伊豆半島南部、下田市横川の山あいに佇む観音温泉。複数の自家源泉を持ち、pH9を超えるアルカリ性単純温泉を湛える湯処です。
日帰り浴場で使われる観音温泉3号泉は、源泉42.6℃。掲示された利用状況には、加水・加温・循環・ろ過・添加・消毒のすべてに「無」が並びます。
無色透明で香りは穏やか。それでいて、湯に触れれば輪郭のはっきりした湯ざわりが残る。数字と体感の両方から、その個性を追いたくなる温泉です。
- 観音温泉の日帰り入浴体験
観音プリンシプルを実際に訪れた当日の流れを紹介します。 - 観音温泉の泉質と湯ざわり
pH9.4のアルカリ性単純温泉を実際の体感から振り返ります。 - 源泉かけ流しの湯づかい
加水・加温・循環・ろ過なしの利用状況を現地掲示から確認します。 - 温泉分析書と源泉成分
源泉42.6℃やメタケイ酸123mg/kgなどの数値を読み解きます。 - 観音温泉へのアクセスと道
伊豆長岡から天城越えを経て向かった山道の様子を紹介します。

観音温泉ってどんなところ? | 4コマ漫画で体験してみる
ゆめにゃん猫は入れないからフィクションにゃ…


観音温泉 体験記
11月下旬の休日。前日に沼津での用事を済ませ、宿を取ったのは伊豆長岡。翌朝は天城峠を越え、奥下田の観音温泉へ車を走らせました。
狭い山道の先で待っていたのは、開館直後の観音プリンシプル。清掃を終えた浴槽には、ちょうど源泉が注がれている途中でした。
pH9.4、源泉42.6℃、加水も加温もなし。温泉分析書を読み、総檜の浴槽へ入り、掲示された数値と目の前の湯を一つずつ照らし合わせていきます。
前夜を過ごした伊豆長岡から南へ向かい、天城峠を越えて下田へ。市街地へ入る直前で進路を山側へ変えると、道幅は次第に細くなりました。観音温泉へ着くまでの移動そのものが、海辺の伊豆とは違う景色へ切り替わっていきます。
- 伊豆長岡から南へ
前日に沼津で用事を済ませましたが、下田方面では希望する宿を確保できず、その夜は伊豆長岡に宿泊しました。翌朝8時30分ごろに出発。観音プリンシプルの開館時刻に合わせ、国道を南へ進みます。市街地を離れるにつれて建物が減り、車窓には山の稜線と木々が続くようになりました。 - 天城越えで小休止
途中、「道の駅 天城越え」に車を入れました。ドアを開けると、道路沿いとは空気の匂いが変わり、周囲には木々の香りが漂っています。車内で固まった姿勢を伸ばしながら敷地内を少し歩き、再びハンドルを握りました。ここから先は天城を越え、伊豆半島をさらに南へ下っていきます。 - 徐々に狭まる山道
下田市街地へ入る手前で国道を離れ、横川方面へ折れました。最初はそれほど構えていませんでしたが、観音温泉へ近づくにつれて道幅が細くなります。場所によっては対向車とそのまますれ違うのが難しい区間もありました。カーブの先を確認しながら速度を落とし、山の奥へ車を進めました。 - 観音像が迎える浴場棟
10時30分ごろに駐車場へ到着。まだ開館前だったため、受付周辺の小道を歩きました。石畳の先には木々が茂り、その向こうに観音プリンシプルの建物が見えます。瓦屋根の玄関脇には観音像。葉の擦れる音を聞きながら坂を下り、日帰り浴場の入口へ向かいました。
浴室へ直行する前に足が止まったのは、脱衣所に掲示された温泉分析書の前でした。泉質、pH、源泉温度、各成分、そして温泉利用状況。実際にこれから入る3号泉の数字が一枚に並んでいます。ここを読まずに浴槽へ向かうわけにはいきません。
- 三号泉の分析書と対面
掲示されていた源泉名は「観音温泉3号泉(横川17号)」。泉質はアルカリ性単純温泉(低張性・アルカリ性・高温泉)、源泉温度は42.6℃です。採取地は下田市横川字一本松1104。目の前の浴槽へ注がれている湯の素性を確認してから、成分欄へ視線を移しました。 - pH9.4の成分構成
pHは9.4。陽イオンではナトリウムイオン50.2mg/kgが主体で、陰イオンは炭酸水素イオン20.8mg/kg、炭酸イオン33.7mg/kg、硫酸イオン24.1mg/kgなどが並びます。カルシウムとマグネシウムはいずれも検出限界に近い値。成分総計は0.263g/kgでした。 - メタケイ酸123mg/kg
