水沢温泉郷を深掘りレビュー! 露天風呂水沢温泉の日帰り湯と硫黄の香り(秋田県仙北市)

湯め活びより水沢温泉郷考察編アイキャッチ画像

秋田駒ヶ岳の麓に広がる水沢温泉郷。硫黄の香りが漂う乳白色の湯に浸かり、山里の味覚を楽しむひとときには、この土地ならではの魅力が詰まっていました。
湯の色の違いや豊かな湧出量、周囲に広がる火山の歴史など、気になることも次々と浮かんできます。
このお湯は、どのように生まれ、なぜこれほど個性豊かな表情を見せるのか。
現地で感じた小さな疑問をきっかけに、温泉分析書や公開資料をたどりながら、水沢温泉郷の奥深さを自分なりに考えてみました。

水沢温泉郷で興味深かったこと
  • あつ湯とぬる湯で異なる湯の色
    同じ源泉を使っているのに、透明な湯と乳白色の湯に分かれるのはなぜだろう。
  • 4本の源泉を混ぜ合わせる理由
    分析書に並んだ4つの源泉番号。それぞれのお湯には、どんな違いがあるのだろう。
  • 深さ1メートルの露天風呂と湯量
    深い露天風呂を満たす豊富なお湯。その湧出量と湯使いの関係が気になった。
  • 秋田駒ヶ岳と温泉をつなぐ歴史
    住所にある「生保内」という地名。火山の歴史を調べると、何が見えてくるのだろう。
  • 山の芋鍋に隠された誕生の物語
    湯上がりに味わったふわふわの芋団子。昔から伝わる郷土料理なのだろうか。
目次

水沢温泉郷ってどんなところ? | 4コマ漫画で体験してみる

ゆめにゃん

猫は入れないからフィクションにゃ…

水沢温泉郷の魅力を詰め込んだ4コマ漫画。乳白色の硫黄泉や郷土料理、田沢湖の自然を紹介。

水沢温泉郷レビューと注目ポイント考察

この記事は、筆者が実際に温泉を訪れた際に感じた「なぜ?」をきっかけに、温泉分析書や公開資料などを調べ、自分なりに考察した内容です。資料から確認できる事実と筆者個人の考察を分けて記載するよう努めていますが、専門家による学術的な見解や結論を示すものではありません。直接的な裏付けを確認できていない仮説や想像については、その旨を明記しています。一人の温泉好きが、分析書や資料を眺めながら考えた「温泉の自由研究」としてお楽しみください。

「水沢1・2・3・4号(混合泉)」の一行に引き込まれた

露天風呂水沢温泉さんの分析書で最初に目が止まったのは、源泉名の欄でした。「水沢1、2、3、4号(混合泉)」とあり、4本の源泉を合わせて一つのお湯にしているようです。湯船に浸かりながら、4本はそれぞれ性格が違うのか、それとも似た者同士なのか、気になって仕方がありませんでした。

私の予想は「どれも似た硫黄泉で、湯量をしっかり確保するために束ねているのかな」というものでした。深い湯船をあふれさせるほどの湯量の裏には、複数源泉の合わせ技があるのではと想像したわけです。

環境省の鉱泉分析法指針(平成26年改訂)で改めて確認してみました。混合泉を分析した場合、混合割合を明記した混合泉の分析書と、混合前の各源泉の分析書を作成することが望ましいとされています。また、採水場所や混合している源泉の情報を記載し、混合割合が分かる場合には、それも記載するよう示されています。

つまり、浴室に掲示された分析書は、4本を合わせたお湯の成績表ということになります。1本ずつの個性は、この一枚からは見えません。逆にいえば、私たちが浴槽で楽しんでいるお湯は、4本の源泉による合作です。ワインのブレンドのように、それぞれの源泉の顔つきを想像しながら入るのも、混合泉ならではの楽しみ方だと感じました。

湯口のたまご臭から「硫化水素型」の意味を確かめる

浴室の扉を開けた瞬間に、硫黄泉らしいたまご臭がふわっと届きました。湯口付近では香りが強く、湯船の端のオーバーフロー付近ではやや穏やかに感じました。同じお湯なのに、場所によって香りの強さが違うのが面白く感じました。

