山あいにひっそりと佇み、寺湯をルーツに長く大切にされてきた霊泉寺温泉。
共同浴場の湯に浸かっていると、飾らない静けさのなかに、この土地ならではの奥深さを感じました。
なぜ石けんは泡立ちにくいのか。なぜこの山里に、こんなお湯が湧いているのか。
温泉分析書や歴史、足元の地質をたどりながら、この湯が受け継がれてきた理由をもう少し知りたくなりました。
- 塩類泉まであと少し?
成分表にあった「991.4mg/kg」という数字が気になりました。 - 石けんが泡立ちにくい理由
昔から伝わる「効かぬはシャボンばかりなり」に興味を持ちました。 - 寺湯から続く共同浴場の歴史
寺のそばに湧いたという伝説と、現在の湯とのつながりを追いました。 - 足元に眠る太古の海底火山
無色透明の湯から、内村層やグリーンタフへ興味が広がりました。 - 丸子三湯を比べて見えた違い
鹿教湯・大塩と分析書を並べ、温度や成分の違いに注目しました。



霊泉寺温泉ってどんなところ? | 4コマ漫画で体験してみる
ゆめにゃん猫は入れないからフィクションにゃ…


霊泉寺温泉レビューと注目ポイント考察
成分総計991.4mg、塩類泉の基準に近い単純温泉
霊泉寺温泉の共同浴場で湯船に浸かると、肌にしっとりとなじむような感触がありました。事前に単純温泉と確認していたこともあって、「思っていたより存在感のあるお湯だな」と感じたのを覚えています。そこで改めて温泉分析書を見ると、目に止まったのが「溶存物質0.9914g/kg」という数字でした。
「これって、単純温泉と塩類泉の境目にかなり近いな」と思い調べてみると、神奈川県温泉地学研究所の「泉質の判定」では、溶存物質(ガス性のものを除く)が1,000mg/kg以上の場合は塩類泉となり、陽イオンと陰イオンの割合によって泉質名が決まると説明されています。1,000mgに対して、霊泉寺温泉は991.4mg。その差はわずか8.6mg/kgでした。
さらに分析書を見ると、蒸発残留物は1.030g/kgと、こちらは1gを超えています。ただし、塩類泉かどうかの判定に使われるのは蒸発残留物ではなく溶存物質の総量。そのため、この源泉の泉質はあくまでアルカリ性単純温泉です。
もちろん、991.4mgという数字だけで私が感じた浴感を説明できるわけではありません。それでも、「分類上は単純温泉だけれど、塩類泉の基準にかなり近い」と知ると、なんだかこのお湯がさらに面白く見えてきました。泉質名だけでなく、その下に並ぶ数字まで眺めてみる。そんな分析書の楽しみ方を、またひとつ教えてもらった気がしました。
同じ温泉地で泉質名が違う?中屋さんの硫酸塩泉を読む
共同浴場の泉質名はアルカリ性単純温泉。ところが、事前に宿の情報を調べていたとき、旅館では「硫酸塩泉」と表示されているお湯があることを思い出しました。同じ小さな温泉街で泉質名が違うのはなぜなのか。湯上がりに興味を持った点です。
項目1で、共同浴場の溶存物質が991.4mg/kgと、塩類泉の基準となる1,000mg/kgにかなり近いことが分かっていました。そこで、「もう一本の源泉は、その境目を少し上回っているのかもしれない」と想像しました。
調べてみると、環境省の「丸子温泉郷国民保養温泉地計画」には、霊泉寺温泉に2つの源泉が記載されています。市有源泉は44.5℃のアルカリ性単純温泉、もう一方の組合所有源泉は36.0℃のカルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉です。
さらに、中屋旅館さんを訪れた記録に掲載されている2014年の温泉分析書を見ると、こちらの源泉は38.5℃、pH8.2、溶存物質1,020mg/kgと記されています。共同浴場の991.4mg/kgとの差は30mg弱。その間に、ちょうど1,000mg/kgという泉質分類の境目があります。また、どちらの分析書もカルシウムと硫酸イオンの割合が大きく、成分構成にもよく似たところがありました。
