大塩温泉を深掘りレビュー!共同浴場のぬる湯と源泉の謎をたどる(長野県上田市)

湯め活びより大塩温泉考察編のアイキャッチ画像

山あいにひっそりと佇む大塩温泉は、36℃台のぬるい源泉を持つ、どこか素朴で落ち着いた温泉地です。
実際に湯に浸かってみると、その静かな印象とは裏腹に、時間による湯温の変化や複数の源泉、気になる泡つきなど、興味が次々と湧いてきました。
さらに分析書を眺めれば、ラドンや硫酸イオン、そして足元にはグリーンタフを含む内村層まで。
なぜこの場所に、このような個性的な湯が湧いているのか。
今回は、現地で気になったことを手がかりに、大塩温泉の湯を少しだけ深掘りしてみます。

大塩温泉で興味深かったこと
  • 「大塩」なのに塩辛くない?
    名前から想像した湯と、分析書に書かれた成分の違いが気になりました。
  • 共同浴場のぬるい源泉はいつ温まる?
    開館直後に感じたぬるさから、時間による湯温の変化に興味を持ちました。
  • 二つの源泉はどう違う?
    調べる途中で異なる泉質名を見つけ、源泉ごとの成分に注目しました。
  • 炭酸泉じゃないのに泡がつく?
    口コミに並ぶ「泡つき」の声と、分析書の数値を見比べてみました。
  • 足元の地層と湯の関係は?
    内村層やグリーンタフを知り、泉質とのつながりを想像してみました。
目次

大塩温泉ってどんなところ? | 4コマ漫画で体験してみる

ゆめにゃん

猫は入れないからフィクションにゃ…

大塩温泉の魅力を詰め込んだ4コマ漫画。信玄伝説や36℃台の源泉、上田の味と自然を紹介。

大塩温泉レビューと注目ポイント考察

この記事は、筆者が実際に温泉を訪れた際に感じた「なぜ?」をきっかけに、温泉分析書や公開資料などを調べ、自分なりに考察した内容です。資料から確認できる事実と筆者個人の考察を分けて記載するよう努めていますが、専門家による学術的な見解や結論を示すものではありません。直接的な裏付けを確認できていない仮説や想像については、その旨を明記しています。一人の温泉好きが、分析書や資料を眺めながら考えた「温泉の自由研究」としてお楽しみください。

「大塩」なのに塩辛くない?名前から想像した湯とのギャップ

初めて「大塩温泉」という名前を聞いたとき、なんとなく塩辛い湯を想像しました。実際、福島県金山町にある同名の大塩温泉は塩化物泉で、かつて温泉水から塩を採ったとも伝えられています。長野の大塩も、昔は塩分の濃い温泉だったのだろうか。そんな予想をしながら共同浴場へ向かいました。

ところが、入口に掲示された分析書を見ると、大塩5号泉はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉。味も「微苦味」とあり、塩味ではありません。塩化物イオンは93.3mg/kgで、陰イオン中17.23mval%でした。mval%とは、ざっくりいえば各イオンを電荷量で比べた割合です。環境省の「鉱泉分析法指針」では、20.00mval%以上の成分を泉質名に列記します。つまり塩化物は、あと2.77ポイント届かず「塩化物泉」の名前には入りませんでした。ちなみに、海水の塩化物イオンは塩分35‰の場合で約19,353mg/kgとされています。大塩5号泉の93.3mg/kgは、その約200分の1です。

では、「大塩」という名前はどこから来たのでしょう。信州上田観光協会の紹介によると、大塩温泉は武田信玄の家臣・大塩氏が見つけたと伝わっています。温泉名そのものが大塩氏に由来するとまでは確認できませんでしたが、「塩」の字から想像した湯とはずいぶん違いました。

塩辛くはない。でも、硫酸“塩”泉ではある。名前をきっかけに分析書を眺めてみたら、塩化物が泉質名入り寸前だったことまで分かる。しょうもない興味から始めたわりに、なかなか面白い発見でした。

源泉36.3℃、掲示で使用位置は41~42℃。体温並みの湯をなぜ温めるのか

今回私が大塩温泉共同浴場を訪れたのは、開館の14時を少し回ったころでした。大小2つの浴槽にはすでに先客がいて、湯口には近づけません。湯尻に体を沈めると、36℃よりは温かいものの、40℃には届かないように感じました。