非解離成分の欄で視線が止まったのが、メタケイ酸123.0mg/kgという数字です。一方、カルシウムイオンは0.1mg/kg未満、マグネシウムイオンは0.05mg/kg未満。数字だけを眺めても、硬度成分が非常に少ない構成であることが読み取れます。あとで浴槽へ入り、この数値と湯ざわりを照らし合わせることにしました。 - 利用状況は六項目すべて無
さらに利用状況欄を追うと、加水「無」、加温「無」、再利用「無」、ろ過「無」、添加物質「無」、消毒「無」と記載されています。目の前にある42.6℃の源泉を、大きく加工せず浴槽へ使う湯づかいです。ここまで確認すると、湯口から何がどの程度流れているのか、自分の目でも確かめたくなりました。
浴室へ入ると、清掃直後らしく床にはまだ利用者の痕跡がありません。漂っていたのは湯そのものの匂いではなく、総檜の浴場らしい木の香り。掛湯から浴槽、湯口、オーバーフローへと順に視線を移し、3号泉の湯ざわりを確かめていきました。
- 乾いた床と檜の香り
受付では「まだ湯を張っている途中かもしれません」と聞いていました。浴室へ入ると、利用者はまだおらず、洗い場の床も乾いた状態です。周囲には檜の香りが漂い、聞こえるのは湯口から落ちる湯の音。まず洗い場へ向かい、身体を流してから何度か掛湯を重ねました。 - 掛湯から分かる湯ざわり
最初に輪郭が出たのは掛湯でした。腕へ流した湯を手で払うと、指先が表面をすべるように動きます。硫黄泉のような強い香りも、鉄泉のような色もありません。ところが触覚には明確な特徴が残ります。先ほど読んだpH9.4や硬度成分の少ない組成を頭に置き、そのまま内湯へ入りました。 - 縁を越えて流れる透明湯
浴槽へ身体を沈めると、増えた湯量が檜の縁を越え、洗い場側へ流れ出しました。湯面には波紋が広がり、オーバーフローした湯が床を細く流れていきます。湯色は無色透明。浴槽内に目立つ湯の花や浮遊物は見当たらず、底の木目まで視線が届きました。 - 露天で外気と湯温を比べる
内湯のあと、扉を開けて露天風呂へ移動しました。外へ出ると空気の温度が一段下がり、岩造りの浴槽から薄い湯けむりが上がっています。湯へ入って肩まで沈み、しばらく動かずに周囲を見渡しました。木々の隙間には青空。聞こえてくるのは水音と葉の擦れる音が中心です。
湯から上がったあと、脱衣所の壁へ戻り、温泉分析書と隣の水質検査結果をもう一度確認しました。浴槽で確かめた温度、透明度、湯の流れを頭に残したまま数字を見ると、入浴前とは読み方が変わりました。
- 42.6℃という源泉温度
源泉温度は42.6℃。加温も加水も「無」と掲示されています。外気温や浴槽までの経路によって温度は変わるため、源泉温度と浴槽温度は同じではありません。それでも、加工を増やさず浴用へ使いやすい温度帯にあることは数字から確認できます。湯口と浴槽内の位置で温度差があることも、実際に入りながら追えました。 - 採水時の浴槽水温は41℃
隣に掲示されていた2025年8月27日採水の水質検査結果を見ると、観音プリンシプル男子浴場の水温は41℃と記録されています。訪問日の実測値ではありませんが、「源泉42.6℃」と「採水時41℃」という二つの数字が並ぶと、この源泉温度をどのように浴槽で使っているのかが具体的に見えてきました。 - 水質検査結果も確認
同じ検査票では濁度0.1度未満、大腸菌0個/mL、レジオネラ属菌は検出なしと記載されていました。利用状況表では消毒「無」と掲示されています。結果を一つずつ読み、さきほど目にした透明な浴槽水や、清掃直後から注湯していた光景と照らし合わせました。 - スタッフの言葉から知る管理
入浴前、「清掃後で、まだ湯船に湯が張りきっていないかもしれません」と説明を受けていました。帰り際にもスタッフの方と言葉を交わしました。分析書の数字だけでは見えない作業があり、その積み重ねの先に、朝一番の浴槽が用意されています。
観音プリンシプルを出たあと、坂道を上って受付棟へ戻りました。湯の余韻だけで締めず、最後に手に取ったのは売店のペットボトル入り温泉水です。入浴に使われる源泉を今度は飲用の商品として口にし、スタッフへ礼を伝えて奥下田を後にしました。
- 坂を上って受付へ戻る
