山梨市牧丘町、笛吹川に近い一角に建つはやぶさ温泉。
地下深部から動力で揚湯された41.3℃の源泉を、加水・加温せず浴槽へ注いでいます。
鯉の湯口から轟音とともに流れ込む無色澄明の湯、床を走るオーバーフロー、浴室に漂う硫黄の香り。
数字だけでは収まらない源泉の個性を、目と鼻と手のひらで追いかけたくなる一軒湯です。
- 日帰り入浴で体験した館内の様子
到着から受付、内湯・露天風呂まで実際の流れを紹介します - 源泉かけ流しと鯉の湯口の迫力
豪快な湯口と床まで流れるオーバーフローを体験目線で紹介 - pH9.9の湯ざわりと硫黄の香り
無色澄明の湯色や滑るような感触、訪問時の香りを記録します - 温泉分析書から読み解く源泉の個性
泉温41.3℃や溶存物質など、現地で確認した数値を紹介します - 湯上がりに味わった食事と過ごし方
大広間で食べたから揚げ定食や源泉水を使った料理を紹介します

はやぶさ温泉ってどんなところ? | 4コマ漫画で体験してみる
ゆめにゃん猫は入れないからフィクションにゃ…


はやぶさ温泉 体験記
4月下旬の日曜日、朝から山梨県内を車で巡りました。
ほったらかし温泉を出発し、桔梗信玄餅の売店や甲府方面での買い物を経て、18時30分頃にはやぶさ温泉へ。
地質解説の前で立ち止まり、鯉の湯口を眺め、オーバーフローを追い、最後は温泉分析書と夕食へ。
湯船へ入る前から帰路に就くまで、源泉の存在が何度も視界へ戻ってくる夜になりました。
朝から山梨県内を巡った一日の終盤、国道140号を牧丘方面へ進みました。観光や買い物のにぎわいから果樹地帯へ景色が移り、夕暮れの道路沿いに現れた「はやぶさ温泉」の灯りを目印に車を停めました。
- ほったらかし温泉から次の目的地へ
最初の入浴を終えると、そのまま車で笛吹方面へ移動しました。次に立ち寄ったのは桔梗信玄餅の売店です。棚には定番の銘菓から土産物まで並び、30分ほど店内を歩いて品定め。温泉だけで終わらず、甘味や買い物を挟みながら山梨を横断する一日になりました。 - 甲府方面で買い物を済ませる
続いて甲府方面のイオンモールへ車を走らせました。フロアを歩いて必要な物を買い、荷物を車へ積み込んだ頃には空の色もかなり低くなっていました。ここから向かうのは牧丘町。街中の店舗や交通量が多いエリアを離れ、国道140号を北東へ進みます。 - 18時30分頃に牧丘へ到着
牧丘方面へ進むにつれて、道路脇には果樹畑や低い建物が目立つようになりました。18時30分頃、道路沿いに灯るはやぶさ温泉の看板を確認して駐車場へ。夕暮れの青さが残る空の下、建物の明かりを目印に玄関へ歩きました。 - 手洗いを済ませて館内へ
玄関前には手洗いを案内する表示があり、この日は案内に従って水場で両手を洗ってから入館しました。受付で入浴手続きを済ませると、館内の奥から硫黄を思わせる匂いが鼻先へ。近くの鍵付きロッカーへ財布と車の鍵を収め、手首に鍵を付けて浴室へ向かいました。
脱衣所へ向かう途中、大きな地質解説パネルの前で足が止まりました。約1000万年前の岩体、地下約1000メートル、断裂温泉帯――。湯船へ入る前から、目の前の源泉がどこを通ってきたのかを追い始めます。
- 巨大な解説パネルの前で停止
通路の壁には「笛吹高アルカリ性温泉の特性」と題した大きなパネルが掲げられていました。大月短期大学・田中収教授の名前も記されています。脱衣所はすぐ先なのに、そのまま通過できません。文章を上から順に追い、地質や源泉について書かれた部分を読み込みました。 - 約1000万年前の地質へさかのぼる
パネルには、約1000万年前に貫入した酸性深成岩体や、北北東―南南西方向に延びる笛吹断裂温泉帯についての説明があります。さらに地下約1000メートルの開口割れ目という記述も。目の前の浴室から、一気に地下深部へ視線が飛びました。 - 掲示された数値をメモする
パネルでは湧出口温度42.2℃、pH9.95、日量700トンなどの数値が紹介されていました。後で確認する2017年の温泉分析書とは数値や測定条件が異なるため、ここではあくまで館内掲示の記録として読みました。同じ施設でも資料ごとの数字を見比べると、調べる項目がまた増えてしまいます。 - 効能ではなく湯の背景を拾う