分析書の泉質名の最後には「(硫化水素型)」と付いています。香りの主役が硫化水素だから付く名前なのだろう、と予想しました。そして湯口から離れるほど香りが弱く感じられるのは、硫化水素が空気中へ抜けていくからではないか、とも考えました。

環境省の鉱泉分析法指針(平成26年改訂)を読むと、硫化水素型かどうかは、遊離硫化水素のモル濃度と、硫化水素イオンとチオ硫酸イオンのモル濃度の合計を比較して決めることがわかりました。前者が多ければ「硫化水素型」です。

分析書の数字で計算してみると、遊離硫化水素は8.6mg/kgで約0.25mmol/kg、硫化水素イオン(1.5mg/kg)とチオ硫酸イオン(1.0mg/kg)の合計は約0.05mmol/kgでした。遊離硫化水素のモル濃度は、イオン類の合計の約5倍です。指針の換算式で総硫黄を求めると約10mg/kgとなり、硫黄泉の基準である2mg/kgも上回っています。

このお湯では、硫黄成分の多くが遊離硫化水素として含まれていることがわかりました。湯口付近で香りが強く感じられたのも、硫化水素が空気中へ移っていくことと関係しているのかもしれません。

また、環境省の温泉利用施設の設備構造等に関する基準では、総硫黄2mg/kg以上の温泉について、浴室の換気や湯面より上に注ぎ口を設けることなどが示されています。湯口や浴室のつくりを眺めるとき、こうした基準を思い出すと、いつもの温泉風景が少し違って見えてきます。

あつ湯は透明、ぬる湯は白濁。同じ源泉なのに色が違う理由

露天風呂水沢温泉さんの浴場は、内湯も露天も左右対称に近いつくりで、片方があつ湯、もう片方がぬる湯になっていました。見比べて驚いたのは色の違いです。念のため確認した口コミにも、あつ湯は無色透明、ぬる湯は成分が析出したのか白濁していた、というものがありました。

同じ源泉を引いているはずなので、違いは「温度」と「湯船に入ってからの時間」ではないか、と予想しました。ぬる湯では、お湯が冷める過程で空気とふれ合い、硫化水素などの硫黄成分が変化して、白く見えるようになるのではないかという読みです。

調べてみると、環境省の鉱泉分析法指針では、温泉水の色や濁りについて、採水からの経過時間とともに変化を記録するよう示されていました。温泉は、採取した後も見た目が変わることのあるお湯なのだと、改めて興味が湧きました。

さらに面白かったのが、岡山大学の芦沢峻氏による三朝温泉の研究(第18報)です。硫黄泉の白濁は硫化水素の酸化によるものと考えられてきましたが、この研究では、三朝の一部の源泉について、多硫化物が温度やpHの変化によって分解し、硫黄が生じるという説が示されていました。

もちろん三朝と水沢では泉質も地質も異なるので、そのまま当てはめることはできません。それでも「ぬる湯のほうが白く見えた」という観察と、温度によって硫黄成分が変化する可能性が重なって見えたのは楽しい発見でした。実際の白濁の理由はまだわかりませんが、次に訪れたら、湯口近くとオーバーフロー付近の濁り具合も見比べてみたいと思いました。

深さ1mの露天風呂と毎分1,000Lの豊かな湯量

露天風呂に足を入れて、まず驚いたのが深さです。体全体がぎゅっと包まれるような独特の感覚で、思わず湯船の中を歩き回ってしまいました。

これだけ深い湯船を源泉かけ流しで満たすには、相当な湯量が必要なのではないか。深い浴槽を造れた背景には、豊富な源泉があるのではないかと考えました。

調べてみると、日本温泉協会の施設紹介にも、露天風呂の深さは1mと書かれていました。さらに驚いたのが、施設の公式サイトにある「毎分1,000リットルの自然湧出」という記述です。男女それぞれに露天風呂が2つ、内湯が2つあるという、ぜいたくな浴場構成にも納得してしまいました。