浴場棟の暖簾を出ると、先ほど下ってきた敷地内の坂道を今度は上っていきます。昼が近づき、到着時とは光の向きも変わっていました。木々の間から差す日差しを横目に受付棟へ戻り、売店の前で足を止めました。そこで目に入ったのが、ペットボトル入りの「飲む温泉」です。 - 温泉水を一本購入
入浴後の水分補給も兼ねて一本購入し、その場でキャップを開けました。口に含むと、強い味や匂いは前へ出てきません。舌の上を静かに通り、そのまま喉へ落ちていきます。浴槽では全身で触れた観音温泉を、今度は飲用として確かめました。もちろん、飲用として販売されている商品を利用しています。 - スタッフさんへ礼を伝える
鍵を返却するとき、受付のスタッフへ声をかけました。朝一番で清掃後の注湯途中から入れたこと、加水や加温を行わない湯づかいを間近で見られたことについて礼を伝えます。スタッフは穏やかに応じ、湯温確認や清掃についても短く説明してくれました。こうした管理があって浴槽に湯が張られていることを、最後にもう一度確認できました。 - 東伊豆の海岸線へ
玄関を出て駐車場へ戻り、エンジンを始動しました。往路と同じ細い山道を慎重に下り、広い道路へ出たところで進路を東へ取ります。つい先ほどまで木々に囲まれていた視界が次第に開け、その先には伊豆の海。山奥のアルカリ性単純温泉から海岸線へ、次の目的地へ向けて車を走らせました。



山道を越え、透明な源泉に浸かり、最後はその温泉水で喉を潤す。
次の休みは、観音温泉で「飾らない源泉の個性」を一つずつ確かめる旅へ出かけませんか?
観音温泉 – アクセスと基本情報
| 温泉地名 | 観音温泉 |
|---|---|
| 所在地 | 静岡県下田市横川 |
| 入浴施設 | 観音温泉 |
| 主な泉質 | アルカリ性単純温泉(低張性・アルカリ性・高温泉) pH:9.4~9.5前後 ※観音温泉3号泉は現地掲示の温泉分析書でpH9.4。 |
| お湯の特徴 | 無色透明のアルカリ性単純温泉で、なめらかでとろみを思わせる湯ざわりが特徴です。 日帰り浴場で使われる3号泉は源泉42.6℃、pH9.4。現地掲示では加水・加温・循環・ろ過などを行わない湯づかいが確認できます。 |
| 香り | 源泉そのものは強い香りで主張するタイプではなく、硫黄臭や鉄臭なども目立ちません。 そのぶん浴場では、湯口から流れる湯の音や湯けむり、総檜風呂に漂う木の香りなど、周囲の空気を含めて静かに楽しめます。 |
| 雰囲気 | 下田の海岸部から離れた横川の山あいにあり、細い山道を進んだ先に温泉施設が現れます。 賑やかな温泉街を歩くタイプではなく、周囲を木々に囲まれた一軒宿型の環境。 奥下田まで源泉を目当てに訪れる旅が似合う温泉です。 |
| 楽しみ方 | まずはアルカリ性単純温泉の湯ざわりをじっくり確かめ、日帰りなら観音プリンシプルへ。 下田市街へ足を延ばせば、金目鯛などの海の幸やペリーロード散策も組み合わせられます。 龍宮窟や爪木崎など伊豆らしい海景色を巡れば、「山の温泉+下田グルメ+海」の一日旅を楽しめます。 |
| ※源泉や施設によって記載と異なる場合があります。コンディションによって印象は変わる場合があります。 ※掲載している情報は訪問時のものです。最新の情報は公式サイト等で確認をお願いいたします。 | |
- pH9超の高アルカリ性温泉
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観音温泉を象徴する数字のひとつが、pH9を超えるアルカリ性です。複数の自家源泉を持ち、代表的な源泉はpH9.4~9.5前後。高アルカリ性の温泉を巡る旅や、泉質の違いを比べたい人にも注目しやすい湯処です。
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自家源泉を持つ観音温泉では、源泉そのものを生かした湯づかいが特徴。日帰り浴場の3号泉は、現地掲示で加水・加温・循環・ろ過などが「無」とされています。源泉かけ流しを重視して温泉を選ぶ際にも興味深い存在です。
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温泉マニアあるある! – 観音温泉レビュー編



マニアの人はこうなっちゃう…かも!?