入口の掲示では、源泉温度は36.3℃。一方、浴槽での使用位置は41〜42℃とされています。上田市の案内にも、源泉が36℃程度と低いため加温しているとあり、冬季は湯温が適温になる午後5時頃からの入館を勧めています。ただ、気になるのが開館直後です。2013年の口コミには「14時〜15時は加温なし」とあり、別の投稿にも「加熱は15時~」との記録があります。以前私自身も、15時半から加温するという案内を見た記憶があります。現在も同じ運用なのかは確認できませんが、今回ぬるく感じたこととも不思議と重なりました。

36℃前後は、一般に熱くも冷たくも感じにくい「不感温度」と呼ばれる温度帯に近い温度です。源泉そのものを楽しむには魅力的ですが、特に寒い季節には、一般的な浴槽温度まで上げたほうが利用しやすいのでしょう。もしかすると大塩温泉では、開館直後には源泉に近いぬる湯を楽しめ、時間がたつにつれて加温された湯へ変わっていくのかもしれません。現在の加温開始時刻を確認したわけではないため、これはあくまでも想像です。

それでも、同じ浴槽なのに訪れる時間によって印象が変わるとしたら面白いものです。次に訪れるなら、今度こそ温度計を持って確かめてみたくなりました。

陰イオンの8割が硫酸イオン。”傷の湯”と信玄伝説はつながるのか

分析書の陰イオン欄でまず目に入ったのが、硫酸イオン582.6mg/kgです。79.47mval%を占め、陰イオンのおよそ8割。陽イオンではカルシウムが60.39%、ナトリウムが37.83%を占めています。ここで思い出したのが、大塩温泉に残る「信玄の隠し湯」の伝承です。上田市の紹介では、武田軍の傷兵がこの湯で傷を癒やしたと伝えられています。

硫酸塩泉は古くから「傷の湯」と呼ばれてきたそうです。さらに、環境省の泉質別適応症を見ると、硫酸塩泉の浴用には「きりきず」が挙げられています。ただし、ここから「だから戦国時代の傷兵に効いた」のかどうかはわかりません。環境省も、温泉療養は成分だけでなく温度や環境などを含む総合作用であり、成分だけから各温泉の効用を確定することは難しいとしています。信玄の逸話も、あくまで伝承として受け止めるのがよさそうです。

もう一つ面白いのが昔の泉質名です。環境省の新旧泉質名対照表では、カルシウム-硫酸塩泉を「石膏泉」、ナトリウム-硫酸塩泉を「芒硝泉」と呼んでいました。大塩5号泉ではカルシウムだけでなくナトリウムも20mval%を超えているため、現在の泉質名は「カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉」です。もちろん、湯の中に石膏や芒硝がそのまま漂っているという意味ではありません。それでも分析書を昔の呼び名と見比べると、「石膏泉」と「芒硝泉」の両方を連想させる組成です。

傷兵が浸かったという伝承と、現代の分析書に並ぶ硫酸イオン。そして現在の掲示基準にある「きりきず」。因果関係までは分かりませんが、数百年離れた話が分析書の上で偶然重なって見えるところに、温泉を調べる面白さを感じました。

溶存物質1.070g/kg。”硫酸塩泉”と”単純温泉”を分ける1gライン

分析書の下のほうにある「溶存物質(ガス性のものを除く)1.070g/kg」という数字。最初は読み流していましたが、よく見ると1gをわずかに超えています。

環境省の「鉱泉分析法指針」では、溶存物質が温泉水1kgあたり1,000mg以上あるものを塩類泉として分類します。大塩5号泉は1,070mgなので、そのラインを超えているのはわずか70mg。現在の「カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉」という泉質名は、この1gラインのすぐ上にあることになります。

では、もし再分析で1,000mgを下回ったらどうなるのでしょう。泉温は36.3℃あるため、ほかに療養泉として分類される成分基準を満たさなければ、「単純温泉」に分類されることになります。そこで、「季節や地下水の状態によって70mgくらい変わることもあるのだろうか」と気になりました。ただし、大塩5号泉で実際にその程度の成分変動が起きている資料は見つけられませんでした。

それでも面白いのは、泉質名が自然界の湯を人間の決めた境界線で分類したものだということです。同じ源泉でも、分析した数値が境界をまたげば呼び名が変わる可能性があります。公共の浴用に使われる温泉は、原則として分析後10年以内に再分析されます。次の分析書でも硫酸塩温泉のままなのか。それとも数字が少し動くのか。そんなところまで気になり始めたら、分析書を見る楽しみがまた一つ増えてしまいました。

同じ大塩温泉に二つの源泉?「大塩5号」と旭館で使われた湯

大塩温泉について調べていると、資料によって泉質が「硫酸塩温泉」だったり「単純温泉」だったりして、最初は混乱しました。どうやら、同じ大塩温泉でも異なる源泉が使われてきたようです。

