9月下旬の火曜日、しとしとと小雨が降る山道を抜け、新潟県湯沢町の貝掛温泉へ向かいました。
玄関で靴を脱ぎ、館内へ足を踏み入れると、山あいの一軒宿らしい静かな空気が迎えてくれます。
源泉そのままのぬる湯と温かな加温浴槽を行き来し、古くから受け継がれる洗眼文化も体験。
湯上がりには南魚沼産コシヒカリや郷土の味覚を楽しみながら、奥湯沢で過ごした一日をご紹介します。
- 源泉36℃のぬる湯で楽しむ交互浴
加温浴槽との行き来を通じた、独特の交互浴体験とその楽しみ方について - 日帰り利用の実際の流れとアクセス
日帰り入浴の料金・営業時間・越後湯沢からのアクセス情報と実際の滞在時間 - 食事処で味わう蕎麦とこしひかり
日帰り利用でも立ち寄れる食事処での蕎麦とご飯、そして季節の山里料理について - 江戸時代から伝わる洗眼の体験
『目の温泉』と呼ばれた所以となる、湯口での洗眼という独特な入浴文化について - 季節ごとの訪問で異なる景色
雨の初秋から冬の雪見風呂まで、四季折々の山の表情とリピート訪問の楽しみ方
貝掛温泉ってどんなところ? | 4コマ漫画で体験してみる
ゆめにゃん猫は入れないからフィクションにゃ…


貝掛温泉 体験記
火曜日の午後、雨に煙る奥湯沢の貝掛温泉へ。
源泉約36℃のぬる湯に身を沈めると、肌には細かな泡が付き始めます。
加温浴槽へ移り、再び源泉浴槽へ。気がつけば二つの浴槽を5往復していました。
湯上がりには冷たい蕎麦と南魚沼産コシヒカリを味わい、山あいの一軒宿ならではの穏やかな時間を満喫しました。
小雨が降る火曜日の午前中、静けさに包まれた奥湯沢の一軒宿へと足を運びました。
- しとしと雨の日の静けさ
駐車場に車を止めると、しっとり濡れた木々の葉から雨滴が落ちる音が耳に届きました。玄関で靴を脱いで袋に入れて館内へ進み、入館料を支払います。人の出入りもまばらで、雨の日の訪問だからこそ味わえる落ち着いた空気が漂っていました。 - 脱衣所で目にする温泉分析書
木の温もりを感じる脱衣所に足を踏み入れ、壁に掲げられた温泉分析書をじっくり眺めます。ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉の表記や源泉温度約36度の記載を確認し、これから浸かるお湯への期待が高まりました。服を脱いで浴室へ向かいます。 - 静けさが広がる浴室の空気
浴室の扉を開けると、ほのかな鉱物臭と湯けむりが視界を包み込みました。すいていたこともあり、カランの水滴が落ちる音まで大きく響きます。窓の向こうには濡れた緑が鮮やかに映え、静寂の中でゆったりとした時間が流れていました。 - 静かに満ちるやわらかなお湯
視線を下に向けると、木枠の浴槽からお湯が静かに溢れ、床の上に細かな流れを作っていました。絶え間なく注がれる源泉とオーバーフローを眺めながら足先を浸けると、やわらかな湯ざわりが肌に伝わってきます。
体温に近い絶妙な温度の源泉と温かい加温浴槽を行き来する時間は特別なものでした。
- ぬる湯に身を委ねる感覚
源泉浴槽に体を沈めると、熱さも冷たさも主張しない約36度の温度に驚かされます。肌になじむやさしい湯ざわりで、浴槽内では静かな波紋が幾重にも広がっていました。お湯のまとわりつく感覚を肌で確かめながら、そのまま動かずにじっと佇みます。 - 加温浴槽との行き来
源泉浴槽でじっくり過ごした後、隣にある41℃ほどの加温浴槽へと移動しました。ぬる湯の後だけに、その温かさが一段とはっきり感じられます。そこから再び源泉浴槽へ戻ると、肌を通る空気がひんやりと心地よく感じられました。 - 5往復の贅沢な時間
ぬる湯と加温浴槽を、気づけば5往復も行き来していました。源泉浴槽は他の訪問客にも人気で、みな思い思いの姿勢で静かに長湯を楽しんでいます。お風呂から上がる頃には、全身にお湯の温もりが残っていました。 - 湯上がりの温もりを残して食事処へ
服を着て食事処へ向かうと、廊下を歩いている間も体には湯上がりの温かさが残っていました。食事処の暖簾を見つけ、時計を確認しながら足早に向かいます。