「もしかして境界線をはさんだ、よく似た二つの源泉なのでは」と考えていたので、この数字の並びにはちょっと嬉しくなりました。ただし、分析年も異なるため、30mgほどの差そのものに大きな意味があるとまでは言えません。それでも、同じ温泉地に泉質名の異なる2つの源泉があることは確かです。
日本秘湯を守る会の和泉屋旅館さんの案内にも、源泉温度として46℃と38.5℃の2つが掲載されています。ひとつの小さな温泉地で、温度も泉質名も少しずつ違うお湯が楽しめる。そう考えると、宿をはしごして、その違いを自分の感覚で確かめてみたくなりました。
カルシウム77%・硫酸イオン90%、石膏型の成分構成を読む
分析書のイオン成分表で、ひときわ大きな数字が二つありました。陽イオンではカルシウムが77.31%、陰イオンでは硫酸イオンが90.48%。この「%」はミリバル%といい、それぞれ陽イオン、陰イオンの中でどの成分が大きな割合を占めているかを見る数字です。
「これって、成分の組み合わせだけ見れば石膏泉にかなり近いのでは?」と思い神奈川県温泉地学研究所の泉質解説を見ると、カルシウムイオンと硫酸イオンが主体となるタイプは「石膏型」とされ、カルシウム-硫酸塩泉の旧泉質名が石膏泉だったことが分かります。霊泉寺温泉は溶存物質が1,000mg/kg未満なので泉質名はアルカリ性単純温泉ですが、成分構成には石膏型の特徴がはっきり表れていると見ることができそうです。
泉質名には、原則としてミリバル%が20%以上のイオンが使われます。共同浴場の分析書ではナトリウムも22.27%あるため、仮に現在の成分割合のまま塩類泉の条件を満たしたとすれば、「カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉」という名前になる組成です。一方、塩化物イオンは7.67%なので、この基準には届きません。
また、pHは8.9。私は石膏泉というと中性付近のお湯をなんとなく思い浮かべていたので、このアルカリ性との組み合わせも印象に残りました。分析書には炭酸イオンも3.7mg/kg記載されていますが、一つの成分だけでpHの理由を説明できるわけではありません。それでも、泉質名の「アルカリ性単純温泉」だけを見ていたときとは、少し違ったお湯の姿が見えてきました。
ちなみに、硫酸塩泉は古くから「傷の湯」と呼ばれてきたこともあるそうです。日本秘湯を守る会の泉質解説でも、その呼び名が紹介されています。もちろん、それを根拠に開湯伝説の武将の傷がこの湯で治ったと考えることはできません。ただ、鬼退治で傷ついた平維茂がこの温泉で湯治したという伝説と、「傷の湯」という昔ながらの呼び名が重なるのは、温泉好きとしてちょっと心ひかれる偶然でした。
「効かぬはシャボンばかりなり」を硬度で読み解く
霊泉寺温泉には、「霊泉寺 効かぬはシャボンばかりなり」という言い伝えがあります。霊泉寺温泉の公式サイトによれば、万病に効くとされる一方で、石けんが泡立ちにくいことを表した言葉だそうです。もちろん効能については昔から伝わる表現ですが、洗い場で持参の石けんを使ったとき、確かに泡立ちがいつもより控えめに感じられ、この言葉が頭に浮かびました。
アルカリ性のお湯は石けんと相性がよさそうなイメージがあったので、「それなのになぜ泡立ちにくいのだろう」と興味を持ちました。そこで思い出したのが、項目3で確認したカルシウムの多さです。
水に含まれるカルシウムやマグネシウムの量は、「硬度」という指標で表すことができます。厚生労働省が示す計算方法では、カルシウムとマグネシウムの濃度から炭酸カルシウム換算の硬度を求めます。共同浴場の分析書にあるカルシウム218.5mg/kg、マグネシウム0.07mg/kgと密度1.0010から概算すると、硬度は約546mg/Lになりました。
WHOの硬度に関する資料では、180mg/Lを超える水は一般に「very hard」とされています。約546mg/Lという数字は、その目安を大きく上回ります。またWHOは、硬水では石けんを泡立てるためにより多くの石けんが必要になると説明しています。米国地質調査所(USGS)の解説でも、硬水中のカルシウムが石けんと反応して、いわゆる石けんかすを生じることが紹介されています。
