台温泉を深掘りレビュー! 精華の湯で日帰り入浴、源泉と湯治場の歴史をたどる(岩手県花巻市)

湯め活びより台温泉考察編アイキャッチ画像

花巻温泉の奥、湯けむりが立ちのぼる坂道に、昔ながらの湯治場の風景が残る台温泉。
熱い源泉、丁寧に工夫された湯使い、そして長い年月を重ねてきた木造旅館の街並み。
その一つひとつに目を向けるうちに、なぜこの場所で、これほど豊かな湯と温泉文化が受け継がれてきたのか、知りたくなりました。
現地で感じた小さな興味を手がかりに、分析書や歴史資料をたどりながら、台温泉の奥深さを自分なりに考えてみました。

台温泉で興味深かったこと
  • 湯けむりの先にある源泉の秘密
    温泉街のあちこちで立ちのぼる湯けむり。その熱い湯は、どこから届いているのだろう。
  • 分析書の数字が語るお湯の個性
    硫酸イオンや硫黄、メタケイ酸。気になる成分の数字から、湯の特徴を探ってみたくなった。
  • 湯口の手前30センチにある工夫
    浴槽の直前で加水するという説明。なぜ、その場所で温度を調節するのか気になった。
  • 古い掲示に残された温泉法の歴史
    掲示に記された「平成17年5月」と旧条番号。その小さな文字に、どんな意味があるのだろう。
  • 花巻温泉へとつながる湯治場の歴史
    華やかなホテル群の奥に残る、静かな坂道の温泉街。なぜここが「湯元」と呼ばれるのだろう。
目次

台温泉ってどんなところ? | 4コマ漫画で体験してみる

ゆめにゃん

猫は入れないからフィクションにゃ…

台温泉の魅力を詰め込んだ4コマ漫画。古湯の街並みや多彩な源泉、花巻グルメと里山散策を紹介。

台温泉レビューと注目ポイント考察

この記事は、筆者が実際に温泉を訪れた際に感じた「なぜ?」をきっかけに、温泉分析書や公開資料などを調べ、自分なりに考察した内容です。資料から確認できる事実と筆者個人の考察を分けて記載するよう努めていますが、専門家による学術的な見解や結論を示すものではありません。直接的な裏付けを確認できていない仮説や想像については、その旨を明記しています。一人の温泉好きが、分析書や資料を眺めながら考えた「温泉の自由研究」としてお楽しみください。

源泉名「寿の湯」を手がかりに温泉街の湯けむりをたどる

精華の湯さんの分析書で興味深かったのが、源泉名の欄にある「台温泉(寿の湯)」という文字でした。施設名とは別の名前がついているということは、この湯には別の「生まれた場所」があるはずです。

湯上がりに温泉街を歩くと、坂の途中のあちこちから白い湯気が立ちのぼっていました。もしかすると、あのどれかが寿の湯だったのではないか。そう思い始めた瞬間、想像が膨らんできました。

調べてみると、台温泉を訪ねた方の湯治宿めぐりの記録には、温泉街の中ほどに寿の湯源泉があり、水蒸気が噴き出して硫黄の匂いがすると書かれていました。さらに、別の温泉訪問記では、やまゆりの宿さんの駐車場に湧出場所があると紹介されています。そして、やまゆりの宿さんの公式サイトには、「寿の湯」と名付けられた浴室もありました。

さまざまな源泉が利用されている台温泉。そのなかで「寿の湯」という名前は、温泉街の一角で湯気を上げる源泉とともに、受け継がれてきたのかもしれません。浴室に漂っていたほのかな硫黄の香りと、温泉街に立ちのぼる湯けむり。分析書の小さな文字をきっかけに、あの風景が少し違って見えるようになりました。

95.6℃、沸騰寸前の源泉はどこで温められているのか

分析書の泉温欄には「源泉95.6℃」。水の沸点まであと少しという数字です。湯船は加水されているとはいえ、しっかり熱めで、湯口のまわりは特に熱気を感じました。

これほど熱いのなら、近くに噴気地帯のような荒々しい場所があるのではないか。ところが台温泉は静かな谷あいの温泉街で、火山の気配は目に入りません。この熱はどこから来ているのだろう、と気になりました。

資料を探すと、やまゆりの宿さんの公式サイトには、泉温96℃の源泉が敷地内の地下300~400mから自噴していると紹介されていました。一方、産業技術総合研究所の解説によると、一般的な地温の上昇率は100mにつき平均約3℃。この目安だけで考えると、地下300~400mでは地表より10℃前後しか高くなりません。