パネルには温泉利用に関するさまざまな説明も並んでいましたが、私がメモしたのは地質、深度、温度、pH、湯量といった源泉そのものの情報でした。「地下で何が起きて、この場所まで上がってきたのか」。そんな方向へ想像を広げたところで、ようやくパネルから離れて脱衣所へ進みました。
浴室の扉を開けると、最初に鼻へ届いたのは硫黄の香り。そして視界の先には、鯉の口から勢いよく源泉が飛び出す湯口がありました。無色澄明の湯が浴槽を越え、洗い場まで流れていく光景を目で追います。
- 扉の向こうで硫黄の香りを拾う
浴室へ入ると湯けむりの向こうから硫黄を思わせる匂いが届きました。温泉分析書には「わずかに硫黄臭味」と記されていますが、私が訪れた日は鼻を近づけなくても存在を拾えるほど。無色澄明という静かな湯色と、鼻へ届く香りの組み合わせが印象に残りました。 - 鯉の口から太い源泉が飛び出す
壁際には大きな鯉をかたどった湯口。その口から太い流れが浴槽へ落ち、水面へ次々と波紋を広げていました。静かに注ぐというより、水音まで含めて存在感のある湯口です。まず浴槽へ入る前に数秒立ち止まり、鯉の口、水面、浴槽の縁へと視線を動かしました。 - 床まで流れるオーバーフロー
浴槽の縁から越えた源泉は、そのまま洗い場の床を薄い流れになって進んでいました。足元を湯が通り、排水口へ吸い込まれていく様子まで追ってしまいます。公式が案内する源泉100%かけ流しという湯づかいを、浴槽だけでなく床を流れるオーバーフローでも目にしました。 - カランまで源泉を使う洗い場
洗い場でカランをひねると、ここから出る湯も源泉です。シャワーの湯を手のひらで受けると、するりと滑るような独特の湯ざわりがあり、鼻を近づければ硫黄の香りも拾えました。浴槽へ入る前から源泉に触れ続けるという、はやぶさ温泉ならではの使い方です。
内湯の鯉から離れ、外へ続く扉を開けました。階段の先には屋根を備えた岩風呂があり、4月の夕方から夜へ移る冷たい外気が流れ込みます。同じ源泉でも、内湯とは音や温度、香りの立ち方が少し変わりました。
- 階段を下りて露天岩風呂へ
扉を開けて階段を下りると、屋根のある岩風呂が見えてきました。空はすでに暗さを増し、建物の明かりが水面へ映っています。内湯の反響する水音から一転し、外では湯口から落ちる源泉の音が夜の空気の中へ抜けていきました。 - 高い湯口から落ちる源泉を眺める
露天では高い位置に設けられた湯口から源泉が流れ落ち、着水するたびに丸い波紋が広がります。この日の露天は内湯に比べて湯温がやや低く、肩まで沈んだあともすぐに浴槽を離れる熱さではありませんでした。湯温は気温などでも変わるため、この日の入浴時の記録として残しておきます。 - 岩や湯口の表情まで目で追う
湯船に浸かりながら、湯口、岩の縁、水面の順に眺めました。析出物が厚く重なる景観というより、この日は澄んだ湯色と連続する水流のほうへ視線が向きます。水面が動くたびに照明の形も崩れ、硫黄の香りが時折鼻先を通りました。 - 日々浴場を開く人にも目が向く
大量の源泉が浴槽を越えて床へ流れる内湯と、屋外で源泉を受け止める露天を一通り歩くと、毎日この浴場を利用者へ開く仕事にも目が向きます。具体的な清掃や管理方法は確認していないため推測では書きません。利用を終えたあと、一礼して浴場を後にしました。
浴室を出ても、源泉観察はまだ終わりません。廊下の温泉分析書で数値を確認し、その後は畳敷きの大広間へ。この日はから揚げ定食を注文し、源泉水を使って炊いたご飯と小鉢まで箸を進めました。
- 分析書で41.3℃とpH9.9を確認
2017年の温泉分析書では、泉質はアルカリ性単純温泉、泉温41.3℃、pH9.9。溶存物質は0.187g/kgです。さらに硫酸イオン44.7mg/kg、塩化物イオン26.3mg/kg、メタケイ酸イオン43.1mg/kgなどの数字を一つずつ追いました。 - 硫黄の記載と体験を見比べる
