南アルプスの深い緑を縫うように山道を進み、早川の源流沿いに広がる奈良田集集落へ足を踏み入れました。
孝謙天皇の湯治伝説が語り継がれるこの地には、性格の異なる二つの源泉が静かに湧き続けています。
肌をすべらせる独特の湯ざわりと、木々の香りが混ざり合う山里の風が旅人を迎えます。
南アルプスの懐に抱かれた秘湯で、お湯の個性とじっくり向き合う時間が始まります。
- 秘湯へ向かう山道と南アルプスの景観
眼下に広がる谷と早川の渓谷、秋の季節感とともに、秘湯への道のりが非日常体験になります。 - 女帝の湯で体感する穏やかなぬるめの湯
木造浴室、穏やかな香り、細かな気泡。ぬるめの源泉かけ流し湯に浸かる、やさしい浴感が伝わります。 - 白根館の硫黄香と色が変わる不思議な湯
駐車場からただよう硫黄臭、透明から緑、乳白色へと変わる湯色。濃密な湯ざわりを感じられます。 - 2つの異なる源泉を比較しながら楽しむ
女帝の湯と白根館、2つの源泉の泉質・香り・湯ざわりの違いを体験的に比較できるレポートです。 - 孝謙天皇伝説が息づく奈良田の歴史と民俗
孝謙天皇の伝説、奈良田の七不思議、昔の暮らし道具。秘境に受け継がれた1300年の歴史が学べます。
奈良田温泉ってどんなところ? | 4コマ漫画で体験してみる
ゆめにゃん猫は入れないからフィクションにゃ…


奈良田温泉 体験記
青空が広がる9月下旬の休日、ハンドルを握って山梨県の奈良田温泉へ向かいました。
まずは外良寺近くの指定駐車場に車を停め、坂道を歩いて「女帝の湯」へ。続いて、硫黄の香りに包まれた「白根館」へ移動し、個性の異なる二つの源泉を巡りました。
それぞれの脱衣所で温泉分析書を眺め、湯船に身を沈めながら、香りや湯色、湯ざわりの違いを確かめます。
南アルプスの山深い集落へ向かった道のりから、二つの湯を巡り終えるまでの体験を、当日の行程に沿ってお届けします。
山梨県の山深い県道を走り抜け、早川の流れを横目に奈良田へ到着しました。車を降りて歩き始めると、鳥の声や水音が響く山里の空気へ、少しずつ切り替わっていきます。
- 指定駐車場から歩く集落の小道
女帝の湯へ向かうため、案内に従って外良寺近くの指定駐車場に車を停めました。車外へ出ると、山から吹き下ろす冷たい風が頬を撫でます。舗装された坂道をゆっくり登っていくと、木々の隙間から木造の建物が見えてきました。周囲に響くのは、鳥のさえずりと遠くを流れる水の音。玄関前には色づき始めた葉が落ちており、夏から秋へ移り変わる時期であることを感じました。 - 山間の景色と早川の流れ
坂道の途中で足を止め、眼下に広がる谷と早川を眺めました。緑がかった水面は陽光を反射し、流れの速い場所では白い飛沫が上がっています。周囲には山々が幾重にも重なり、頭上に広がる青空との鮮やかな対比を見せていました。舗装路の脇には小さな山野草も見えます。風が通り抜けるたびに葉が揺れ、谷から聞こえる水音も強くなったり、遠ざかったりしました。 - 女帝伝説が残る集落の雰囲気
集落内には、孝謙天皇が奈良田に滞在したと伝わる女帝伝説や、奈良田の七不思議を紹介する案内があります。古い木造家屋や石垣が坂道に沿って並び、山深い土地で受け継がれてきた暮らしの面影を残していました。急な坂を進むにつれて少し息が上がります。木々の間から差し込む木漏れ日が地面に模様をつくり、枝葉が揺れるたびに光の形も変わっていきました。 - 山々に囲まれた独特の空間
奈良田まで走ってきた長い山道を振り返ると、日常からずいぶん遠くまで来たことを実感します。周囲を囲む山並みは近く、谷底から吹き上がる風は9月下旬とは思えないほどひんやりとしていました。やがて目的地である女帝の湯の屋根が見え、歩く速さが自然と増していきます。木の扉を開け、館内へ足を踏み入れました。
木造の浴室へ入ると、木の香りに重なるように、ほんのり甘さを含んだタマゴのような香りが鼻をかすめました。二つに分かれた浴槽を行き来しながら、ぬるめの湯をゆっくりと体感します。
- 木造浴室と穏やかな湯の香り