さらに、JOGMECの地熱調査に関する解説では、地熱を考えるうえで、地下の熱源だけでなく、熱水が通る道や蓄えられる場所も重要だと紹介されていました。つまり、源泉が湧き出す深さと、地下水が温められた深さは、必ずしも同じではないようです。

資料を並べてみて、台温泉の熱さは、奥羽山脈の地下にある熱が、熱水とともに比較的浅いところまで運ばれてきた結果なのかもしれない、と想像しました。90℃台の湯が自ら噴き上がるということは、地下には熱水が上がってきやすい通り道があるのだろうか。湯船の熱さが、地下の見えない構造への入り口のように思えてきました。

陰イオンの約6割が硫酸イオン、その出どころを想像する

分析書の陰イオン欄で一番大きな数字は、硫酸イオンの466.0mg/kgでした。ミリバル%(イオンの量を電気的な強さでそろえて比べた割合)では59.22%。塩化物イオンの29.18%を大きく上回っています。泉質名が「硫酸塩・塩化物泉」と、硫酸塩が先に来る理由がここにあります。

最初は「含硫黄の温泉なのだから、地下の硫化水素が酸素に触れて硫酸イオンに変わったのだろう」と単純に考えました。ところが、硫化水素イオンは4.1mg/kgで、硫酸イオンとはずいぶん開きがあります。この違いを見て、硫黄が別の形でたっぷり溶け込んでいるのには、ほかの理由もあるのではないかと気になりました。

そこで調べてみると、産総研の研究者らによる北陸のグリーンタフ地域の温泉に関する学会発表が見つかりました。グリーンタフとは、古い海底火山活動でできた緑色がかった凝灰岩などの地層のことです。発表では、カルシウムと硫酸イオンに富む温泉について、地層中の石膏や硬石膏(どちらも硫酸カルシウムの鉱物)が溶け出すことで、その水質が形づくられると考察されていました。炭酸水素イオンに乏しいことも特徴として挙げられています。

寿の湯の分析書を見直すと、炭酸水素イオンは6.65%と控えめです。ただし、カルシウムは10.45%で、陽イオンの主役はナトリウム(87.92%)。発表で紹介されているタイプとそっくり同じではありません。

それでも、硫酸イオンの多さは、湧き口の硫黄だけでなく、湯が通ってきた地層の性格を映しているのかもしれない、と想像が膨らみました。分析書の一行が、地下の岩の種類にまで思いを向けさせてくれました。

含硫黄なのに香りは穏やか、pH8.3がにおいを左右している?

泉質名の頭に「含硫黄」とついているのに、浴室の香りは意外なほど穏やかでした。湯口のそばでふわっと硫黄が香る程度。むしろ浴室に満ちる木の香りのほうが印象に残ったくらいでした。

硫黄の量が少ないから香りも控えめなのかな、と最初は考えました。ところが分析書を見直すと、硫化水素イオンが4.1mg/kg、チオ硫酸イオンが0.6mg/kg、遊離硫化水素が0.4mg/kg。硫黄成分がしっかり含まれています。量だけでなく「形」に秘密があるのかもしれない、と思い直しました。

手がかりになったのは、環境省の温泉利用施設における硫化水素中毒事故防止のためのガイドラインです。そこには、アルカリ性や弱アルカリ性の硫黄泉では、においのもとになる遊離硫化水素がほとんど含まれず、硫化水素イオンやチオ硫酸イオンとして含まれると書かれていました。また、これらに含まれる硫黄を合計した「総硫黄」が1kgあたり2mg以上であることが、硫黄泉の分類基準となっています。

寿の湯のpHは8.3の弱アルカリ性。硫黄成分の多くが、においを放ちにくいイオンの形で溶けていると考えると、香りの穏やかさにも納得がいきます。資料の計算方法で総硫黄を見積もると約4.7mg/kgとなり、基準の2mg/kgを超えていました。

以前、台温泉を訪れた方の記録には、別源泉を使う宿で、天気が悪いと硫黄臭がするらしいという話も紹介されていました。天候によって香りの感じ方も変わるのだろうか。穏やかな硫黄の香りの裏側を想像すると、次は雨の日にも訪れてみたくなりました。

メタケイ酸100.9mg、湯上がりのしっとり感の正体を探る

湯上がりに腕をなでると、さらりとしていながら、どこかしっとりした感触が残っていました。熱めの湯なのに肌が突っ張らない印象でした。この感覚はどこから来るのか、分析書の非解離成分の欄に目が行きました。