分析書を見ると、マグネシウムはごくわずかなので、この高い硬度の大部分はカルシウムによるものと考えられます。そう考えると、「シャボンばかりなり」という昔からの言葉と、現在の分析書に表れたカルシウムの多さがつながって見えてきました。
昔の人が硬度という数字を知っていたわけではありません。それでも、日々お湯を使うなかで「この湯では石けんが泡立ちにくい」という特徴を感じ取り、それを言葉として残したのかもしれません。分析書の数字と昔からの言い伝えが、思わぬところで重なったように感じました。
毎分99.3リットルの動力揚湯と、寺の傍らに湧いた伝説の湯
共同浴場の湯船は、大人7~8人ほどで満員になりそうな大きさです。そこへ湯口から勢いよくお湯が注がれ、浴槽の縁からは途切れることなくオーバーフローしていました。分析書を見ると、湧出量は「99.3L/分(掘削による動力揚湯)」。採水地には「貯湯槽における分析」と書かれています。
一方、霊泉寺温泉の開湯伝説では、鬼退治で傷ついた平維茂が山中をさまようなか、湯煙とともにこんこんと湧き出す泉を見つけたと伝えられています。霊泉寺温泉の公式サイトでは、その湯が寺湯として利用され、現在の共同浴場につながったと紹介されています。
「昔は自然に湧いていたお湯を使い、いつしか井戸から汲み上げるようになったのだろうか」
そう考えて調べてみると、上田市の「歴史的風致維持向上計画」に、まさにその変遷が記されていました。共同浴場では1954年(昭和29年)まで付近で自噴していた温泉を利用していましたが、同年12月にボーリングに成功し、それ以降は源泉井戸から揚湯した温泉を浴槽に使っているそうです。
現在の分析書にある「動力揚湯」という文字は、単なる設備上の情報だと思っていました。しかし、こうして歴史を追ってみると、自噴する湯を使っていた時代から、井戸を掘って湯を汲み上げる時代へ移った記録でもあったのです。
現在も上田市は共同浴場のお湯を「源泉かけ流し」と案内しています。湯を取り出す方法は時代とともに変わりましたが、地域の共同浴場として温泉が使われ続けてきた。その長い時間を思うと、湯口から流れ続けるお湯が少し違って見えてきました。
44.5℃の共同浴場と38.5℃のぬる湯、温度でたどる湯めぐり
共同浴場のお湯は、入った瞬間に「おっ」と思うほどよい熱さでした。一方、霊泉寺温泉の宿では、ぬるめのお湯をゆっくり楽しめるところもあります。同じ小さな温泉地なのに、湯温の印象がずいぶん違うのはなぜなのか気になりました。
項目2で調べたところ、共同浴場の分析書に記された源泉温度は44.5℃。一方、日本秘湯を守る会の和泉屋旅館さんの案内には、46℃と38.5℃という2つの源泉温度が掲載されています。和泉屋では加水・加温・減温なしの源泉かけ流しとされ、霊泉寺温泉の公式サイトでも「ゆっくり浸かれる温度」と紹介されています。
神奈川県温泉地学研究所の泉温区分に当てはめると、44.5℃は「高温泉」、38.5℃は34℃以上42℃未満の「温泉」にあたります。温度の違う源泉が、分類上も別の区分にまたがっているのが面白いところです。
共同浴場の分析書には、調査時の気温が2℃、泉温が44.5℃と記録されています。私が入ったときも浴槽はほどよく熱く感じました。一方で、旅館によってはぬるめのお湯をじっくり楽しめる。同じ温泉地のなかで、湯温の違いがそのまま入浴の楽しみ方の違いになっているように感じます。
共同浴場で少し熱めのお湯を楽しみ、そのあと宿ではぬるめのお湯にゆっくり浸かる。そんな温度をたどる湯めぐりができるのも、霊泉寺温泉の面白さのひとつだと思いました。
火山の見えない山里に、なぜ石膏系のお湯が湧くのか
共同浴場を出て温泉街を見回すと、三方を穏やかな山に囲まれ、噴煙を上げる火山は見当たりませんでした。硫黄の匂いもしない。それなのに44.5℃のお湯が湧き、分析書ではカルシウムと硫酸イオンが大きな割合を占めています。この組み合わせは、どこから来ているのだろうと気になりました。
そこで、「地下を巡る水が、この土地の岩石や地層からカルシウムや硫酸イオンを取り込んでいるのでは」と予想しました。