江戸時代から「目の温泉」として知られてきた貝掛温泉で、湯口の源泉を使った洗眼を体験しました。
※洗眼は貝掛温泉で案内されている独自の入浴文化です。ほかの温泉で同様に行うことを勧めるものではありません。体験する際は、必ず施設の案内や注意事項に従ってください。
- 湯口から注ぐ無色透明の源泉
浴槽の奥にある湯口へ近づくと、無色透明のお湯が絶えず注ぎ出ていました。硫黄の香りはほとんど感じられず、近くではかすかな鉱物のような香りが漂います。手で受けると、体温に近いぬるさとやわらかな湯ざわりが伝わってきました。 - 手のひらにすくう源泉
湯口から注ぐお湯を両手ですくい上げます。手のひらにたまった源泉は体温とほぼ同じ温かさで、揺れる水面に浴室の光が映っていました。そのまま顔を近づけ、施設で案内されている洗眼を試してみます。 - 目元を浸す珍しい体験
すくったお湯にそっと目元を近づけ、ゆっくりと目を開閉しました。手のひらの源泉に目元を浸す時間は、ほかの温泉ではあまり経験したことのない独特なものです。江戸時代から伝わる「目の温泉」の文化を、湯口の前で実際に体験しました。 - 湯口周辺に残る析出物
洗眼を終えて湯口の根元を見ると、成分が固まったような小さな析出物が付着していました。湯の花とは異なる無機質な結晶の質感を間近で眺めながら、長い間この場所に注ぎ続けてきた源泉の時間を想像しました。
日帰り利用でも立ち寄れる食事処で、南魚沼ならではの味覚を堪能しました。
- ラストオーダー手前の滑り込み
お風呂から上がり時計を見ると、食事処のオーダーストップである13時直前でした。焦りながら暖簾をくぐると、スタッフの方が快く席へ案内してくれました。ギリギリのタイミングでしたが、無事に注文を済ませてホッと一息つきます。 - 三種で楽しむ貝掛三昧そば
運ばれてきた「貝掛三昧そば」は、3つのお椀に分かれ「天ぷら」「とろろ」「かつおぶし・みょうが」がそれぞれ乗った贅沢な構成でした。それぞれにつゆをつけて蕎麦をすすると、薬味ごとの風味と手打ち蕎麦のツルツルとした喉越しが口いっぱいに広がっていきます。 - 南魚沼産コシヒカリの甘み
セットで注文した南魚沼産コシヒカリのご飯を口に運ぶと、一粒一粒にしっかりとした粒感があり、噛むと甘みと粘りが広がりました。噛むほどに米本来の旨味が溢れ出し、添えられた小鉢の煮物や漬物との相性も抜群で、箸がどんどん進んでしまいます。 - 山里の恵みを味わう満足感
風味豊かなお蕎麦と、炊き立ての南魚沼産コシヒカリ、そして小鉢を同時に味わう時間は、旅の満足感をより一層高めてくれました。蕎麦とご飯を食べ終え、静かな食事処でお茶を飲みながら余韻を味わいました。
季節を変えて何度でも足を運びたくなるような、奥深さがこの温泉地にはありました。
- 雨上がりの山肌を眺めて
食事を終えて宿の外に出ると、いつの間にか雨は上がり、山肌に白い霧が薄くたなびいていました。冷たくなった山の空気を吸い込みながら、霧のたなびく山肌を眺めました。周囲の木々はほんのりと色づき始めていました。 - 季節ごとの表情への思い
9月下旬の初秋に訪れましたが、冬の雪見風呂や春の新緑、秋の紅葉など、時期ごとに全く異なる景色が広がるのだろうと想像が膨らみます。特に積雪の中で浸かるぬる湯の体験を思い浮かべると、今から冬の再訪が楽しみになってきました。 - 一軒宿ならではの静寂の余韻
宿を後にして駐車場へ向かうと、周囲には雨上がりの静けさだけが残っていました。約36℃のぬる湯と加温浴槽を5往復したこと、食事処で味わった蕎麦と炊き立てのご飯。訪問中の場面を一つずつ思い返しながら車へ戻ります。 - 再訪を誓った帰り道
車を発進させ、つづら折りの山道を下りながら「次は紅葉の盛りに来よう」と心の中で決めました。約36℃のぬる湯や炊き立ての南魚沼産コシヒカリを思い返しながら、奥湯沢を後にしました。
ぬる湯に浸かり、洗眼を試し、南魚沼のコシヒカリを頬張る。
次の休みは、貝掛温泉で「奥湯沢の静けさ」を丸ごと味わう旅に出かけませんか?
