色の記事に、高僧・行基が全国を歩いていたとき、白い煙が立ち上るのに気づいて発見したという話が載っていました。一方、ジョルダンの温泉紹介には、空海が開いたという説もあると書かれています。どちらが実際に訪れたのかを確かめる資料は見つかりませんでしたが、二人の高僧の名前が伝わっていることに、長い歴史を感じました。

資料を読んで印象に残ったのは、湯の効き目そのものではなく、昔の人々がこの温泉に何を願い、どのように親しんできたのかという点でした。眼病という言葉も、当時の人々が抱えていた悩みや、湯に寄せた期待を伝える手がかりなのかもしれません。

かつて山深い場所にあった湯治場に、今は観光客が訪れています。分析書の数字とは別の物差しで、約1200年にわたって語り継がれてきた温泉の歴史を感じられる発見でした。

金精神社の足湯「子宝の湯」に見る、湯と祈りの関係

温泉街を歩いていると、小さな祠の前に足湯がありました。名前は「子宝の湯」です。足湯と神社が一体になっている場所は、意外とめずらしいような気がしました。

温泉地には、湯の神様をまつる神社がよくあります。けれど、ここは縁結びや子宝の神様をまつる金精神社の前に足湯がある形です。温かい湯に浸かるひとときと、命を授かることへの願いが、どこかで結びついたのではないかと想像しました。

まっぷるの「子宝の湯」の紹介によると、芦ノ牧温泉には昔から子宝祈願で訪れる人も多く、金精神社のそばには誰でも利用できる足湯が設けられています。るるぶ&more.のページにも、古くから子宝祈願の人が訪れる温泉地と紹介されていました。

さらに会津芦ノ牧温泉観光協会の公式サイトを読むと、金精神社に祈願し、足湯に浸かることが子宝への願いと結びついていると紹介されています。温泉の温かさと子宝祈願が重なってきたという私の想像も、この土地に伝わる信仰と無関係ではなさそうです。

温泉街には、散策路の入口にもなっている湯泉神社もあります。湯にゆかりを感じさせる名前の神社と、人々が願いを託してきた金精神社。二つの神社が同じ温泉街にあることから、湯が単なる自然の恵みではなく、祈りや暮らしとも深く結びついてきたのではないかと感じました。

温泉分析書には書かれていない、もう一つの温泉の物語。湯めぐりの合間に、こうした場所を訪ねてみることも旅情を深めてくれました。

湯上がりの鰊の山椒漬けと、日本海へ続く川の想像

湯上がりの夕食で、小鉢に盛られた鰊の山椒漬けをいただきました。山椒の香りと、甘じょっぱい身欠きにしんの味が、塩化物を含む湯で温まった体にしみわたります。

食べながら、ふと不思議に思いました。会津は海から遠い山国です。それなのに、なぜ海の魚であるにしんが郷土料理になっているのでしょうか。

露天風呂から見下ろした大川は、阿賀川とも呼ばれ、下流で阿賀野川となって日本海へ注ぎます。もしかすると、昔は海の幸がこの川筋をさかのぼって会津へ届いたのではないか。そんな妄想が膨らみました。

ANAの会津の郷土料理の紹介を読むと、会津では身欠き鰊や干し貝柱などの乾物を使う料理が親しまれてきたそうです。鰊の山椒漬けは身欠き鰊と山椒の葉を組み合わせた一品で、干し貝柱でだしをとる「こづゆ」もその代表です。

さらに調べると、国土交通省・阿賀野川河川事務所の「川と交通」に、驚くような記述がありました。かつて阿賀野川・阿賀川は物資の輸送に利用され、会津から米などを運ぶ一方、上流へは塩やにしん、昆布などが運ばれていたそうです。船だけでなく、馬による陸送も組み合わせていました。

なんと、川をさかのぼって海の幸が届いたという私の妄想は、歴史とつながっていました。

もちろん、夕食でいただいた鰊が、かつてのどの道筋をたどったものと同じなのかまでは分かりません。それでも、海から遠い会津で、保存のきく乾物と山の恵みを組み合わせた料理が受け継がれてきたことに、昔の人々の知恵を感じました。

湯船から眺めた川と、夕食の小鉢が、思いがけない形でつながりました。温泉旅の楽しみが、また一つ増えた気がしました。

ゆめにゃん

渓谷を眺め、湯のぬくもりに包まれ、会津の歴史に思いを馳せる。
次の休みは、芦ノ牧温泉で「大地と人が紡いできた物語」をたどる旅に出かけませんか?