上田市の地質に関する資料によると、上田盆地は約1,700万年前から520万年前にかけてフォッサ・マグナと呼ばれる大地溝帯が広がっていた地域で、その古い地層の一つである内村層には緑色凝灰岩、いわゆるグリーンタフが含まれています。独鈷山系にも内村層の岩石が見られるとされています。
さらに、長野県の地学遺産候補をまとめた資料には、旧丸子町の内村層に海底火山噴出物である枕状溶岩が残ることが紹介されています。古い地質調査所の調査報告にも、鹿教湯から霊泉寺にかけて下部内村層の緑色火山岩類などが発達すると記されていました。
では、グリーンタフと温泉の成分には関係があるのでしょうか。産総研の研究者らによる非火山地域の地下水研究では、グリーンタフ地域でSO₄²⁻に富む地下水がみられ、先行研究として、グリーンタフ中の石膏と地下水との反応によってカルシウムと硫酸イオンが溶け出す仕組みが紹介されています。
もちろん、これだけで霊泉寺温泉のカルシウムや硫酸イオンが内村層のグリーンタフに由来すると断定できたわけではありません。地下水がどこを通り、どの岩石と接してきたのかまでは今回の資料から分からないからです。それでも、温泉分析書から地質をたどっていくと、足元には太古の海底火山活動でつくられた地層があることが見えてきました。
かつてこの一帯の温泉郷が「内村温泉郷」と呼ばれ、その足元の地層にも「内村層」という名前があるのも、なんだか面白く感じます。目に見える火山はなくても、無色透明のお湯から遠い昔の海底火山へ想像を飛ばす。そんな楽しみ方ができるのも、霊泉寺温泉を調べる面白さだと思いました。
丸子温泉郷3湯めぐりで見えた、それぞれのお湯の個性
霊泉寺温泉とあわせて、同じ丸子温泉郷の鹿教湯温泉と大塩温泉にも立ち寄りました。どちらも無色透明のお湯で、肌当たりにもどこか似た印象があります。それでいて、湯温や湯上がりの感触はそれぞれ違う。近くに集まる3つの温泉には、どんな共通点と違いがあるのか気になりました。
項目8でこの地域の地質について調べていたこともあり、「近い場所に湧くお湯なら、成分にも何か似たところがあるのかもしれない」と考えました。ただ、同じ地下水系や湯脈なのかまでは分からないので、ここでは現地で確認した分析書の数字を比べてみます。
鹿教湯温泉で確認した混合泉は単純温泉で、pH8.19、泉温47.1℃、溶存物質は542.2mg/kgでした。複数の源泉を混ぜたお湯ですが、成分表を見るとナトリウムやカルシウム、硫酸イオンが目につきます。現在の環境省「丸子温泉郷国民保養温泉地計画」でも、鹿教湯では複数の源泉を集湯して利用していることが確認できます。
一方、霊泉寺温泉の共同浴場は44.5℃、溶存物質991.4mg/kgのアルカリ性単純温泉。そして大塩温泉館で確認した大塩5号は36.3℃、溶存物質1,070mg/kgのカルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉でした。私が大塩に入ったときには、ぬるめのお湯に細かな泡付きも感じました。
こうして並べてみると、鹿教湯は約542mg、霊泉寺は約991mg、大塩は約1,070mg。3湯とも硫酸イオンが目につく一方で、成分量やカルシウムとナトリウムの割合、そして源泉温度はそれぞれ違います。環境省も丸子温泉郷を鹿教湯・大塩・霊泉寺の3温泉地の総称として位置づけ、それぞれ異なる泉質を持つ温泉地として紹介しています。
もともとは「同じ系統のお湯なのかな」と想像していましたが、分析書を並べてみると、むしろ近い場所にありながら、それぞれ違う個性を持っていることのほうが面白く感じられました。温度や成分を見比べながら3湯を巡ってみる。そんな楽しみ方ができるのも、丸子温泉郷の魅力だと思いました。
| 温泉地名 源泉名 | 鹿教湯温泉 鹿教湯温泉混合泉(2・3・5・4・5・6号) | 霊泉寺温泉 霊泉寺温泉 | 大塩温泉 大塩5号 |
|---|---|---|---|
| 泉質 | 単純温泉 | アルカリ性単純温泉 | カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 |