脱衣所で服を脱ぎ、浴室の扉を開けると、木をふんだんに使った浴槽が目に飛び込んできました。洗い場で体を流してから浴槽の縁に腰をかけると、木の香りに交じって、ほのかに甘い硫黄系の香りが漂ってきます。脱衣所に掲示された温泉分析書には、アルカリ性を示す数値や炭酸水素イオンなどの項目が並んでいました。手先を湯に入れると、指が滑るような、なめらかな湯ざわりが伝わってきます。 - 適度な賑わいと細かな気泡
休日だったため、浴槽には常時4~5人ほどの利用者がいました。それでも浴槽にはゆとりがあり、窮屈さを感じることなく湯に浸かれました。ぬるめの浴槽へ身を沈めていると、肌の表面に細かな泡が少しずつ付着していきます。指でそっと撫でると、泡は湯面へ向かってすっと浮かび上がりました。湯口の周囲には波紋が絶えず広がり、浴槽からあふれた湯が床を静かに流れていきます。 - 二つの浴槽で感じる温度の違い
女帝の湯の浴槽は二つに分かれており、場所によって湯温の違いを感じました。比較的温かく感じる側へ移ると、先ほどよりも熱がはっきりと伝わります。しばらく浸かった後でぬるい側へ戻ると、今度は湯のやわらかさや浮遊感が際立って感じられました。二つの浴槽を行き来しながら、湯口から流れ込む水音を聞き、頭上に伸びる木造天井の梁を眺めて過ごしました。 - 木枠からあふれ出すオーバーフロー
浴槽へ体を沈めると、その分だけ木枠の縁から湯があふれ、床へ流れ出していきました。足裏には浴槽の木の感触が伝わります。湯口の近くでは、無色透明の湯が絶えず注がれ、細かな泡と波紋を生み出していました。天井から差し込む光が湯面で揺れています。その反射と小さな気泡の動きを眺めているうちに、時間の流れを意識しなくなっていきました。
入浴後に廊下を進むと、山々を見渡せる大広間が広がっていました。館内の展示や木造建築を眺めながら、奈良田で受け継がれてきた伝承と暮らしに触れます。
- 山並みを望む開放的な大広間
浴室を出て木造の廊下を歩くと、大きな窓を備えた大広間へ出ました。窓の向こうには山々が広がり、濃淡の異なる緑が幾重にも重なっています。畳の上に腰を下ろすと、井草の香りがふわりと漂いました。ここは食事処になっており、今回は利用しませんでしたが、温かな料理らしい香りが廊下まで届き、歩いてきた坂道と入浴後の空腹を思い出します。 - 孝謙天皇の伝承と館内展示
館内には、奈良田の歴史や孝謙天皇にまつわる伝承が、写真や文章で紹介されていました。孝謙天皇が奈良田で8年間を過ごしたと伝わる物語を読みながら、かつてこの山深い土地を訪れた人々の旅路を想像します。周囲には昔の生活道具や農具も展示されており、木や鉄に残る傷や変色から、長く使われてきた時間が伝わってきました。資料を一つずつ眺めるうちに、奈良田が単なる温泉地ではなく、独自の文化を受け継ぐ集落であることを知りました。 - 改修前に見た木造建築
受付で係の方から、施設が近く改修に入る予定だと教えてもらいました。黒光りする太い柱や、歩き込まれて艶の出た廊下を改めて見渡します。階段の角には長年使われてきた跡があり、一段踏むたびに軽い音が館内へ響きました。改修の規模については聞きそびれてしまいましたが、建物が姿を変える前の時期に訪れられたことを記憶に残そうと、廊下や大広間の様子を目に焼き付けてから館を後にしました。
※これは2025年のお話ですので、営業状況は公式サイト等でご確認ください。 - 外良寺近くの駐車場へ戻る坂道
女帝の湯を出て、車を停めた場所へ向かう坂道を下り始めました。入浴後の体に山間の風が当たり、先ほどまでとは違う冷たさを感じます。途中で振り返ると、木々の向こうに女帝の湯の屋根が見えました。ゆっくりと坂を下り、駐車場へ戻ります。濡れたタオルを車に置き、次の目的地である白根館へ向けて出発しました。
女帝の湯から車で移動して白根館へ到着すると、車外へ出た瞬間に硫黄の香りを感じました。館内へ進むにつれて香りはさらに濃くなり、先ほどの湯とは異なる個性が伝わってきます。
- 車を降りた瞬間に感じた硫黄臭