成分表には硫化水素イオン0.9mg/kg、知覚的試験には「無色澄明わずかに硫黄臭味」とあります。もちろん私は分析書を見ても湯を口にはしません。香りについては、浴室では「わずか」という文字から想像した以上に硫黄の存在を拾いやすく、現地体験と分析書を見比べる材料になりました。 - から揚げ定食を大広間で味わう
分析書を読み終えたら、そのまま大広間の食事処へ。この日はから揚げ定食を注文しました。大ぶりのから揚げに、ご飯、汁物、カボチャやオクラなどの小鉢が並びます。公式では料理にも源泉水を使用すると案内されており、ご飯を頬張りながら「浴室の次は食卓か」とニヤニヤしました。 - 源泉水を手に夜の帰路へ
食後は畳の上で足を伸ばし、ペットボトルの「りょう泉はやぶさ」を購入して水分補給。帰り際には売店で温泉水を配合したオールインワンゲルも手に取りました。入浴、シャワー、料理、売店と、館内を移動するたびに源泉が別の形で登場します。荷物をまとめ、夜の牧丘から帰路へ就きました。



轟く湯口を眺め、澄んだ源泉に浸かり、甲州の膳を味わう。
次の休みは、牧丘で「湯の個性と土地の物語」をたどる旅に出かけませんか?
はやぶさ温泉 – アクセスと基本情報
| 温泉地名 | はやぶさ温泉 |
|---|---|
| 所在地 | 山梨県山梨市牧丘町隼 |
| 入浴施設 | はやぶさ温泉 |
| 主な泉質 | アルカリ性単純温泉(低張性・アルカリ性・温泉) pH:9.9(湧出地)、pH9.84(試験室) |
| お湯の特徴 | 無色澄明のアルカリ性単純温泉で、源泉温度は41.3℃。溶存物質は0.187g/kgです。 加水・加温せず使われ、鯉の湯口から勢いよく注ぐ源泉と豊かなオーバーフローが印象的。 入浴時には、すべるような独特の湯ざわりを体感しました。 |
| 香り | 温泉分析書の知覚的試験では「わずかに硫黄臭味」と記載されています。実際に訪れた際は、浴室へ入った時点で硫黄を思わせる香りが比較的わかりやすく、湯口の周辺だけでなく、源泉を使用するカランやシャワーでも香りを拾えました。 |
| 雰囲気 | 大規模な温泉街ではなく、山梨市牧丘町の果樹地帯に建つ日帰りの一軒湯。 館内では鯉の湯口や源泉のオーバーフローが主役となり、周辺へ足を延ばせば武田信玄ゆかりの臨済宗 妙心寺派 乾徳山 恵林寺.や自然豊かな西沢渓谷も巡れます。 |
| 楽しみ方 | まずははやぶさ温泉で、鯉の湯口、オーバーフロー、カランまで使われる源泉に注目しながら湯浴みを。 入浴後は館内で、もつ煮や刺身こんにゃくなどの料理を味わうのも楽しみです。 その前後には恵林寺で武田氏ゆかりの歴史をたどり、時間に余裕があれば西沢渓谷へ。 牧丘のぶどうなど、甲州らしい果物を探すドライブと組み合わせても旅に広がりが出ます。 |
| ※源泉や施設によって記載と異なる場合があります。コンディションによって印象は変わる場合があります。 ※掲載している情報は訪問時のものです。最新の情報は公式サイト等で確認をお願いいたします。 | |
- 源泉かけ流しを楽しむ一軒湯
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はやぶさ温泉を象徴するのが、加水・加温を行わず使われる源泉です。浴槽へ注いだ湯が縁を越えて流れる光景も見どころ。山梨市も「源泉かけ流し」を特徴として紹介しています。
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2017年の温泉分析書では、湧出地でpH9.9、試験室でpH9.84を記録。泉質はアルカリ性単純温泉です。数値まで確認したい温泉好きなら、館内の分析書にも注目したいところです。
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はやぶさ温泉がある牧丘は、ぶどう栽培が盛んな地域です。山梨市も「巨峰の丘ぶどうの名産地」と紹介しており、夏から秋にかけては果樹畑が広がる土地ならではの景色と温泉を組み合わせられます。
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温泉マニアあるある! – はやぶさ温泉レビュー編



マニアの人はこうなっちゃう…かも!?