| 源泉温度 | 47.1℃ | 44.5℃ | 36.3℃ |
| pH | 8.19 | 8.83(現地8.9) | 7.9 |
| 溶存物質(ガス性除く) | 542.2mg/kg | 991.4mg/kg | 1,070mg/kg |
| 蒸発残留物 | 550mg/kg | 1,030mg/kg | ― |
| ナトリウムイオン | 86.4mg/kg | 72.2mg/kg | 132.3mg/kg |
| カルシウムイオン | 69.8mg/kg | 218.5mg/kg | 184.0mg/kg |
| 硫酸イオン | 251.6mg/kg | 612.1mg/kg | 582.9mg/kg |
| 塩化物イオン | 53.7mg/kg | 38.2mg/kg | 93.3mg/kg |
| 炭酸水素イオン | 33.0mg/kg | 5.9mg/kg | 27.0mg/kg |
| メタケイ酸 | 41.5mg/kg | 37.2mg/kg | 41.2mg/kg |
| 湯の特徴を数字で見ると | 成分量は3湯で最も少なく、源泉温度は高め | 1,000mg/kg直前。Ca・SO₄が非常に目立つ | 1,000mg/kgを超え、硫酸塩泉として分類 |
旧称「内村温泉郷」と国民保養温泉地、文豪が愛した静けさ
霊泉寺温泉を紹介する資料を読んでいると、たびたび「国民保養温泉地」という言葉が出てきます。現在はわずか4軒の旅館と共同浴場がある静かな温泉地ですが、鹿教湯温泉、大塩温泉とともに国の指定を受けています。どのような温泉地が選ばれるのか、改めて調べてみました。
環境省の国民保養温泉地の解説によると、国民保養温泉地は温泉法に基づき、温泉の公共的利用を進めるために環境大臣が指定するものです。制度は1954年に始まり、現在の選定基準では、利用源泉が療養泉であることや湧出量が豊富であることに加え、自然環境、まちなみ、歴史、風土、文化などの面から保養地に適していることも条件に挙げられています。
霊泉寺温泉を含む丸子温泉郷は、1956年6月15日に国民保養温泉地の指定を受けました。当時の名称は「内村温泉郷」で、現在の鹿教湯温泉・大塩温泉・霊泉寺温泉の3湯をまとめた呼び名でした。環境省の「丸子温泉郷国民保養温泉地計画」にも、この地域が古くから湯治・保養地として親しまれてきたことが記されています。
現在の霊泉寺温泉を見ると、その「保養地」という言葉がなんとなく腑に落ちます。温泉街には大きな歓楽施設が並ぶわけではなく、谷あいに旅館と共同浴場が静かに集まっています。上田市の歴史的風致に関する資料でも、霊泉寺温泉は自然に包まれた落ち着きある保養温泉地として紹介されています。
そして、この静かな温泉地を好んだ人物として知られるのが文豪・武者小路実篤です。上田市の資料には、実篤が霊泉寺温泉に逗留し、こよなく愛したと記されています。現在の中屋旅館さんには、実篤が名付けたという「笹舟の湯」も残っています。
国民保養温泉地として評価されてきた環境と、実篤が惹かれた霊泉寺の静けさが、まったく同じ理由だったのかはわかりません。それでも、山あいの小さな温泉街を歩いていると、ここが長く「湯に浸かって静かに過ごす場所」であり続けてきたことに、少し納得できる気がしました。



湯に浸かり、数字を眺め、足元に眠る大地の記憶へ思いを馳せる。
次の休みは、霊泉寺温泉で「一杯の湯の向こう側」を探す旅に出かけませんか?
- 温泉分析書に潜む境界線
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霊泉寺温泉は、温泉分析書の数字を眺めること自体が面白い湯。今回確認した分析では溶存物質総量0.9914g/kgと、泉質分類の境界付近に位置します。「あと少し」という数字から成分構成へ興味が広がります。
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温泉マニアあるある! – 霊泉寺温泉考察編



マニアの人はこうなっちゃう…かも!?