そこにあったのはメタケイ酸100.9mg/kg。メタケイ酸はケイ素を含む成分で、肌ざわりとの関係についての説明をよく見かけます。もしかすると、あのしっとり感に関係しているのではないか、と予想しました。

調べてみると、温泉法ではメタけい酸が1kgあたり50mg以上あれば、それだけで温泉の条件を満たすとされています。寿の湯はその約2倍です。また、大分県産業科学技術センターの温泉成分インフォグラフィックでは、温泉の肌感を伝える表現として、pHに「つるつる・すべすべ」、メタけい酸に「しっとり」が対応づけられていました。弱アルカリ性とメタケイ酸の組み合わせは、私が感じた「さらり+しっとり」と重なるようで興味深く思いました。

もうひとつ面白かったのが、別府の温泉マイスターによるメタケイ酸を多く含む温泉の研究です。表に並ぶメタケイ酸の多い源泉は、いずれも80℃台から90℃台の高温泉でした。

台温泉でも、平成4年の滝の湯旅館さんの分析書を紹介した記録では、泉温76.0℃でメタケイ酸89.9mg/kg。95.6℃の寿の湯は100.9mg/kgです。わずか2つの比較なので偶然かもしれませんが、「熱い源泉ほど、地下で岩からケイ酸を多く溶かし込んでくるのでは」と想像が広がりました。

成分総計1.237g/kg、泉質名を分ける「1gの境界線」

分析書の下の方に「溶存物質(ガス性のものを除く)1.236g/kg」とあります。この数字を見て、すぐに思い出したのが、台温泉の別の宿で見た泉質名でした。中嶋旅館さんの2号泉は「単純硫黄泉」と紹介されています。同じ温泉街、同じ弱アルカリ性で90℃台の湯なのに、片や「単純硫黄泉」、片や「含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉」。この違いはどこで生まれるのでしょうか。

成分の濃さの差だろう、と見当はつきました。確か1g(1,000mg)が境界線だったなと思いつつ、念のため確認しました。

環境省の鉱泉分析法指針によると、溶存物質(ガス性のものを除く)が1kgあたり1,000mg以上なら、主なイオン成分によって塩類泉に分類されます。1,000mg未満で泉温25℃以上なら単純温泉に分類され、硫黄などの特殊成分が基準を満たすと「単純硫黄温泉」などの名前になります。寿の湯は1,236mgなので、硫酸塩泉・塩化物泉の成分名がつく側に入ります。

さらに調べると、中嶋旅館さんの2号泉を紹介した訪問記には、溶存物質0.8538g/kgとありました。そして、平成4年の滝の湯旅館さんの分析書を紹介した記録では、溶存物質計1.003g/kg。こちらは境界線をわずか3mgだけ上回っています。

これらを並べてみると、台温泉には1gの境界線を挟んで、成分量の異なる源泉があることがわかります。数十mg、場合によっては数mgの差で、分析書の泉質名ががらりと変わることもある。宿ごとに泉質名が違うのは、まったく別の性格の湯というより、よく似た成分構成でも境界線のどちら側にいるかで名前が変わる場合があるのかもしれません。泉質名だけで湯を判断せず、分析書の中身まで読むことの面白さを改めて感じました。

ラドン0.514マッヘ、小さな数字に込められた情報を読む

分析書の5行目に「ラドン(Rn)含有量 1.869×10⁻¹⁰キュリーラドン/kg(0.514マッヘ/kg)」と書いてありました。放射能泉でもないのに、わざわざラドンが測られて書かれている。温泉好きとしては見過ごせない一行です。

「この数値は台温泉のなかで多いのか少ないのか」。比べる相手が欲しくなりました。

まず基準を確認すると、温泉法ではラドンが20×10⁻¹⁰キュリー/kg以上で温泉の条件を満たし、療養泉の基準は30×10⁻¹⁰キュリー/kg以上です。寿の湯の1.869は、どちらの基準の10分の1にも届きません。

台温泉の他の源泉では、中嶋旅館さんの2号泉が0.583マッヘ、平成4年の滝の湯旅館さんの分析書が1.41マッヘと紹介されていました。寿の湯は中嶋旅館さんの源泉と近い値です。

ここで気になったのが、測定した時代や方法の違いです。香川県環境保健研究センターのラドン測定方法の変更に関する研究報告によると、平成26年の鉱泉分析法指針改訂で測定方法が追加され、同じ試料でも方式によって低めの値が出ることがあるそうです。ラドンが気化しやすい成分であることにも触れられていました。