貝掛温泉へのアクセスと基本情報
| 温泉地名 | 貝掛温泉 |
|---|---|
| 所在地 | 新潟県南魚沼郡湯沢町三俣 |
| 入浴施設 | 奥湯沢 貝掛温泉 |
| 主な泉質 | ナトリウム・カルシウムー塩化物温泉(低張性・弱アルカリ性・温泉) pH:7.5前後 |
| お湯の特徴 | 塩化物泉というと温かさの強い湯を想像しますが、源泉浴槽は体温に近い約36℃。 熱さも冷たさも強く主張せず、細かな泡とやわらかな湯ざわりを確かめながら長く浸かれました。41℃ほどの加温浴槽と行き来すると、温度差がより鮮明に感じられます。 |
| 香り | ほのかな鉱物のような香りでした。 湯口へ近づいたときにわずかに感じる程度で、浴槽全体では香りの主張は穏やか。 雨音やオーバーフローの音を邪魔しない静かな存在感です。 |
| 雰囲気 | 越後湯沢の観光地らしい華やかさを想像して向かうと、貝掛温泉は山と渓流に囲まれた一軒宿。 橋を渡った先に庄屋造りの建物が現れ、雨の日は木々から落ちる水滴まで耳に届きます。 開湯約700年の歴史を持ちながら、館内は重々しすぎず、静かに湯へ向き合える雰囲気でした。 |
| 楽しみ方 | まずは約36℃の源泉浴槽にじっくり浸かり、温かな加温浴槽へ移ってから再び源泉へ。私は気づけば5往復していました。 現地で案内されている洗眼文化にも触れ、湯上がりには貝掛三昧そばや南魚沼産コシヒカリを味わうと、貝掛温泉ならではの一日を立体的に楽しめます。 |
| ※源泉や施設によって記載と異なる場合があります。コンディションによって印象は変わる場合があります。 ※掲載している情報は訪問時のものです。最新の情報は公式サイト等で確認をお願いいたします。 | |
- 「日本三眼の湯」のひとつ
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貝掛温泉は、神奈川の姥子温泉や福島の微温湯温泉と並び「日本三眼の湯」の一つに数えられてきた歴史を持ちます。湯口のお湯を手ですくって目を浸す体験をしながら、手元で静かに波紋が広がる光景とともに、古くから伝わる伝統的な洗眼文化に触れられます。
- 上杉謙信の隠し湯の伝承
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鎌倉時代の開湯と伝えられ、戦国時代には上杉謙信の将兵が傷を癒やした隠し湯としても知られる歴史深い温泉地です。木の温もりあふれる大浴場の雰囲気を味わいながら、湯船に注がれる豊かなお湯とともに、幾重もの年月が織りなす趣に浸ることができます。
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越後湯沢駅から車を進めた山あいに佇む宿は、静かな雰囲気に包まれていました。雨音や木々の揺れる音が響く浴室で湯船のフチを撫でるお湯を眺める時間は贅沢で、日々の喧騒を離れて静かに温泉そのものと向き合いたいときに訪れたくなる環境です。
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約36度の源泉浴槽と41度ほどの加温浴槽を5往復ほど巡りました。加温浴槽で温まったあと、ぬる湯へ戻ると肌を抜ける風がひんやりと伝わり、その温度差を肌で楽しむことができました。
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湯上がりに館内のお食事処でいただいた炊き立てのご飯は、一粒一粒が立っていて噛むほどに強い甘みが広がります。3つのお椀で味わう蕎麦や季節の小鉢とともに食卓を彩り、奥湯沢の恵みを食の面からもたっぷりと堪能できる満足度の高い体験でした。
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温泉マニアあるある! — 貝掛温泉編



マニアの人はこうなっちゃう…かも!?