毎分1,000リットルということは、仮に24時間同じ量が湧き続ければ、1日約1,440トンになります。家庭の浴槽を200リットルとすると、わずか1分間に5杯分のお湯が湧く計算です。深さだけで湯量の豊かさを判断することはできませんが、これほどの湧出量があれば、広く深い湯船を設けられるのも頷ける気がしました。

ちなみに、水深1mの底では、水面より約0.1気圧ぶん水圧が高くなります。入浴中に感じた「包まれるような感覚」には、この水圧も関係しているのかもしれません。深い湯船は足元の感覚も普段と違うので、私は縁につかまりながら、ゆっくり体を沈めるように気をつけました。

源泉57℃が使用位置で42℃に。「加水は清掃時のみ」の掲示を読み解く

分析書の泉温欄には「源泉57.0℃、使用位置42.0℃」と2つの温度が並んでいます。その下の「成分に影響を与える項目」には、加水ありとしつつ、理由として「源泉温度が高いため、清掃時(換水時)のみ適温にするため加水」と書かれていました。加温・循環・入浴剤・消毒はいずれもなしでした。

最初は、57℃のお湯をどうやって水を足さずに42℃まで下げているのか不思議でした。おそらく源泉から浴槽までの引き湯の道のりで、自然に熱が逃げているのではないかと想像しました。そして清掃後の湯張りのときだけは、空の浴槽を早く適温にする必要があるので、水を足すのだろうと読みました。

環境省の鉱泉分析法指針を確認すると、泉温は湧出地点かその最寄りで測り、それとは別に利用時の温度も測ることになっています。分析書に温度が2つ並ぶ理由を、ここで再確認しました。

また、環境省の温泉法施行規則改正のお知らせによれば、2005年5月から、加水・加温・循環・入浴剤や消毒を行う場合は、その旨と理由の掲示が義務になりました。同じ資料では、循環ろ過とかけ流しのどちらが優れているとは一概に言えない、とも説明されています。

この掲示制度のおかげで、私たちは加水の有無や理由を知ることができます。さらに、この施設では「清掃時(換水時)のみ」というタイミングまで書かれていました。普段は加水せず、引き湯の過程などで自然に温度を下げているのかもしれません。実際の仕組みまではわかりませんでしたが、源泉から浴槽へ届くまでの道のりを想像すると、湯口から流れ込むお湯がいっそうありがたく感じられました。

メタケイ酸289mgから始まった「温泉の条件、いくつ満たす?」遊び

湯上がりに肌をなでると、さらりとしながらも、しっとりした感触が残っていました。分析書の非解離成分の欄を見ると、メタケイ酸が289.0mg/kg。温泉好きの間で話題にのぼりやすい成分が、かなりの量です。

メタケイ酸は地下水と岩石との関わりで生じる成分なので、高温の地下水が火山岩の中をじっくり通ってきた結果ではないか、と想像しました。同時に、「これだけ多いなら、温泉法の基準もメタケイ酸だけで軽く超えているはず」と思い、ほかの成分でも基準を満たしているのか気になってきました。

環境省の温泉の定義を見ると、温泉法上の温泉は、源泉温度が25℃以上か、19種類の物質のいずれかを基準値以上含めばよいとされています。メタケイ酸の基準は1kg中50mgなので、289mgはその約6倍です。

面白くなって、ほかの項目も分析書と照らし合わせてみました。

温度源泉57.0℃基準25℃以上
溶存物質1,911mg/kg基準1,000mg/kg以上
遊離二酸化炭素274.3mg/kg基準250mg/kg以上
総硫黄約10mg/kg基準1mg/kg以上
メタけい酸289.0mg/kg基準50mg/kg以上
メタほう酸5.7mg/kg基準5mg/kg以上
炭酸水素ナトリウム約489mg/kg基準340mg/kg以上