現在、共同浴場で使われているのは「大塩5号」。令和2年の分析では36.3℃、溶存物質1.070g/kgのカルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉です。一方、過去の資料を見ると、湯元旭館では共同浴場とは別の「大塩温泉」という源泉が使われていました。泉温34.1℃、pH8.1、溶存物質603.1mg/kgの単純温泉。さらに2011年の分析書を紹介した記録では、35.9℃、pH8.1、成分総計0.6285g/kgとなっています。

面白いのは成分の顔ぶれです。旭館側の古い分析では、カルシウム93.7mg/kg、硫酸イオン300.0mg/kg、塩化物イオン56.5mg/kg。大塩5号では、それぞれ184.0mg/kg、582.8mg/kg、93.3mg/kgです。数字は違いますが、主な成分の並び方はどこか似ています。そこで私は、「二つの源泉は、似た成分傾向を持ちながら、地下を通る過程などによって濃度や成分比が異なる湯なのかな」と考えました。実際、純温泉協会の紹介でも、旭館の湯を「単純温泉(カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉系)」としています。

ここまで調べたところでは、二つの源泉はどこか似た性格を持っているように見えました。ところが、このあと口コミを追っているうちに、旭館に掲示された別の温泉分析書を見つけました。これについては、次の項でもう一度考えてみます。

ただし、成分構成が似ているからといって、二つが同じ地下水系だとは限りません。採水地点や深さ、地下で水が通った経路などが分からない以上、「共通する起源を持つ湯が地下で成分構成を変えた」とまでは判断できません。あくまで分析書を並べたときに、似た特徴が見えてくるという話です。

そして、もう一つ気になるのが「5号」という源泉名。5号があるなら、その前には1号から4号もあったのでしょうか。温泉地で何度か源泉開発が行われた結果なのかもしれませんが、その経緯を示す公開資料までは見つけられませんでした。二つの源泉を比べるほど、「5号になるまでに何があったんだ?」という別の興味が湧いてきます。分析書を一枚見ただけでは終わらないところが、温泉調べの困ったところです。

「ラジウムを含む」は本当?分析書で見つけたラドン17.1Bq/kg

上田市の紹介では、大塩温泉を「ラジウムを含む」湯として紹介しています。共同浴場の泉質名はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉なので、「分析書にはどのくらい出ているんだろう」と興味を持ちました。

分析書を探してみると、ありました。大塩5号泉のラドンは17.1Bq/kg。ゲルマニウム半導体検出器で測定した値として、きちんと数字が記載されています。「おお、本当にラドンが入っている」。まずはここで、上田市の紹介と分析書がつながりました。鉱泉分析法指針を見ると、ラドンだけで温泉法上の温泉となる基準は74Bq/kg、療養泉の「放射能泉」となる基準は111Bq/kgです。17.1Bq/kgはこれらの基準には届かないため、大塩5号泉の泉質名に「放射能泉」は入りません。

ここまでなら、「硫酸塩温泉だけれど、ラドンも検出される湯なんだな」で話は終わるはずでした。

ところが、旭館について調べている途中、令和2年に分析された別の温泉分析書を見つけました。源泉名は同じ「大塩温泉」。ところが、こちらの泉質欄には「単純弱放射能温泉」と書かれています。溶存物質は0.7005g/kgで、大塩5号泉とは明らかに別の分析結果でした。現在もグランドエクシブ軽井沢の公式案内には、源泉名「大塩温泉」、泉質「単純弱放射能温泉」と記載されています。

つまり、「大塩温泉には本当にラドンが含まれていた」で終わりではありませんでした。同じ大塩温泉を調べていくと、ラドンを含む大塩5号泉とは別に、泉質そのものが放射能泉に分類される源泉まで出てきたのです。一枚の分析書を見て納得したはずが、もう一枚の分析書を見つけて話が広がってしまいました。大塩温泉、調べるほど源泉の沼が深くなっていきました。

炭酸泉じゃないのに泡がつく?遊離二酸化炭素10.3mg/kgから考える

大塩温泉の口コミを読んでいると、「気泡が体中にまとわりつく」といった記録がいくつも見つかります。ぬる湯で泡つきと聞いて、真っ先に思い浮かんだのが二酸化炭素でした。「もしかして、炭酸をかなり含んでいるのでは?」と予想しました。

残念ながら、今回訪れたときは少し混んでいて湯口まで近づけず、泡つきを自分の肌では確認できませんでした。そこで分析書を見ると、遊離二酸化炭素は10.3mg/kg。鉱泉分析法指針では、遊離二酸化炭素250mg/kg以上が温泉法上の温泉となる成分基準の一つで、療養泉の「二酸化炭素泉」は1,000mg/kg以上です。10.3mg/kgですから、少なくとも「炭酸がたっぷり入っているから泡がつく」という私の予想とは違いそうです。