分析の年や方法が違えば、数字の見え方も変わる。滝の湯旅館さんとの差も、源泉の個性なのか、時間の経過や測り方の違いが関係しているのか、気になるところです。ほんの小さな数字ですが、分析書を「いつ・どう測ったか」まで含めて読む大切さを教えてくれました。

湯口の手前30cm、加水と温度センサーの工夫を観察する

掲示板には、法定の掲示とは別に「浴槽への給湯水への加水の様子について」という手づくりの説明が貼られていました。写真付きで、浴槽の手前30cmで加水し、温度センサーで給湯の温度を制御していると書かれています。ここまで丁寧に仕組みを見せてくれる施設は、そう多くありません。

なぜ「手前30cm」なのか。貯湯槽であらかじめ水と混ぜておくより、浴槽に入る直前で混ぜたほうが、源泉が空気や時間にさらされる間が短くて済むからではないか、と考えました。湯口から注がれる湯を眺めながら、その30cmに込められた意図を想像していました。

調べてみると、精華の湯さんでは浴槽に注ぐ約30cm手前で高温の源泉に加水していることが、過去の訪問記でも紹介されていました。高温泉の冷まし方にはいろいろあり、別府には竹製の冷却装置「湯雨竹」で冷まし、加水による希釈をほとんど避けている例も紹介されています。

では、どのくらい水を足しているのか。熱の逃げを無視したざっくり計算ですが、95.6℃の源泉を10℃の水で42℃にするなら、混合後の源泉の割合はおよそ4割弱になります。実際の加水量はわかりませんが、温度を下げるには相応の水が必要なのだと感じました。

そう考えると、湯船の湯は源泉を薄めた湯であるのも確かです。それでも、混ぜるのは浴槽のすぐ手前で、温度はセンサーで管理されている。限られた条件のなかで、源泉の鮮度をできるだけ保とうとする工夫なのかもしれません。加水の「量」だけでなく「場所」にも目を向けると、湯口の見え方が変わってきました。

掲示日「平成17年5月」は温泉の表示が変わった月だった

加水や消毒の有無を示す掲示の右上に、小さく「平成17年5月 掲示」とありました。見出しには「環境省・温泉法第14条第1項の規定による掲示」と強調されていました。分析書の日付は気にしても、掲示の日付まで見ることはあまりありませんが、この年月には何か意味がありそうに思えました。

加水・加温・循環・入浴剤・消毒をまとめて書くこの形式は、どこかの時点で全国一斉に始まったものではないか。この目立つ掲示を見ると、その始まりが平成17年5月だったのではないか、と予想しました。

環境省の報道発表資料を見ると、予想どおりでした。温泉法施行規則の改正で、加水・加温・循環(ろ過)・入浴剤・消毒の有無や理由について、掲示項目が追加され、その施行日は平成17年5月24日でした。環境省の利用者向けリーフレットには、前年に一部の施設で表示のないまま入浴剤などが使われていた事例が明らかになったことが、きっかけとして書かれていました。

さらに、当時の環境省のリーフレットでは、清掃の状況や湯の入れ替え頻度についても、事業者による自主的な情報提供が推奨されていました。精華の湯さんの掲示には「毎日、全換水ならびに浴槽内の清掃を実施しています」という一文があります。まさに、その自主的な情報提供にあたる部分です。

もうひとつ面白いのが条文の番号です。現在、温泉の成分などの掲示は温泉法第18条に定められています。調べてみると、平成19年の法改正で旧第14条が第18条に変わっていました。掲示に書かれた「第14条」は、制度が始まった当時の条番号を今に伝えているわけです。壁の一枚の紙が、温泉の表示の歴史の証人のように見えてきました。

花巻温泉の湯はここから始まった、「湯元」台温泉の引湯史

台温泉へ向かう道では、手前の花巻温泉に建つ大きなホテル群を通り過ぎました。その奥の谷あいに、細い坂道の湯治場がひっそりと現れる。リゾートの「奥座敷」という言葉がぴったりの景色です。資料を読むと、台温泉はしばしば花巻温泉の「湯元」と呼ばれています。奥にあるほうが元祖、というのが気になりました。

もしかすると花巻温泉は最初、台温泉から湯を分けてもらうところから始まったのかな、と想像しました。そうだとすれば、あの熱い源泉が花巻温泉の歴史を支えたことになります。