白根館の駐車場に車を停め、ドアを開けた瞬間、はっきりとした硫黄臭が鼻へ届きました。女帝の湯で感じた穏やかな香りとは明らかに異なり、風が吹くたびに香りの濃淡も変わります。まだ浴室へ入っていない段階から、源泉の存在を意識させるほどでした。 - 歴史を感じる館内と受付
暖簾をくぐって館内へ入ると、落ち着いた木造の空間が広がっていました。受付で入浴の手続きを済ませ、木の廊下を奥へ進みます。館内には写真や民芸品が飾られ、歩くたびに床板が小さく音を立てました。浴室へ近づくにつれ、硫黄の香りはさらに明確になっていきます。 - 温泉分析書で確認した源泉データ
脱衣所で服を脱ぎながら、壁に掲示された温泉分析書へ目を向けました。訪問時の掲示には、源泉温度約47.8℃、pH9.1と記されていたと記憶しています。泉質名や成分表にも目を通し、女帝の湯とは異なる源泉であることを改めて確認しました。分析書の数値を眺めた後、衣服をかごへ収め、ガラス戸の向こうに湯けむりが漂う浴室へ入ります。 - 湯けむりの立つ浴室
扉を開けると、浴室には白い湯けむりが漂っていました。洗い場で体を流している間も、足元を流れる湯に、ぬるりとなめらかな感触があります。浴槽では湯口から源泉が注がれ、その音が浴室内へ響いていました。浴槽からあふれた湯は床を流れ、排水溝へ吸い込まれていきます。湯口や浴槽の縁には白い付着物も見られ、視線が自然とその凹凸へ引き寄せられました。
白根館の浴槽へ身を沈めると、緑がかった湯色と濃密なぬるすべ感に驚かされました。湯口から注がれる源泉や湯中を舞う湯の花を眺めながら、女帝の湯との違いを確かめます。
- 緑がかった乳白色の湯
この日の湯は、光の加減によって淡い緑を帯びた乳白色に見えました。白根館の源泉は、天候や気温などによって透明、緑色、乳白色と表情を変えることから、「七不思議の湯」と呼ばれています。湯面を手で軽く動かすと、細かな白い湯の花が舞い上がりました。照明を受けて揺れる湯の中へ、足先からゆっくりと入っていきます。 - 驚くほど濃密なぬるすべ感
腰を下ろして体を沈めた瞬間、湯が肌にまとわりつくような感覚がありました。腕を軽く擦り合わせると指先が滑り、女帝の湯で感じたなめらかさより、さらに濃密な印象を受けます。浴槽の中で手足を動かすたびに独特の抵抗感があり、この湯ざわりだけでも白根館まで訪れる理由になると思えるほどでした。 - 湯口と析出物を観察
湯口の近くでは、源泉が勢いよく注がれ、湯面へ絶えず波紋を広げていました。注ぎ口の周囲には、温泉成分によるものと思われる白い析出物が幾重にも付着しています。凹凸のある表面と、湯が流れ続ける様子を間近で眺めました。湯口付近へ顔を近づけると、立ち上る湯けむりとともに硫黄の香りが強く届きます。源泉の流れる音を聞きながら、浴槽の縁へゆっくり背中を預けました。 - 二つの源泉を巡って分かった違い
女帝の湯で体感した柔らかなぬる湯と、白根館で出会った硫黄の香りが際立つ濃密な湯。続けて入浴したことで、同じ奈良田温泉でも源泉によって湯色や香り、湯ざわりが大きく異なることを体感できました。脱衣所で服を着て、濡れたタオルを袋へ収めます。外へ出ると、山から吹く風が首筋を通り抜けていきました。夕暮れが近づき、山々の影が少しずつ深くなっていました。 - 山深い温泉地で思うこと
山深い場所にありながら、多くの温泉好きが訪れる奈良田温泉。休日などは多くの人を迎える日もあると思います。その中で、これだけ個性豊かなお湯を気持ちよく楽しめる環境が保たれていることは、決して当たり前ではありません。源泉そのものの魅力だけでなく、日々お湯と向き合い、浴場を守っている方々の工夫や手入れがあってこその湯景色なのだろうと感じました。二つの温泉で過ごした時間と、そこで出会えたお湯への感謝を胸に、車へ乗り込みました。



山深き奈良田で秘湯の湯巡りに没頭し、二つの源泉が魅せる独特の湯ざわりに酔いしれる。
次の休みは、南アルプスの懐に抱かれた奈良田温泉で「極上の湯浴み旅」へ出かけませんか?