炭酸水素ナトリウムは、鉱泉分析法指針に従い、ナトリウムイオンと炭酸水素イオンのミリバル値の小さいほうに分子量をかけて求めました。

結果、温度を含めて7つの条件をクリアしていました。どれか一つで温泉と名乗れるところを、7つも同時に満たしているとは、なんとも興味深い成分構成です。肌ざわりの理由まではわかりませんが、さまざまな成分が溶け込んでいることを知ると、あの独特のお湯の感触をまた思い出してしまいました。

長い泉質名を旧泉質名と比べると、お湯の性格が見えてきた

「含硫黄-カルシウム・マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉(硫化水素型)」。一息では読めない長さです。分析書の泉質欄には、その上に「硫酸塩泉、硫黄泉」という掲示用の短い名前も添えられていました。長い名前は正確ですが、どんなお湯なのかを直感的につかむには、昔の泉質名のほうが向いているかもしれないと思いました。

カルシウムと硫酸塩が主役なら、昔でいう「石膏泉」の仲間でしょう。そこに硫化水素が加わっているので、「石膏硫化水素泉」あたりに落ち着くのでは、と予想しました。

環境省の新旧泉質名対照表を開いてみると、硫化水素泉のグループに「石膏硫化水素泉」がありました。現在の名前では「含硫黄-カルシウム-硫酸塩泉(硫化水素型)」です。また、「含石膏-土類硫化水素泉」という名前もあり、こちらは「含硫黄-カルシウム(・マグネシウム)-炭酸水素塩・硫酸塩泉(硫化水素型)」に対応しています。旧名の「土類」はカルシウムやマグネシウムのことです。

水沢のお湯と見比べると、どちらにもぴったり一致はしませんでした。陰イオンは硫酸塩が55.8%で主役なので、石膏硫化水素泉を連想しますが、炭酸水素塩も31.2%あります。陽イオンにはマグネシウム(31.0%)やナトリウム(24.6%)もしっかり入っています。昔の名前一つでは表しきれない、欲張りなお湯といえそうです。

ちなみに、マグネシウムと硫酸塩の組み合わせは、旧名でいう「正苦味泉」を思わせます。石膏泉や正苦味泉を連想させる成分があり、さらに硫化水素泉の特徴も持っている。旧泉質名と照らし合わせてみると、長い泉質名は「いくつもの性格が重なったお湯」を正直に表しているのだと実感できました。

坂の上の田沢湖高原温泉郷と、泉質名がそっくりだった

水沢温泉郷から乳頭方面へ車で少し上ると、田沢湖高原温泉郷があります。距離はわずかですが、標高は一段上がります。湯めぐりの途中でふと、「お隣の温泉郷のお湯はどんな泉質なのだろう」と気になりました。

同じ秋田駒ヶ岳の山麓なので、似たタイプのお湯が湧いているのではないかと予想しました。ただ、温泉は数百メートル離れるだけで泉質ががらりと変わることもあるので、半信半疑です。

るるぶ&more.の田沢湖高原温泉郷のページを見ると、泉質は「含硫黄-カルシウム・マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉」とありました。水沢の分析書と同じ成分が、同じ順番で並んでいます。泉温54.5℃、湯量毎分1,300リットルとも紹介されていました。ただし、自家源泉を持つ宿もあるため、この数字が温泉郷全体を表しているわけではなさそうです。

さらに興味深かったのが、水沢温泉郷にあるセルリアンリゾートAONIさんの公式サイトです。こちらには露天風呂水沢温泉さんと同じ泉質名に加え、源泉温度57℃、メタケイ酸289mgという数字まで掲載されていました。近隣の施設にも共通する特徴があるようです。

比べてみると、水沢の分析書は源泉57.0℃で、高原温泉郷の掲載値より少し熱めです。泉質名は主要なイオンの割合や順位によって決まるため、名前が同じでも成分の濃さや細かな比率まで一致するとは限りません。いつか両方の分析書を並べて、ミリバル%を一つずつ見比べてみたいと思っています。同じ山の麓で出会える「兄弟のようなお湯」を、飲み比べならぬ入り比べできるのは、この高原ならではのぜいたくだなと思いました。