では、口コミに出てくる泡は何なのでしょう。ここからは推測です。地下水には二酸化炭素以外の気体も溶けることがあり、地下から地上へ出て圧力が変化すると、溶けていた気体が細かな泡として現れることがあります。また、配管や湯口で空気を巻き込んで微細な気泡ができる可能性もあります。分析書の数値だけでは、口コミにある泡の正体までは特定できません。

それでも気になるのが、「ぬるい状態のほうが泡つきを感じた」という口コミです。一般に気体は水温が低いほど水中に残りやすいため、加温前の源泉に近い状態ほど泡が観察しやすい可能性はありそうです。ただし、大塩温泉で実際に温度と泡つきの関係を測定した資料は見つけられませんでした。

炭酸泉ではない。それなのに泡がつくという声がある。次に訪れるときは開館前から並び、今度こそ湯口近くで自分の腕をじっと観察してみたいと思いました。

丸子温泉郷の湯を、足元の「内村層」から妄想する

大塩温泉は、鹿教湯温泉、霊泉寺温泉とともに丸子温泉郷をつくっています。近い場所に集まっているのに、源泉を調べてみると単純温泉や硫酸塩温泉、さらに大塩では単純弱放射能温泉まで出てきました。これだけ近いのになぜ湯の成分はこれだけ違うのか、興味が湧きました。

そこで気になったのが、温泉地の足元にある地層です。上田市の地質解説によると、この地域には約1700万~1500万年前に形成された「内村層」が分布し、緑色凝灰岩、いわゆるグリーンタフを含んでいます。さらに長野県の資料には、内村層の海底火山噴出物による枕状溶岩も紹介されています。

ここで大塩5号泉の分析書を思い出しました。硫酸イオンは582.6mg/kg、カルシウムも多く含まれています。実は、産業技術総合研究所・地質調査総合センターの解説では、グリーンタフ中に含まれる石膏が地下水に溶けることで、カルシウムや硫酸イオンを含む温泉ができる例が紹介されています。

「もしかして、大塩の硫酸イオンにも内村層が関係しているのでは?」と考えたくなりました。ただし、大塩5号泉について「内村層の石膏が硫酸イオンの供給源である」と直接確認した研究は見つけられませんでした。地下水が通る深さや経路、滞留時間などでも成分は変わるため、グリーンタフがあるというだけで泉質の成因を決めることはできません。さらに環境省の丸子温泉郷国民保養温泉地計画を読むと、霊泉寺にも硫酸塩泉があり、大塩5号泉の一部は鹿教湯へ送られ、鹿教湯の源泉と混合して利用されてきたことが分かります。三つの温泉地は、思っていた以上に複雑につながっていました。

内村層ができたのは、およそ1500万年以上前。現在の温泉水そのものが太古の海水というわけではありません。それでも、もし大塩の硫酸イオンにグリーンタフ中の石膏が関係しているとしたら、湯船の中から太古の海底火山活動へ想像を飛ばすことはできてしまうなと、妄想が膨らみました。

ゆめにゃん

ぬる湯に浸かり、湯の記憶をたどれば、足元には遠い昔の物語。
次の休みは、大塩温泉で「湯の奥に眠る時間」を探す旅に出かけませんか?

大塩温泉の泉質を楽しむ

共同浴場ではカルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉を使用。36℃台の源泉を加温して利用しており、分析書を眺めながら成分や湯温に注目するのも、この湯ならではの楽しみ方です。

大塩温泉のぬる湯に注目

源泉温度は36℃前後と低めで、共同浴場では加温して利用されています。特に冬季は時間によって湯温の印象も変わるため、源泉温度と浴槽温度の違いに注目したくなる温泉です。

大塩温泉の源泉を比べる

この地域には共同浴場で使われる大塩5号泉のほか、資料上では泉質の異なる「大塩温泉」という源泉も確認できます。同じ地域に複数の源泉があることが、調べる面白さを広げています。

信玄の隠し湯と大塩温泉

武田軍にまつわる「信玄の隠し湯」の伝承が残る大塩温泉。現在の共同浴場にもその歴史が受け継がれており、分析書だけでなく、古くから語られてきた温泉地の物語にも興味が広がります。

丸子温泉郷をめぐる楽しみ

大塩・鹿教湯・霊泉寺の三温泉地からなる丸子温泉郷。それぞれの源泉や泉質を見比べると、近い地域でも湯の特徴は一様ではありません。三湯をめぐりながら違いを探す楽しみがあります。

温泉マニアあるある! – 大塩温泉考察編

ゆめにゃん

マニアの人はこうなっちゃう…かも!?