奈良田温泉 – アクセスと基本情報
| 温泉地名 | 奈良田温泉 |
|---|---|
| 所在地 | 山梨県南巨摩郡早川町奈良田 |
| 入浴施設 | 複数あり |
| 主な泉質 | 白根館:含硫黄-ナトリウム-塩化物温泉(低張性・アルカリ性・高温泉) 女帝の湯:ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 pH:女帝の湯8.5-8.8前後、白根館9.1前後 |
| お湯の特徴 | 奈良田温泉は、同じ温泉地でも源泉ごとに個性が大きく異なるのが魅力です。 白根館では、とろみを感じるような湯ざわりと、天候や光の加減で透明・淡い緑・乳白色へ表情を変える「七不思議の湯」が楽しめます。 一方の女帝の湯は、なめらかな肌触りの透明湯で、ゆったりと湯の違いを体感できます。 |
| 香り | 白根館では、駐車場に降り立った瞬間から硫黄の香りを感じることがあり、浴室ではさらに存在感が増します。 女帝の湯は、ほんのり甘さを思わせる穏やかなタマゴのような香りが漂い、木造浴室の木の香りとも調和しています。 源泉ごとの香りの違いを楽しみながら湯巡りできるのも奈良田温泉ならではです。 |
| 雰囲気 | 南アルプスの山々に囲まれた奈良田温泉は、山深い谷あいに広がる静かな温泉地です。 女帝伝説や奈良田の七不思議など、この土地ならではの歴史や伝承が今も語り継がれています。 早川のせせらぎや澄んだ空気に包まれながら散策すると、秘境らしい落ち着いた時間を過ごせます。 |
| 楽しみ方 | まずは女帝の湯で穏やかな湯ざわりを楽しみ、その後に白根館で硫黄の香りや湯色の変化を体感すると、奈良田温泉ならではの源泉の違いをより楽しめます。 温泉分析書を見比べたり、湯口やオーバーフロー、析出物を観察したりしながら入浴すると、温泉好きにはさらに印象深い湯巡りになります。 |
| ※源泉や施設によって記載と異なる場合があります。コンディションによって印象は変わる場合があります。 ※掲載している情報は訪問時のものです。最新の情報は公式サイト等で確認をお願いいたします。 | |
- トロトロの湯が誇る極上の肌触り
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強アルカリ性の性質を持つ奈良田温泉は、触れた瞬間にわかる濃厚なトロトロ感が魅力です。豊かなとろみと独自のオイルのような滑らかさを備えており、全国でも屈指のなめらかな浴感を心ゆくまで堪能できます。
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山梨県早川町の最奥部に位置し、山々や清流に囲まれた静寂なロケーションが魅力です。長い山道を抜けた先に現れる幻想的な集落と静かな環境は、日常から離れて本格的な湯巡りを楽しみたい方に適しています。
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温泉マニアあるある! – 奈良田温泉編



マニアの人はこうなっちゃう…かも!?