住所の「生保内」が、秋田駒ヶ岳の噴火史に出てきた

露天風呂水沢温泉さんの住所は「仙北市田沢湖生保内(おぼない)」です。湯上がりに外へ出ると、背後には秋田駒ヶ岳の山並みが続いています。57℃のお湯を温めている熱源は、やはりこの山なのだろうか。そんなことを考えながら、山を見上げました。

活火山のふもとにある硫化水素型の硫黄泉なので、火山の熱や火山ガスの影響を受けたお湯なのでは、と予想しました。ただ、山と温泉のつながりを具体的に示す資料があるのかどうかは、まったく見当がつきませんでした。

気象庁の秋田駒ヶ岳のページを開くと、まず山麓には温泉が多いという説明がありました。そして噴火史の中に、約11,000~13,000年前の大規模な噴火で「生保内(おぼない)火砕流」が噴出し、南北2つのカルデラが形成されたと書かれていました。住所の地名が火山の歴史に刻まれていたことに、思わず声が出ました。

さらに、気象庁の有史以降の火山活動には、1970~71年に女岳でストロンボリ式の噴火が起こり、溶岩が流れ出したことが記されています。また1933年の欄には、女岳の白煙とともに、国見温泉で泉温が急に上がったと読み取れる記録もありました。火山の変化と温泉の変化が、同じ時期に記録されていたことが興味深く感じられました。

水沢のお湯がどの深さで、どの熱源に温められているのかは、私が読んだ資料からはわかりません。それでも、自分が浸かっていた土地の地名が、太古の火砕流の名前にもなっていると知ると、湯船の見え方が変わります。お湯の成分の向こうに、1万年以上にわたる山の営みが透けて見える気がしました。

pH6.3の水沢と、pH1.1の玉川温泉。田沢湖を変えた導水の歴史

水沢のお湯はpH6.3の中性です。一方、同じ仙北市には、日本屈指の強酸性泉として知られる玉川温泉があります。同じ地域の温泉なのに、液性がここまで違うのはなぜだろう。帰り道に田沢湖の青い湖面を眺めながら、ふとそんなことを考えていました。

強い酸性のお湯がたくさん湧けば、川や湖にも何かしら影響が出るのではないか、と想像しました。ただ、それがどの程度のものなのかは、まったく知りませんでした。

国土交通省の玉川・田沢湖における水質改善の資料によると、玉川温泉の大噴(おおぶけ)からは、pH1.1・97℃の強酸性泉が毎分8,400リットルも湧いています。1940年1月、発電や農業振興などを目的に、玉川の水を田沢湖へ導く事業が始まりました。導水前にpH6.7だった湖は、同じ年の9月にはpH5.4まで低下し、その後も酸性化が進んだと記されています。

秋田県の田沢湖の水質調査報告には、田沢湖の固有種だったクニマスを含む約20種類の魚が、ほとんど姿を消したとありました。その後、玉川ダム建設事業の一環として「玉川酸性水中和処理施設」が造られ、1989年に試験運転を始めています。

温泉の液性は、湯船の中だけの話ではありませんでした。強酸性の温泉水を含む川の水を人が湖へ導いたことで、湖の環境や生き物の運命まで大きく変わっていたのです。同じ仙北市でも、水沢は中性の硫黄泉、玉川は強酸性泉と、まったく違う顔をしています。湯めぐりをすると、その違いを肌で比べられます。次は田沢湖クニマス未来館にも足を延ばして、湖の側からこの歴史をたどってみたいと思いました。

湯上がりの山の芋鍋は、温泉宿の板前さんが育てた名物だった

硫黄泉でしっかり温まったあと、宿の夕食でいただいたのが「山の芋鍋」でした。すりおろした芋の団子が、だしを吸ってふわふわに膨らんでいます。とろろとも、すいとんとも違う、もちっとした独特の食感です。水沢温泉郷の駒ヶ岳温泉さんも、名物の山の芋鍋と地蕎麦を看板にしています。

「山の芋」というからには、山で採れる自然薯のことだろうと思っていました。そして、きりたんぽ鍋のように、昔から農家の囲炉裏で食べられてきた郷土料理なのだろうと予想していました。