- 分析書の前で入浴が一度止まる
-
せっかく観音温泉まで来たのに、浴槽より先に温泉分析書を発見すると足が止まります。「pH9.4、源泉42.6℃……なるほど」と読み始め、気づけば成分表までじっくり確認。友達から「早く入ろうよ」と言われても、「ちょっと待って、まだ陰イオン見てないから」。入浴前からすでに観音温泉を満喫しています。
- pH9.4を見てニヤッとする
-
「アルカリ性単純温泉」の文字を確認し、さらにpH9.4を発見すると表情が変わります。「ほう……9.4ですか」と、なぜか急に分析官のような口調。友達が「9.4だと何なの?」と聞けば、「まあ入れば分かるよ」とドヤ顔。何が分かるのかは説明せず、そのまま浴室へ向かいます。
- 掛湯の時点で湯ざわりを調査する
-
普通なら体を慣らすための掛湯ですが、マニアにとっては最初の観察ポイント。「おっ、この湯ざわり……」と、まだ浴槽にも入っていないのに早くも実況開始。透明な湯を手ですくい、温度や感触を確かめます。観音温泉では、掛湯すら立派なイベントになるようです。
- オーバーフローを見ると機嫌がよくなる
-
浴槽の縁から透明な湯がさらさらと流れていれば、視線は当然そちらへ。「出てるねぇ……」と小声でつぶやきながら、湯口と浴槽の縁を交互に観察します。友達には「何を見てるの?」と聞かれますが、「流れを見てる」としか答えません。透明な湯が床へ流れていく光景だけで、しばらく時間を使えます。
- 「全部、無」を何度も確認する
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加水なし、加温なし、循環なし、ろ過なし、添加物質なし、消毒なし。利用状況の掲示に「無」が並んでいると、一項目ずつ指で追いたくなります。「無、無、無……おお、ここも無!」。友達から「何もないじゃん」と言われれば、「そこがあるんだよ!」と謎の反論。無が多いほど情報量が増えるという不思議な世界です。
- 炭酸イオンの逆転に気づいてしまう
-
炭酸水素イオン20.8mg/kg、炭酸イオン33.7mg/kg。「……待て。炭酸イオンのほうが多いぞ」。普通なら絶対に始まらない比較が突然始まります。pH9.4の数字をもう一度見て、「なるほどねぇ」と一人で納得。友達には何が「なるほど」なのか分かりませんが、本人だけは小さな発見に大満足です。
- 水酸化物イオン0.4を見逃さない
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成分表のかなり地味な場所に「水酸化物イオン0.4mg/kg」の文字を発見。「おっ、OH⁻がちゃんと出てる!」と急に反応します。友達からすれば完全に誤差レベルの出来事ですが、本人はpH9.4と行ったり来たりして確認中。観音温泉では、0.4mg/kgでも立派な観光資源になってしまいます。
- メタケイ酸123で一度立ち止まる
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メタケイ酸123mg/kgを見つけると、「123……」と数字を記憶。そして実際に透明な湯へ浸かり、湯ざわりを確かめたあと、なぜか分析書へ戻ります。「やっぱり123だった」。別に数字が変わるわけではありません。それでも入浴前と入浴後で二度読むのが、分析書を愛する者の作法です。
- 帰る直前に分析書をもう一度見る
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温泉を出て、水分補給も済ませ、あとは帰るだけ。それなのに分析書の横を通ると、もう一度足が止まります。「そういえば、あれ何だったっけ……」。確認したかった項目だけ見るつもりが、またNa⁺から読み直し。観音温泉を出発できない最大の原因は、山道でも名残惜しさでもなく、分析書です。
- リン酸水素イオン0.4mg/kgで興奮する
-
最後の最後で見つけたのが、リン酸水素イオン0.4mg/kg。「リン酸水素イオン……あるじゃん!」と、なぜそこに食いついたのか本人にも説明できません。友達が「0.4でそんなに喜べるの?」と聞いても、「リンだぞ、リン!」と興奮は収まらず。まわりからは”湯めぐりおりん”とあだ名されてしまうのです。



管理人いじりですね…
そう呼ばれるのも悪くない!