- 入浴順を前日から悩み始める
-
奈良田温泉へ行くと決まった瞬間、「先にどちらへ入るか」という重大会議が始まります。普通の人は「着いた順でよくない?」と言いますが、マニアは「最初のお湯が次の印象を左右するんだよ」と真剣そのもの。なめらかな湯ざわりから始めるか、硫黄の香りが印象的なお湯を先にするか。まだ奈良田へ着いていないのに、頭の中ではすでに二湯目まで入浴済みです。
- 営業情報を並べて行程表を作る
-
二つの源泉を楽しむには、それぞれの施設へ足を運ばなければなりません。そこでマニアは、出発前から両施設の営業日や受付時間を確認。「こちらを先にして、昼を挟んでもう一湯」と、温泉巡りとは思えない緻密な行程表を作ります。同行者から「旅行というより業務計画だね」と言われても、「二湯とも入るための源泉管理です」と胸を張ります。営業状況は変わることがあるため、訪問前の公式確認も欠かせません。
- 一度服を着る時間も比較の一部になる
-
一湯目を出たら、すぐ次の浴槽へ移動できるわけではありません。着替えて施設を出て、奈良田の集落を眺めながら次の温泉へ。その移動中もマニアの頭は大忙しです。「さっきの湯ざわりは、最初より後半のほうが印象的だったな」と脳内記録を開始。同行者が景色を楽しんでいる横で、ひとりだけ温泉レビューの下書きを進めています。
- 温泉分析書を比較したくなる
-
一つ目の施設で温泉分析書を見つけると、泉質やpH、源泉温度をじっくり確認。二つ目へ到着すると、今度は前の数値を思い出しながら分析書を読み始めます。友達から「また同じ紙を見ているの?」と聞かれても、「同じなのは紙の形式だけ。中身は別世界だよ」と即答。二枚の分析書がそろった瞬間、奈良田温泉巡りの資料集が完成します。
- 二湯目で記憶の答え合わせを始める
-
二つ目の温泉に浸かると、「なるほど、さっきとは違う」と小さくうなずきます。湯ざわり、香り、湯色、浴槽の造り、湯口から流れ込む様子まで、頭の中で一湯目との比較がスタート。同行者は静かに温泉を楽しんでいるのに、本人だけは脳内で比較表を作成中です。帰宅後には、「どちらが上ではなく、方向性が違う」という妙に格好いい結論へたどり着きます。
- 湯口の前で源泉の第一印象を確認する
-
浴槽へ入る前から、マニアの視線は湯口に一直線。流れ出すお湯の透明感や湯の花、析出物、香りの立ち方をじっと観察します。「まずは湯口に挨拶しないと」と言いながら、同行者より入浴開始が数分遅れることもしばしば。別の施設へ移動しても、やることは同じです。奈良田では二つの湯口に会えるため、本人にとっては温泉界のダブルヘッダーです。
- 白根館の湯色を毎回予想したくなる
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白根館のお湯は、条件によって透明に見えたり、グリーンや白濁した色合いを見せたりすると紹介されています。そこでマニアは、浴室へ向かう前から「今日は何色だろう」とそわそわ。扉を開けて予想と違う湯色が現れると、「今日はこの表情か!」と大喜びします。温泉を色で呼ぶのではなく、「今日のご機嫌」と表現し始めたら、かなり奈良田に染まっています。
- 湯上がりの休憩が比較検討会になる
-
二つの温泉を巡ったあとは、お茶を飲みながら静かにひと休み――のはずが、マニアはすぐに総括を始めます。「なめらかさはこちら」「香りの印象はこちら」「でも浴槽での見え方は……」と、会話は完全に温泉審査会。同行者が「結局どっちが好きなの?」と尋ねても、「順位をつけるものではない」と急に達観します。比較しているのに勝敗を決めない。それが奈良田流です。
- 気づけば硫黄皇帝と呼ばれます
-
奈良田温泉へ通うたびに、今日はどちらから入るかを真剣に考え、二つの温泉分析書を読み比べ、湯ざわりや香りの違いを語り始めます。「今日は硫黄から」「次は女帝から」と何度も通う姿を見て、まわりからは“硫黄皇帝”と呼ばれるようになります。



管理人いじりですね…
そう呼ばれるのも悪くない!