仙北市の山の芋鍋の紹介を読むと、地元の観光旅館やホテルの板前さんたちが開発に乗り出したのが始まりだそうです。さらに、田沢湖・角館観光協会の公式サイトによれば、昭和50年代に地元の調理長たちの会「庖和会」で生まれたとのこと。味付けや具は宿によって違い、醤油味も味噌味もあり、鶏肉・豚肉・合鴨と使う肉もさまざま。細かいレシピを決めていないおおらかさも魅力だと紹介されていました。

芋そのものについても調べてみました。農畜産業振興機構の解説によると、ヤマノイモには自然薯や長芋、丸い形をしたつくねいもなど、さまざまな種類があります。また、田沢湖・角館観光協会では、地元の山の芋は粘りが強く、つなぎを使わなくても団子になると紹介されていました。あの独特の食感にも、芋そのものの個性が表れていたようです。

自然薯という予想は外れたようですが、むしろ面白い答えでした。温泉地の料理人たちが工夫して生み出した料理だからこそ、宿によって違った山の芋鍋が楽しめる。湯めぐりならぬ「鍋めぐり」ができるのも、この地域ならではの食文化だと思います。泉質の違いを入り比べるように、宿ごとの鍋の違いを食べ比べるのも、温泉旅の楽しみ方の一つになりそうです。

ゆめにゃん

硫黄の香りに包まれ、乳白色の湯に浸かり、山の芋鍋に舌鼓を打つ。
次の休みは、水沢温泉郷で「秋田駒ヶ岳の恵み」を五感で味わう旅に出かけませんか?

硫黄泉の香りが漂う名湯

水沢温泉郷の魅力は、秋田駒ヶ岳の山麓に湧く個性豊かな硫黄泉。露天風呂水沢温泉では、硫化水素型の含硫黄泉を楽しめます。湯口付近に漂う独特の香りや、湯の成分が生み出す表情など、温泉そのものの存在感をじっくり味わえるのが魅力です。

乳白色のにごり湯を楽しむ

水沢温泉郷を象徴するのが、硫黄泉ならではの乳白色のにごり湯。露天風呂水沢温泉では、透明感のあるあつ湯と白く濁ったぬる湯が見られることもあります。同じ源泉でも湯の状態によって表情が変わる、自然の温泉ならではの面白さが感じられます。

源泉かけ流しの贅沢な湯船

露天風呂水沢温泉では、源泉かけ流しのお湯を楽しめます。温泉分析書の掲示によると、加温・循環・消毒は行わず、清掃や換水時の温度調整に加水を使用する方式です。湯口から注がれるお湯と浴槽からあふれる湯を眺めながら、湯使いにも注目したくなる温泉です。

豊富な湧出量と深い露天風呂

露天風呂水沢温泉の源泉は、毎分約1,000リットルの自然湧出と紹介されています。深さ約1メートルの露天風呂も特徴で、豊かな湯量を生かしたゆったりとした造りが魅力。秋田駒ヶ岳の山麓に広がる自然を感じながら、たっぷりのお湯に浸かる時間を楽しめます。

温泉分析書から見える湯の個性

露天風呂水沢温泉の分析書には、4本の混合源泉、pH6.3、源泉温度57.0℃などが記されています。硫黄成分に加え、硫酸イオンや炭酸水素イオン、メタケイ酸なども含まれるお湯。数値を眺めることで、乳白色の湯の奥にある成分の豊かさにも興味が広がります。

温泉マニアあるある! – 水沢温泉郷考察編

ゆめにゃん

マニアの人はこうなっちゃう…かも!?

