榊原温泉の魅力|清少納言『枕草子』ゆかりの湯と伊勢参りの歴史を訪ねて(三重県津市)

湯め活びより榊原温泉の魅力アイキャッチ画像

『枕草子』に登場する「ななくりの湯」に比定される、三重県津市の榊原温泉。
伊勢神宮へ参拝する前に身を清める「湯ごり」の地として、その歴史を重ねてきました。
なめらかさを感じさせる湯、季節ごとに表情を変える田園、静かな社寺の佇まい。
華やかな温泉街とはひと味違う、里山の時間そのものを味わいたくなる湯の里です。

この記事でわかること
  • 泉質と源泉の特徴を知る
    アルカリ性単純温泉や約31℃の源泉など、湯の個性を紹介します。
  • 枕草子と湯ごりの歴史
    七栗の湯や伊勢参りとの関わりから、温泉地の背景をたどります。
  • 観光スポットと周辺散策
    射山神社や青山高原など、立ち寄りたい見どころをまとめます。
  • グルメと里山の味わい
    地元野菜や松阪牛、津市周辺のご当地グルメを紹介します。
  • 四季ごとの見どころを知る
    桜や蛍、田んぼアート、秋景色など季節の魅力を紹介します。

この記事は、執筆時点で確認できる公式情報や公開資料などをもとに、温泉地の魅力を独自の視点でまとめたものです。季節や営業状況、時間の経過などにより、掲載内容が現在と異なる場合があります。お出かけ前には、各施設や観光協会などの公式サイトで最新情報をご確認ください。

目次

榊原温泉ってどんなところ? | 4コマ漫画で体験してみる

ゆめにゃん

猫は入れないからフィクションにゃ…

榊原温泉の魅力を詰め込んだ4コマ漫画。名湯の歴史や源泉、湯ごり文化、周辺観光を紹介。

温泉マニアあるある! – 榊原温泉の魅力編

ゆめにゃん

マニアの人はこうなっちゃう…かも!?

31.2℃を見た瞬間に目の色が変わる

普通の人なら「ちょっとぬるいのかな?」で終わる31.2℃という源泉温度。マニアは分析書を見た瞬間、「31.2……いい数字だ」と謎の微笑みを浮かべます。友達が「何がいいの?」と聞いても、「この温度だからこそ非加温で入れるんだよ!」と急に饒舌に。小数点以下までしっかりチェックします。

pH9.6を見つけて静かにドヤ顔

分析書でpH9.6の文字を発見すると、マニアの口角がわずかに上がります。「榊原、やっぱり高いね」と静かにドヤ顔。友達が「何が高いの?」と聞けば、「pHだよ。アルカリ性単純温泉」と早口で即答します。誰もクイズを出していないのに答えが速い。そしてここから炭酸イオンの話まで始めるかどうかが、理性との境目です。

「とろみ」を聞くと成分表を見たくなる

「とろみのある湯」と紹介されていても、そこでは終われません。「なるほど……で、成分は?」と分析書を探し始めます。友達が「気持ちよければいいじゃん」と言っても、「いや、この感触をどう説明するかが面白いんだよ」と真剣そのもの。湯ざわりを楽しんでいたはずが、いつの間にか研究発表みたいになっています。

無色透明でも観察時間がやたら長い

浴槽を見て「透明なお湯だね」と言えば、普通なら観察終了。しかしマニアは湯口、浴槽の縁、底、オーバーフローへと視線を移します。「無色透明だからこそ細かいところを見るんだよ」と意味深な発言。友達には同じ透明な湯にしか見えませんが、本人だけは何か重大な手掛かりを探しているようです。

「わずかな硫化水素臭」で鼻が本気になる

分析書に「わずかな硫化水素臭」の文字を見つけた瞬間、マニアの嗅覚が覚醒します。湯口付近でさりげなくクンクン。「……いるな」とつぶやけば、友達から「何が?」と聞かれます。「ほんの少し硫化水素っぽい香りが」と満足そう。強烈な香りだけが面白いわけではない。微かな個性を探すのも温泉の楽しみなのです。

オーバーフローを見つけると追跡を始める

浴槽から静かに湯があふれていると、マニアは反射的にその行方を目で追います。「ここから流れて……こっちに落ちるのか」と排水方向まで観察。友達が「お湯は浴槽にあるだろ」と言っても聞いていません。湯口から入り、浴槽を満たし、縁を越えて流れていく。その一連の動きを眺めるだけで、しばらく楽しめます。