調べてみると、まさにそのとおりでした。花巻温泉株式会社の公式沿革によると、創始者の金田一国士が大正12年(1923年)8月、台温泉から湯を引いて開業したそうです。当時は旅館だけでなく、遊戯場や動物園、テニスコートなども備えた一大リゾートを目指していました。

さらに、花巻市の公式資料によると、昭和2年(1927年)には宮沢賢治が花壇の設計や庭造りを指導していました。現在の花巻温泉バラ園は、賢治が設計に関わった南斜花壇の跡地に造られたものです。台温泉の湯から始まった温泉地に、賢治の花壇があった。そう知ると、湯の流れと文化の流れが一本の線でつながって見えてきました。

ここからは私の妄想です。寿の湯の源泉温度は95.6℃。これほど熱い湯なら、運ぶあいだに適度に冷めてくれることで、高温泉はむしろ引湯に向いた資源だったのではないか。大正時代に引かれた源泉の温度まではわかりませんが、台温泉の豊かな熱が、花巻温泉のリゾート開発を後押ししたのかもしれない、と想像が広がりました。

200年の湯治場で、湯上がりの手打ちそばに思いを巡らす

湯上がりに温泉街を歩くと、車1台がやっと通れるほどの坂道に、木造の宿が肩を寄せ合っていました。ひときわ目を引く木造4階建ての建物を見上げながら、この街はいつ、どんな人たちによって形づくられてきたのだろうと気になりました。

長く湯に通う湯治客が暮らしたから、宿が密集した街並みになったのではないか。そして湯治客の食卓は、自炊や地元の素朴な食べ物が中心だったのではないか、と想像しました。

調べてみると、台温泉は約1200年前に発見されたと伝わる歴史ある温泉地で、平安時代の坂上田村麻呂による発見伝説や、南部藩主が訪れたという歴史も紹介されていました。温泉街の道幅は、馬車が通っていた時代のままともいわれています。目を引いた木造4階建ては中嶋旅館さん。昭和3年(1928年)に宮大工によって建てられたと伝わる、風格ある建物です。

興味深かったのは、台温泉を訪れた方の湯治宿めぐりの記録にあった、温泉街にはもともと機織物屋から温泉宿になったところが多いという、宿の方のお話です。同じ記録では、自炊宿だった時代の面影を残す宿も紹介されていました。湯治場は、湯を中心に人の暮らしや生業が寄り集まってできた街なのかもしれません。

食について調べると、精華の湯さんに隣接するそば房かみやさんの公式サイトが見つかりました。会津産のそば粉をつなぎなしで打つ手打ちそばが自慢で、お昼の予約制営業とのこと。さらに、台温泉周辺では春になると、わらびやぜんまいなどの山菜も楽しめるそうです。

熱い湯を楽しんだあとに、山の恵みと手打ちそばをいただく。それは1200年の歴史を伝える湯治場の時間の流れに、ほんの少しだけ加わることなのかもしれません。次に訪れるときは、そばの予約も忘れずに入れておこうと思いました。

ゆめにゃん

湯けむりを追い、坂道を歩き、古き湯治場の面影に心を寄せる。
次の休みは、台温泉で「千年の時を越えて湧き続ける湯の物語」をたどる旅に出かけませんか?

95℃超の高温源泉が魅力

台温泉は、奥羽山脈の山あいに湧く歴史ある温泉地。精華の湯で利用される「寿の湯」は、分析書に95.6℃という高い源泉温度が記されています。湯けむりが立ちのぼる温泉街の風景にも、地下から届く豊かな熱を感じられます。

硫黄泉と硫酸塩泉の個性

台温泉には、硫黄を含む源泉や硫酸塩を主体とする源泉があり、施設ごとに異なるお湯の特徴を楽しめます。精華の湯の「寿の湯」は、含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉。成分の組み合わせに注目すると、温泉地の奥深さが見えてきます。

源泉かけ流しを支える工夫

精華の湯では、高温の源泉を浴槽の手前で加水し、温度を調節する仕組みが紹介されています。循環ろ過を行わず、浴槽へ湯を注ぐという湯使いも特徴のひとつ。熱い源泉をどのように浴槽へ届けるか、施設ごとの工夫にも注目したい温泉地です。

湯治場の風情が残る温泉街

約1200年前に発見されたと伝わる台温泉。山あいの細い坂道には、木造旅館や自炊宿などが並び、昔ながらの湯治場の面影が残されています。華やかな温泉リゾートとは異なる、静かで素朴な温泉街の雰囲気も大きな魅力です。

花巻温泉の湯元としての歴史

大正12年(1923年)、台温泉からの引湯によって開業した花巻温泉。現在の大きな温泉リゾートの出発点には、山奥の湯治場から届けられたお湯がありました。花巻温泉郷の歴史を知るうえでも、台温泉は興味深い存在です。

温泉マニアあるある! – 台温泉考察編

ゆめにゃん

マニアの人はこうなっちゃう…かも!?