- 鯉の湯口を見ると正面を陣取りたくなる
-
内湯へ入った瞬間、鯉の口から勢いよく源泉が飛び出しているのを発見。マニアは空いているのを確認すると、当然のように湯口前へ移動します。友達が「そんなに鯉の近くがいいの?」と聞けば、「ここが源泉の最前線だから」と即答。入浴場所を決める基準が、景色でも広さでもなく湯口なのです。
- オーバーフローの行方まで見届ける
-
浴槽の縁から源泉があふれ、洗い場の床を流れていくとマニアの視線も一緒に移動します。「おお……こっちまで来てる」と足元を眺め、そのまま排水口まで追跡。友達から「何を見てるの?」と聞かれても、「源泉の最終経路」と真顔で回答します。オーバーフローは量だけでなく、行き先まで確認したくなります。
- カランをひねって源泉であることを再確認する
-
「カランもシャワーも源泉」と知っているのに、洗い場へ座れば当然蛇口をひねります。手のひらで受け、香りを確かめ、「うむ、ここまで源泉か」と満足そう。友達に「最初からそう書いてあったじゃん」と言われても関係ありません。知識として知ることと、自分で確かめることは別問題なのです。
- 「わずかに硫黄臭」の“わずか”を審議する
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温泉分析書には「無色澄明わずかに硫黄臭味」の文字。しかし浴室で香りを拾ったマニアは、「……いや、今日は結構わかりやすいぞ」と首をかしげます。友達が「分析書に異議申し立てしてるの?」と聞けば、「いや、測定時と今日では条件が違うから」と急に慎重派。分析書と自分の鼻を勝手に比較します。
- pH9.9を見て小数点以下まで愛でる
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温泉分析書を見つけると、まずpH欄へ視線が走ります。「湧出地9.9、試験室9.84か……」と数字を読み上げ、なぜか満足そうなドヤ顔。友達が「ほぼ同じじゃない?」と言えば、「0.06違う」と即答します。その差が何を意味するかを聞かれると話は別ですが、小数点を省略されることだけは許せません。
- 41.3℃の「0.3℃」を大切にする
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源泉温度を聞かれて「41℃くらい」と答えれば会話は成立するはず。それでもマニアは「41.3℃」と律儀に小数点まで読み上げます。友達が「0.3℃いる?」と聞けば、「分析書に書いてあるからいる」と反論。実際の浴槽温度とは別の数字だと理解しつつ、源泉温度だけ妙に精密に記憶して帰ります。
- 地下1000メートルから1000万年前へ飛ぶ
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廊下の地質解説パネルを読み始めると、なかなか浴室へ到達できません。「地下約1000メートルか……約1000万年前の岩体か……」と、頭の中では牧丘の地下断面図を勝手に展開。友達が「風呂は?」と聞いても、「いま源泉がどこを通ってきたのか考えてる」と返します。入浴前から時間軸と深度がおかしくなります。
- 硫化水素イオン0.9mg/kgを発見してニヤつく
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入浴後に温泉分析書を読み直し、HS⁻の欄で「0.9mg/kg」を発見。「ほほう……」と急にニヤつきます。浴室で拾った硫黄の香りを思い出し、「関係あるのかな」と考察開始。もちろん、この数値だけで香りの原因を特定したとは言いません。そこまで分かっているのに、数字を見つけたこと自体が妙にうれしいのです。
- 気泡が付くと考察が始まる
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内湯に浸かっていると、腕や脚に細かな気泡がぽつぽつと付着しました。するとマニアは泡を眺めながら、「なんでだろ……。圧力変化とか溶存気体とか……キャビテーション現象なのかな」と、専門用語をさも当然のように投入して得意顔。まわりからは”湯めぐりキャビテーション”と呼ばれます。



管理人いじりですね…
そう呼ばれるのも悪くない!