- 「991.4」を見た瞬間、動きが止まる
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共同浴場の分析書を眺めていたマニアが、突然「……991.4」とつぶやきます。友達が「何の暗号?」と聞くと、「溶存物質! あと8.6mg/kgで1,000なんだよ!」と興奮気味。アルカリ性単純温泉に浸かりながら、頭の中では塩類泉との境界線を行ったり来たりしています。
- 単純温泉なのに成分表を二度見する
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「アルカリ性単純温泉ね」と軽い気持ちで分析書を開いたはずが、カルシウム77%、硫酸イオン90%付近という数字を見つけて表情が一変。「待って、これ石膏型じゃん!」と急に前のめりになります。泉質名だけでは帰らせてくれないところに、霊泉寺温泉の面白さを感じてしまいます。
- 石けんの泡立ちまで観察対象になる
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洗い場で石けんを使ったマニア。「……やっぱり泡立ち控えめだな」と、なぜか嬉しそうです。「霊泉寺 効かぬはシャボンばかりなり」という昔からの言葉を思い出し、分析書のカルシウム量まで脳内召喚。普通なら体を洗う時間まで、立派な温泉観察タイムになります。
- オーバーフローを見ると湯船より先に縁を見る
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湯口から勢いよく注がれるお湯と、浴槽の縁から絶えず流れ出すお湯を見つけると、マニアの視線は完全にロックオン。「おお……流れてる流れてる」と満足そうに眺めます。友達が先に湯船へ向かっても、まだ縁を観察中。入浴前からすでに楽しそうです。
- 99.3L/分を見てドヤ顔する
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分析書の「99.3L/分(掘削による動力揚湯)」を発見すると、「なるほどね」と突然のドヤ顔。友達に「何がなるほどなの?」と聞かれても、「さっきのオーバーフローを見ればね……」と意味深にうなずきます。実際には分析書を読んだだけなのに、源泉管理まで理解したような顔をしています。
- 熱い湯とぬる湯、両方入りたくなる
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共同浴場ではほどよい熱さを楽しみ、宿のぬるめのお湯を知ると「そっちも確認したい」と言い始めます。44℃台と38℃台という源泉温度まで頭に入れ、「同じ温泉地で温度違いを楽しめるの、いいよねぇ」とニヤリ。温度まで湯めぐりの理由にしてしまいます。
- グリーンタフを見つけると温泉から脱線する
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お湯の成分を調べていただけなのに、いつの間にか内村層やグリーンタフの資料を読み始めます。友達が「温泉の話じゃなかった?」と聞いても、「いや、足元の地質も大事なんだよ」と真剣そのもの。無色透明のお湯から太古の海底火山へ飛べるのが、マニアの想像力です。
- 鹿教湯・霊泉寺・大塩を数字で並べる
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丸子温泉郷を巡ったマニアは、思い出を語る前に分析書を並べ始めます。「鹿教湯542.2、霊泉寺991.4、大塩1,070……美しい」とうっとり。友達には何が美しいのかまったく分かりませんが、ついには比較表まで作成。湯めぐりがいつの間にかデータ比較になっています。
- 寺湯の歴史を知ると共同浴場がさらに尊く見える
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霊泉寺のそばに湧いたという開湯伝説や、寺湯をルーツとする共同浴場の歴史を知ったマニア。もう一度浴槽を見るなり、「この場所でずっと湯が受け継がれてきたんだなぁ……」としみじみします。数字ばかり見ていたかと思えば、最後は歴史ロマンにも弱いのです。
- 「信玄」の二文字だけは絶対に見逃さない
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霊泉寺温泉の公式サイトを読み、歴史にも詳しくなっていくマニア。「霊泉寺は武田信玄の助力で復興したと伝えられているんだよ」と、以前から知っていたかのような口調で得意げに語ります。友達が「さっき調べたばかりだろ」と突っ込んでも、もう本人は完全に戦国モード。それを見たまわりからは、”湯めぐり風林火山“とあだ名されてしまうのです。



管理人いじりですね…
そう呼ばれるのも悪くない!