「大塩」なのに塩味を探してしまう

「大塩温泉っていうくらいだから、塩化物泉かな?」と分析書を見る前から勝手に予想するマニア。ところが泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉。「おや?」と塩化物イオンまで確認し、「93.3mg/kgか……惜しいな」となぜか残念そう。温泉名ひとつで分析書をここまで楽しめるのです。

開館直後のぬる湯に異様に興奮する

公共浴場の源泉温度36.3℃と知った瞬間、「ということは開館直後なら……」と目を輝かせます。友達が「温かくなってから入ればいいじゃん」と言っても、「違う!源泉に近い温度を感じたいんだよ!」と聞く耳を持ちません。次回は開館前から並ぶ気満々。目的は一番風呂ではなく、ぬる湯の観察です。

浴槽より先に分析書へ吸い寄せられる

せっかく温泉へ来たのに、入口の分析書を見つけた瞬間に足が止まります。「SO₄²⁻が582.6mg/kg……79.47mval%!」と数字を凝視。友達が先に脱衣所へ消えても気づきません。ようやく浴室へ入ったころには、頭の中ですでに硫酸イオンが主役。入浴前から大塩温泉を満喫しています。

1gラインを見つけてドヤ顔になる

溶存物質1.070g/kgを見つけると、「ほら、ここ!」と突然ドヤ顔。「1gを超えてるから塩類泉なんだよ」と聞かれてもいない解説を始めます。友達の「70mg差ってそんなに重要?」という一言にも動じません。温泉マニアにとってボーダーラインは、分析書に仕込まれた小さなイベントなのです。

「大塩5号」の1~4号が気になって仕方ない

源泉名に「大塩5号」と書いてあるのを見て、「待てよ……5号?」と急に立ち止まります。「じゃあ1号から4号はどこへ行った?」と調査開始。友達が「別に知らなくても入れるよ」と諭しても、「そこが気になるんじゃないか!」と検索を続行。温泉に入るだけだった予定が、いつの間にか源泉史調査になっています。

ラドンの数字を見つけるだけで喜ぶ

「大塩温泉はラジウムを含むらしい」と聞けば、すぐ分析書のラドン欄へ。「17.1Bq/kg……おお、本当にある!」と嬉しそうです。さらに別源泉の分析書に「単純弱放射能温泉」の文字を見つけると、「こっちにも源泉が!」。湯に浸かる前から、源泉沼へどんどん沈んでいきます。

炭酸泉じゃないのに泡を探し続ける

口コミで「泡つき」の文字を見つけたマニア。分析書を見ると遊離二酸化炭素は10.3mg/kg。「炭酸泉じゃない……だと?」と、むしろ興味が倍増します。浴槽では腕を動かさず、じーっと観察。友達に「何してるの?」と聞かれても、「泡が付くまで待ってる」。こうして調査は静かに続きます。

湯口に近づけないと少しだけ落ち着かない

浴槽へ入ったら、まず確認したいのは湯口とオーバーフロー。ところが先客がいると、「今日は湯口まで行けないな……」と遠くから観察を始めます。もちろん無理に近づくことはしません。それでも視線はずっと湯口へ。「あそこなら泡も確認できるかもしれないな」。温泉マニアにとって湯口は、ちょっとした特等席です。

グリーンタフを見つけると話が1500万年前まで飛ぶ

内村層にグリーンタフがあると知った瞬間、「なるほど……海底火山か」と急に地質学者のような顔になります。友達が「さっきまで泡の話してなかった?」と戸惑っても、「石膏と硫酸イオンの関係がさ……」と止まりません。最後は約1500万年前の海底まで妄想。湯船ひとつで時間旅行まで楽しめます。

信玄の隠し湯と聞くと戦国時代を妄想する

「大塩温泉はさ、信玄の隠し湯という伝承があってね……」と、調べればすぐわかることを得意げに語るマニア。友達が「ふーん……」と返すと、「傷ついた兵たちも、ここで甲冑を脱いでひと息ついたのかな……」と勝手に戦国時代へ思いを馳せます。そんな姿を見たまわりから、”湯めぐり風林火山“とあだ名されてしまうのです。

管理人

管理人いじりですね…
そう呼ばれるのも悪くない!

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この記事を書いた人

温泉巡り歴15年。
トロトロのお湯と硫黄の香りが大好物。
なのに他の泉質にもすぐハマってしまう。
休日は山奥の秘湯へ直行。
そして、猫が好き。

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