源泉浴と加温浴で温度会議が始まる

31.2℃の源泉浴槽と加温された浴槽があれば、マニアにとっては絶好の観察対象。「こっちは源泉そのまま、こっちは加温……」と違いを確認し始めます。友達が「好きなほうに入れば?」と言っても、「それじゃ比較にならないだろ」と真顔。誰からも比較を頼まれていませんが、本人の中では重要な現地調査なのです。

「七栗の湯」で突然古典文学に進出する

温泉の話をしていたはずなのに、「そういえば『枕草子』に“ななくりの湯”が出てきてさ」と突然平安時代へ飛びます。有馬、玉造まで話が広がり、友達は「さっきまでpHの話だったよね?」と困惑。泉質から文学史まで平然と横断できるのが榊原温泉。マニアの守備範囲まで広げてしまうすばらしい湯です。

「湯ごり」を知って伊勢まで話が伸びる

榊原温泉が伊勢参りの前に身を清める「湯ごり」の地として伝わると知れば、もう止まりません。「つまり温泉だけで完結しないんだよ。伊勢参宮の文化までつながって……」と解説開始。友達が「今日は伊勢まで行かないよ」と言っても関係なし。榊原の湯に浸かりながら、話だけは伊勢神宮まで到達します。

「おしゃべり少納言」と呼ばれます

31.2℃から始まり、pH9.6、湯ざわり、硫化水素臭、オーバーフロー、七栗の湯、湯ごり、伊勢参り……気づけば温泉ひとつで話題が平安時代まで広がっています。友達が「よくそんなにしゃべることあるな」と呆れても、「まだ献湯祭の話が残ってるよ?」と涼しい顔。まわりからは”おしゃべり少納言”とあだ名されてしまうのです。

管理人

管理人いじりですね…
そう呼ばれるのも悪くない!

榊原温泉の魅力まとめ

平安の昔から、伊勢へ向かう旅人たちを迎えてきた榊原温泉。
田園と山並みが穏やかに連なる里山には、長い歴史と湯の文化が静かに息づいています。
代表的な源泉には31.2℃のぬるい湯があり、無色透明の湯からはほのかな硫化水素臭も。
湯にふれ、里を歩き、伊勢参宮へと続いてきた時間に思いを馳せる旅が待っています。

平安文学と伊勢参宮が交わる湯ごりの里

『枕草子』の「ななくりの湯」と、伊勢神宮参拝前に身を清めたと伝わる湯ごり文化。榊原温泉では、文学・信仰・温泉が長い時間の中で重なり、現在の里山にもその物語が受け継がれています。

  • 『枕草子』に残る七栗の湯
    榊原一帯は古く「七栗上村」と呼ばれ、『枕草子』では「ななくりの湯」が有馬の湯、玉造の湯とともに挙げられています。現在の榊原温泉は、この「ななくりの湯」にゆかりを持つ温泉地として伝えられてきました。清少納言本人の来訪を示す話とは分けて、千年以上前の文学に名を残す湯としてたどるのが榊原らしい楽しみ方です。
  • 伊勢へ向かう前の湯ごり文化
    榊原温泉は、京都方面から伊勢神宮へ向かう途中に位置し、参拝前に温泉で身を清める「湯ごり」の地として知られてきました。地元では湯を「宮の湯」と呼んだとも伝わります。旅の疲れを癒やすだけではなく、これから神宮へ向かうための節目として湯に入る。そんな参宮文化を背景に持つことが、この温泉地の大きな個性です。
  • 現在へ続く伊勢神宮への献湯
    神宮とのつながりは、昔話だけでは終わっていません。榊原温泉では現在も毎年6月に献湯祭が行われ、地域の関係者らが外宮・内宮を参拝し、榊原の温泉を内宮神楽殿へ奉納しています。古い湯ごりの記憶を現代の行事へつなぎながら、温泉と伊勢との縁を伝え続けていることにも、この土地ならではの奥行きがあります。
  • 地名にも残る榊と神宮の縁
    榊原という名にも伊勢神宮との関係を伝える物語があります。地域には榊が多く自生し、約1500年前にその榊を神宮へ献上したことから「榊が原」と呼ばれ、やがて榊原になったという伝承が残ります。現在も射山神社と地域関係者による「献枝祭」で榊を外宮へ奉納しており、地名に込められた物語が今へ受け継がれています。
約31度のぬるい源泉とまろやかな湯の個性