硫酸塩泉と塩化物泉の個性

芦ノ牧温泉では、カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉などの泉質が見られます。無色透明の湯にも、硫酸イオンや塩化物イオンなど、さまざまな成分が含まれています。温泉分析書を眺めながら、その違いを楽しめる温泉地です。

複数の源泉が支える温泉街

大川荘さんで使用される「芦ノ牧温泉綜合泉」は、5つの源泉を合わせた混合泉です。一方、独自の源泉を持つ仙峡閣など、宿によって湯の供給方法にも違いがあります。源泉の成り立ちや配湯の仕組みに注目すると、温泉街の新たな一面が見えてきます。

源泉かけ流しと湯守りの工夫

大川荘さんの「四季舞台たな田」は、棚田状に並ぶ浴槽が印象的な源泉かけ流しの露天風呂です。各浴槽には個別に温泉が注がれ、湯守りが温度を管理しています。季節によって加水する場合もあり、湯を適温で届けるための工夫にも注目したいところです。

大川渓谷を望む絶景露天風呂

大川渓谷の断崖に沿って旅館が建ち並び、雄大な山並みと川の流れを眺めながら入浴できるのが魅力です。棚田状の露天風呂や渓谷へせり出す露天風呂など、浴槽の造りにも個性があります。自然の景観と温泉が一体になった、芦ノ牧ならではの湯浴みを楽しめます。

開湯伝説が息づく歴史ある湯

開湯は千数百年前と伝えられ、かつては「幻の温泉郷」とも呼ばれた芦ノ牧温泉。山深い渓谷に湧く湯は、長い年月を経て現在の温泉街へと受け継がれてきました。古くからの湯治場の歴史や、温泉を守り続けてきた人々の営みにも思いを馳せたくなります。

温泉マニアあるある! – 芦ノ牧温泉考察編

ゆめにゃん

マニアの人はこうなっちゃう…かも!?

渓谷の絶景より湯口が気になる

大川渓谷を見渡す露天風呂に入ると、普通の人は「うわぁ、絶景!」と感動します。ところがマニアは「おっ、あそこが湯口か!」と、なぜか浴槽の隅を凝視。友達が「景色を見ろよ!」と突っ込んでも、「いやいや、湯口も絶景の一部だから」と真顔で返します。雄大な渓谷と小さな湯口、どちらも見逃せないのです。

5源泉の混合泉に勝手に感動する

温泉分析書に「5源泉の混合泉」と書かれているのを見つけると、「おおっ、五人衆じゃないか!」と妙に興奮するマニア。友達が「混ぜてるだけでしょ?」と言っても、「いやいや、5つの源泉が力を合わせて、この一湯になるんだよ」と熱弁。頭の中では、源泉たちが肩を組んで温泉街へ向かっています。

泉質名の違いに興奮する

大川荘と芦ノ牧ドライブ温泉の分析書を見比べ、「こっちは硫酸塩・塩化物温泉、こっちは硫酸塩温泉……」と固まるマニア。友達が「どっちも温泉じゃん」と言っても、「塩化物イオンが20ミリバル%を超えるかどうかが重要なんだよ」と大興奮。本人の中では、温泉史に残る大事件が発生しています。

オーバーフローを見つけると無言になる

浴槽の縁から静かに湯があふれる様子を見つけると、急に口数が減るマニア。友達が「どうしたの?」と尋ねても、「……見て、この流れ」と小声で返すだけ。さっきまで泉質について熱弁していた人物が、今度は湯の流れをじっと観察しています。本人いわく、「こういう時間こそ温泉の醍醐味」なのだとか。

透明な湯ほど分析書を読みたがる

無色透明の湯を前にすると、「見た目は穏やかだけど、成分は個性的なんだよ」と嬉しそうなマニア。友達が「透明ならどこも似てない?」と言うと、「そこが面白いんじゃないか」と分析書を取り出します。硫酸イオンやカルシウムイオンの数字を眺めながら、目には見えない湯の個性を想像するのが楽しくて仕方ありません。

独自源泉という言葉に弱い

独自の源泉を持つ宿があることを知ると、「ほほう、こちらは独立勢力ですな!」と勝手に勢力図を描き始めるマニア。友達が「温泉街で戦争でもするの?」と笑っても、「混合泉にも独自源泉にも、それぞれの魅力があるんだよ」とご満悦。気づけば頭の中で、芦ノ牧温泉の源泉相関図が完成しています。

湯の底から地球の内部を想像する

渓谷を眺めながら湯に浸かっていると、突然「このお湯、地下ではどんな道を通ってきたんだろう……」と考え始めるマニア。友達が「そんなの分かるの?」と聞くと、「だから調べるんだよ」と即答。断層や地下水の資料を読み始め、いつの間にか温泉旅行が地質の自由研究に変わっています。

昔の泉質名に妙な親近感を覚える

古い資料で「含食塩石膏泉」という名前を見つけると、「おおっ、昔はこんな呼び方だったのか!」と大喜び。友達が「石膏って、あの石膏?」と尋ねると、「そうそう、昔の泉質名には面白い表現が多いんだよ」とドヤ顔。現代の分析書と昔の資料を並べて眺める時間が、いつの間にか旅の楽しみになっています。

カルシウムの並び順を説明したがる

温泉分析書を眺めながら、「これ、どうしてカルシウム・ナトリウムという並びなのか分かる?」と、明らかに知識を披露したそうなマニア。友達が「さぁ……」とテキトーに返すと、「要は、ミリバルなんだよね。ほら、カルシウムのほうが上でしょ?」と得意げに語り、まわりからは”湯めぐりカルシウム”とあだ名されてしまうのです。

管理人

管理人いじりですね…
そう呼ばれるのも悪くない!

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この記事を書いた人

温泉巡り歴15年。
トロトロのお湯と硫黄の香りが大好物。
なのに他の泉質にもすぐハマってしまう。
休日は山奥の秘湯へ直行。
そして、猫が好き。

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