混合泉の4本が気になって仕方ない

温泉分析書に「水沢1・2・3・4号(混合泉)」と書かれているのを見つけ、「おおっ、4本も混ぜてるのか!」と興奮するマニア。友達が「混ぜたら何か違うの?」と聞くと、「それぞれの源泉の個性が気になるんだよ!」と力説。しかし個別の分析値まではわからず、結局4本の源泉の性格を勝手に想像して楽しんでいます。

湯口の硫黄の香りに反応する

浴場に入った瞬間、硫黄の香りを感じて「おおっ、いいねぇ!」と嬉しそうなマニア。湯口付近では香りの印象が変わることにも気づき、「硫化水素型って、こういうところが面白いんだよ!」と語り始めます。友達が「普通にお風呂入ろうよ」と誘っても、頭の中ではすでに温泉分析書の成分欄が開かれています。

あつ湯とぬる湯の色を見比べる

透明感のあるあつ湯と、乳白色に濁ったぬる湯。マニアは「同じ源泉なのに、こんなに違う!」と大喜び。友達が「白いほうが温泉っぽいね」と言うと、「いやいや、透明なほうも同じお湯なんだよ!」とドヤ顔。入浴する前から湯色の違いについて語り始め、友達に「そろそろ浸からない?」と催促されます。

深さ1メートルの露天風呂で感動する

深さ約1メートルの露天風呂に入ると、「おおっ、これは深い!」と目を輝かせるマニア。友達が「普通に深いお風呂じゃん」と返しても、「この深さでたっぷりお湯を張れるのがいいんだよ!」と興奮気味。湯船の大きさや深さまで観察しているうちに、友達から「お風呂の設計士なの?」と聞かれてしまいます。

オーバーフローを見て計算を始める

浴槽の縁からお湯があふれる様子を眺め、「毎分1,000リットルの自然湧出かぁ……」と感慨にふけるマニア。友達が「そんなにすごいの?」と聞くと、「単純計算で1日1,440トンだよ!」と即答。ただし、その全量が目の前の浴槽に注がれているわけではありません。そんな説明まで始めてしまい、友達は静かに湯船へ戻っていきます。

加水の掲示を読み込んでしまう

「加温なし、循環なし、消毒なし」という掲示を見て、思わずニヤリとするマニア。ところが「加水あり」の文字を見つけると、急に真剣な表情に。「清掃や換水時の温度調整か……なるほど!」と納得していると、友達から「さっきから何を読んでるの?」と質問されます。「温泉の使い方だよ!」と答えるものの、説明が長すぎて誰も聞いていません。

メタケイ酸289mgに食いつく

温泉分析書に「メタケイ酸289.0mg/kg」とあるのを見つけ、「おおっ、289!」と小さく声を上げるマニア。友達が「何の点数?」と聞くと、「点数じゃない! 温泉の成分だよ!」と即座に訂正。さらに温泉法の基準まで説明しようとしますが、「数字がいっぱいでわからん」と言われ、少し残念そう。それでも分析書を眺める表情は幸せそうです。

隣の温泉郷と泉質名を比べたがる

水沢温泉郷から田沢湖高原温泉郷へ向かう途中、「あっちも似た泉質なんだよね」と語り始めるマニア。友達が「どっちも硫黄の温泉ってこと?」と聞くと、「いや、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムの並びまで同じでさ!」と熱弁。友達には呪文のように聞こえますが、本人は温泉同士の共通点を見つけて大満足です。

山の芋鍋まで分析してしまう

夕食に山の芋鍋が出てくると、「おおっ、これが名物か!」と嬉しそうなマニア。ふわふわの芋団子を味わいながら、「昔からの郷土料理かと思ったら、地元の料理人たちが考えたんだって!」と豆知識を披露します。友達が「おいしいね」と返すと、「しかも宿によって味付けが違うらしいよ!」と追撃。温泉分析だけでは飽き足らず、ついに鍋の研究まで始めています。

カルデラの話が止まらなくなる

露天風呂で景色を眺めながら、「秋田駒ヶ岳にはさ、南北2つのカルデラがあるんだよね」と得意げに語るマニア。友達が「そうなんだ……」と返すと、「実は田沢湖にもカルデラ形成の歴史があってさ……」と追撃。まわりからは”湯めぐりカルデラ”とあだ名されてしまうのです。

管理人

管理人いじりですね…
そう呼ばれるのも悪くない!

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この記事を書いた人

温泉巡り歴15年。
トロトロのお湯と硫黄の香りが大好物。
なのに他の泉質にもすぐハマってしまう。
休日は山奥の秘湯へ直行。
そして、猫が好き。

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