榊原温泉で注目したいのが、代表的な源泉にみられる高いpHと低めの泉温です。31.2℃の源泉をそのまま楽しめる浴槽もあり、加温した湯とは異なる温度や湯ざわりをじっくり比べられます。

  • 高アルカリのなめらかな湯ざわり
    湯元榊原舘の「七栗の湯」の2015年分析例では、泉質はアルカリ性単純温泉、pH9.6。無色透明で成分量そのものは比較的シンプルですが、施設では「とろみ」「まろみ」と表現される、なめらかな湯ざわりが特徴として紹介されています。数値の派手さだけではなく、実際に湯へ触れたときの感触を確かめたくなるタイプの温泉です。
  • 透明な湯に潜むほのかな香り
    同じ「七栗の湯」の分析では、知覚的特徴として「わずかな硫化水素臭」が記録されています。見た目は澄んだ無色透明の湯でありながら、源泉によっては温泉らしい香りの気配も感じられるのが興味深いところ。強い硫黄泉のような主張ではなく、湯口の近くでそっと確かめたくなるような繊細な個性です。
  • 31.2℃で楽しむ非加温の源泉
    榊原温泉を語るうえで外せない数字が31.2℃。湯元榊原舘では、この自家源泉を加温せず掛け流す浴槽が用意されています。一般的な温浴槽と比べるとかなり低い温度で、入った瞬間に感じるのは熱さではなく、静かな冷涼感。湧き出した温度そのものに近い状態で湯と向き合えることが、榊原ならではの楽しみの一つです。
  • 源泉浴と加温浴で比べる温度の表情
    同じ施設には、31.2℃の源泉掛け流し浴槽とは別に、源泉を加温して利用する浴槽も設けられています。数値や泉質が同じ系統の湯でも、温度が変われば湯に触れた印象も変わります。ぬるい源泉と温かな浴槽、それぞれの感触を確かめながら楽しめることも、低温の源泉を持つ榊原温泉だからこそ味わえる面白さです。
田園と清流に季節が映る静かな里山

大きな歓楽街ではなく、田畑と川、山並みに囲まれた榊原温泉。初夏の蛍から夏の田んぼアートまで、観光の主役になるのは土地の自然そのもの。季節に合わせて歩きたくなる温泉郷です。

  • 湯の瀬川を舞う初夏の蛍灯
    初夏になると、温泉郷を流れる湯の瀬川では蛍が舞い、榊原ではこの季節を「蛍灯(ほたるび)」と呼んで迎えます。昼間の田園風景とは違い、夜になると川辺に小さな光が浮かぶ静かな時間へ。大がかりな夜の娯楽ではなく、川の音や暗がりまで含めて楽しむところに、里山の温泉地らしい夜の魅力があります。
  • 古代米で描かれる夏の田んぼアート
    榊原温泉郷から青山高原へ続く道沿いでは、古代米を利用して絵柄を描く「田んぼアート」が行われています。見頃は例年7~8月頃。田そのものを大きなキャンバスに変える風景は、山あいの農村らしさと遊び心が重なる季節限定の見どころです。温泉の前後に少し里を歩くだけでも、夏の榊原らしい景色に出会えます。
  • 稲穂と山並みがつくる秋の風景
    田んぼアートに使われる古代米をはじめ、榊原の田園は季節が進むにつれて色合いを変えていきます。夏の青々とした田から、実りの季節へ。周囲の山並みも秋の装いへ移り、温泉街とは少し離れた農村の景色そのものが旅の背景になります。名所を急いで巡るより、田畑の道をゆっくり歩く時間が似合う温泉地です。
  • 農泊で触れる榊原の日常
    榊原では農泊の取り組みも行われ、田植えや稲刈り、農作物の収穫、伝統料理づくりなど、土地の暮らしに触れる体験が紹介されています。温泉や名所を眺めるだけでは分からない、畑仕事や食事、人との交流まで旅の一部になるのが魅力。観光地として整えられた風景だけでなく、里山の日常そのものへ一歩近づくことができます。
里山の食材と三重・津の味を楽しむ

榊原では、地元野菜や山里の食材を生かした料理に加え、宿では松阪牛など三重らしい味覚も楽しめます。津市街地まで旅を広げれば、ご当地グルメとの組み合わせもさらに豊かになります。