湯けむりを見ると源泉を探し始める

台温泉の細い坂道を歩いていると、あちこちから立ちのぼる湯けむり。普通の人なら「温泉街らしくていいね」と写真を撮りますが、マニアは「あの湯けむり、どの源泉だろう?」とキョロキョロ。友達に「景色を楽しめよ!」と突っ込まれても、「いや、この景色の地下が気になるんだよ!」と、目線はすでに地中へ向かっています。

95.6℃の数字に妙な興奮を覚える

分析書に「源泉温度95.6℃」と書かれていると、マニアは「おおっ!あと4.4℃で100℃!」と大興奮。友達が「熱すぎて入れないじゃん」と冷静に返しても、「そこがロマンなんだよ!」とドヤ顔。浴槽のお湯は適温でも、頭の中では95.6℃の源泉が勢いよく湧き出しています。

硫黄の香りを探して鼻が忙しくなる

ほんのり漂う硫黄の香り。マニアは「おっ、硫黄だ!」と嬉しそうに鼻を動かします。ところが木の香りも感じられると、「待てよ、こっちは浴室の木材かな?」と分析開始。友達が「いいお風呂だね」とくつろいでいる横で、マニアの鼻だけが温泉成分の捜査を続けています。

泉質名の境界線に妙なロマンを感じる

分析書で溶存物質1.236g/kgを見つけると、「おおっ、1gを超えてる!」と興奮するマニア。友達が「0.236gの違いでそんなに嬉しいの?」と尋ねると、「いやいや、泉質名の分類に関わる大事な数字なんだよ!」と力説。さらに近隣の単純硫黄泉との比較を始め、「もう数字の話はいいから、お風呂に入ろうよ」と連行されてしまいます。

硫酸イオンの割合に反応する

分析書で硫酸イオン466.0mg/kg、陰イオンの約59%という数字を見つけると、マニアは「おお、硫酸塩が主役か!」と嬉しそう。友達が「硫黄と硫酸って違うの?」と聞くと、「いい質問だね!」と突然の化学講座が開講。気づけばナトリウムや塩化物の話まで広がり、「もう授業終わっていい?」とお願いされてしまいます。

ラドン0.514マッヘを見逃さない

分析書の片隅に「ラドン0.514マッヘ」と書かれていると、マニアは「ほほう……」と急に真剣な顔。友達が「そんな小さい数字まで見るの?」と驚いても、「小さいからこそ気になるんだよ!」と満足そう。さらに別の宿の分析書と比較し始め、「今日は数字を見に来たの?」と聞かれてしまいます。

温泉法の掲示で歴史を語り始める

加水や消毒の掲示に「平成17年5月」と書かれているのを発見したマニア。「おっ! これは温泉法の掲示制度が変わった時期だ!」と興奮します。友達が「そんなところまで読むの?」と呆れても、「しかも第14条って書いてある! 今は第18条なんだよ!」と追撃。温泉に入りに来たはずが、いつの間にか法改正の勉強会が始まっています。

木造旅館を見ると湯治客を想像する

坂道に並ぶ木造旅館を見上げて、「この街並み、いいなぁ……」としみじみするマニア。友達が「レトロで素敵だね」と写真を撮っていると、「昔は自炊しながら長く滞在した人もいたんだろうね」と妄想開始。さらに「花巻温泉もここから湯を引いたんだよ!」と話が広がり、友達から「歴史ガイドさんですか?」と突っ込まれます。

お殿さまの入湯伝説に食いつく

「台温泉はさ、坂上田村麻呂の開湯伝説があるんだよね」と知識を披露するマニア。友達が「ふーん……」と返すと、「しかも、後には南部藩のお殿さまも訪れたと伝わっていてさ……」と追撃。まわりからは”湯めぐりお殿さま”とあだ名されてしまうのです。

管理人

管理人いじりですね…
そう呼ばれるのも悪くない!

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この記事を書いた人

温泉巡り歴15年。
トロトロのお湯と硫黄の香りが大好物。
なのに他の泉質にもすぐハマってしまう。
休日は山奥の秘湯へ直行。
そして、猫が好き。

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