- 温泉分析書を見て「約36℃」にニヤつく
-
普通の人は温泉分析書をちらっと見る程度ですが、マニアは「源泉約36℃か……いいね」と分析書の前で立ち止まります。友達が「もう入ろうよ」と声を掛けても、「この温度だから加温浴槽との交互浴が面白いんだよ」と真剣な表情。入浴前から湯口までの動線を頭の中で組み立てているのです。
- 5分で終わるはずが5往復している
-
「ちょっと浸かるだけ」と言って源泉浴槽へ入ったはずなのに、気づけば加温浴槽との往復が止まりません。「あと一往復だけ」が何度も続き、友達から「まだ出ないの?」と聞かれても、「今ちょうど一番いい流れだから」と返答。時計よりも、自分のペースで交互浴を楽しみ始めます。
- オーバーフローを見て無言になる
-
浴槽から静かに流れ続けるお湯を見つけると、マニアは急に口数が減ります。友達が「どうしたの?」と不思議そうに尋ねると、「いや、この流れ方……美しい」と一言。浴槽から床へ静かに広がるオーバーフローを眺める時間まで、立派な入浴体験の一部なのです。
- 湯口の前で自然と姿勢が正しくなる
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浴槽の奥で静かに源泉を注ぎ続ける湯口へ近づくと、なぜか背筋が伸びます。「ここが700年もの間、多くの人が向き合ってきた場所か」としみじみ眺め、友達から「なんで急に神妙なの?」と笑われることも。湯口は写真を撮るだけではなく、その温泉の歴史を感じる特等席でもあります。
- 「ぬるい」が最高の褒め言葉になる
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初めて訪れた人が「思ったよりぬるいね」と話すと、マニアは待ってましたとばかりに笑顔になります。「それがいいんだよ。ここはじっくり向き合う温度なんだ」と熱弁開始。熱い湯が好きだった友達も、気づけば波紋を眺めながらゆっくり湯に浸かっていて、「なるほど……このぬるさ、クセになるね」と頷いていました。
- 洗眼文化を”文化”として語り始める
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「目の温泉」と聞くと、マニアは効能の話をするわけではありません。「江戸時代から受け継がれてきた入浴文化なんだよ」と歴史や背景を語り始めます。施設の案内を確認しながら、その土地ならではの文化として体験を楽しむ姿に、友達も「なるほど、そういう楽しみ方なんだね」と興味津々です。
- 香りが控えめでも大満足
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強い香りを想像して来た友達が「意外と香りは穏やかだね」と言うと、マニアは「だから雨音やお湯の音が主役になるんだよ」と嬉しそう。ほのかな鉱物の香り、木造浴室、波紋、オーバーフローまで含めて貝掛温泉の魅力だと語り始め、五感全部で温泉を味わっています。
- 蕎麦とコシヒカリまでが温泉セット
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湯上がりに食事処へ向かうのも、マニアにとっては入浴コースの続きです。「今日は貝掛三昧そばかな、それともご飯を追加しようかな」と真剣に悩み始め、友達から「そこまで計画済みなの!?」と驚かれることも。温泉だけで終わらず、南魚沼の味覚まで味わってようやく一日が完成します。
- 雨予報を見るとむしろ嬉しい
-
旅行前に天気予報が雨だと、普通なら少し残念な気分になります。しかしマニアは「雨か、最高じゃないか」とニヤリ。雨粒が木々を打つ音、静かな浴室、山あいに漂う霧まで含めて、この温泉らしい景色だと知っているからです。晴れの日とは違う表情を楽しみに、ワイパーを動かしながら山道を走ります。
- 温泉文化インストラクターと呼ばれる
-
誰かが貝掛温泉へ行くと聞けば、「まず温泉分析書を見てね」「源泉浴槽と加温浴槽を行き来すると面白いよ」「洗眼は施設の案内を確認してね」と、楽しみ方を丁寧に紹介し始めます。決して押し付けるわけではなく、「この温泉ならではの文化を味わってほしい」という気持ちがあふれているだけ。気づけば周囲から”温泉文化インストラクター”と呼ばれるようになります。



管理人いじりですね…
そう呼ばれるのも悪くない!