  • 源泉で蒸し上げる温泉野菜
    湯元榊原舘では、旬の野菜を源泉で蒸し上げる「温泉野菜蒸し」がオリジナルメニューとして紹介されています。温泉地ならではの調理法と、色鮮やかな野菜を一皿で楽しめるのが面白いところ。榊原では湯船だけでなく、料理の中にも源泉を取り入れる工夫が見られ、温泉を「味わう」という旅の楽しみ方にもつながっています。
  • 採れたて野菜と里山の料理
    榊原の農泊では、地域で収穫した野菜をその場で調理したり、昔ながらの伝統料理やジビエ料理を味わったりする体験が紹介されています。豪華さを競うというより、その季節に土地で採れたものを食べる素朴な楽しさが中心。田園を歩いたあとに、その風景の中で育った食材を口にすることで、里山の旅が一つにつながっていきます。
  • 松阪牛を取り入れた宿の食事
    三重県を旅するなら、松阪牛も楽しみにしたい味覚の一つ。榊原温泉の宿では、松阪牛を主役にした会席プランなども用意されています。静かな山あいに泊まりながら、土地の野菜と三重を代表する食材を一緒に味わえるのが温泉宿の魅力。昼は里山を歩き、夜はゆっくり食卓を囲むという、落ち着いた滞在によく似合います。
  • 湯の瀬と津市街地へ広がる食巡り
    津市営の「湯の瀬」では、地元食材を使った田舎料理やラム肉料理を提供し、毎週土曜日には新鮮な野菜が並ぶ「湯の瀬市場」も開かれています。さらに津市街地まで足を延ばせば、直径約15cmの皮を使う津ぎょうざや、多くの専門店が並ぶうなぎ料理も候補。温泉を起点に、津の食文化まで旅を広げられます。
古社寺から青山高原まで広がる周辺散策

榊原温泉には射山神社や湯元跡など、温泉の歴史を歩いてたどれる場所が点在します。さらに青山高原や個性的な美術館まで足を延ばせば、里山散策から高原ドライブ、芸術鑑賞まで楽しめます。

  • 温泉の歴史を伝える射山神社
    温泉地の中心に鎮座する射山神社は、大己貴命と少彦名命を祭神とし、榊原の温泉文化と深く結びついてきました。天正16年(1588年)には神社を一角に含む大規模な湯治場が整えられたと伝わり、「温泉大明神」と呼ばれた歴史も残ります。境内を訪ねれば、榊原の湯が信仰や旅とともに歩んできた背景を身近に感じられます。
  • 湯元跡をたどる静かなまち歩き
    温泉郷には、かつての泉源にまつわる「湯元跡」をはじめ、寺院や石造物などが点在しています。現代の入浴施設だけを訪れるのではなく、田畑や川沿いの道を歩きながら旧い湯の痕跡を探すと、榊原温泉の見え方も少し変わってきます。平安の文学、伊勢参宮、湯治場へと続いた長い時間を、現在の里山風景の中で重ねて楽しめます。
  • 風車が連なる青山高原へ
    少し足を延ばせば、室生赤目青山国定公園に広がる青山高原があります。笠取山から青山峠へ続く約12kmの高原道路ではドライブを楽しめ、稜線付近には数十基の風力発電用風車が立ち並びます。散策路やハイキングコース、見晴台も整えられ、春の花、新緑、秋のススキなど季節ごとの高原風景と出会えます。
  • 駅前で出会うルーブルの彫刻
    近鉄榊原温泉口駅前にあるルーブル彫刻美術館も、榊原旅の個性的な立ち寄り先です。1987年に開館し、公式サイトでは約1300点を展示。パリのルーブル美術館所蔵作品の実物から直接型を取って制作された復刻彫刻も並び、「ミロのビーナス」や「サモトラケのニケ」などを鑑賞できます。里山の温泉から一転して世界の造形美へ――その振れ幅も面白いところです。
ゆめにゃん

いにしえの湯にふれ、田園の風に吹かれ、お伊勢参りへ続いた遠い旅路に思いを馳せる。
次の休みは、榊原温泉で「千年を越えて受け継がれる湯の時間」をたどる旅に出かけませんか?

主な参考資料・公式サイト

この記事は、主に以下の公式サイト・公的資料などを参考にしています。営業時間や料金、交通・観光情報などは変更される場合がありますので、お出かけ前に最新情報をご確認ください。

榊原温泉 – アクセスと基本情報

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

温泉巡り歴15年。
トロトロのお湯と硫黄の香りが大好物。
なのに他の泉質にもすぐハマってしまう。
休日は山奥の秘湯へ直行。
そして、猫が好き。

目次