多宝山の麓にひっそりと佇み、江戸の昔から「新潟の奥座敷」として親しまれてきた岩室温泉。
黒みがかった湯から立ち上る硫黄の香りに包まれれば、日々の忙しさは自然と遠のいていきます。
極上の湯に癒やされ、日本海の恵みを味わい、歴史ある街並みに心を委ねる大人の休日。
海と山と名湯が織りなす、おだやかな寛ぎの時間がここには流れています。
- 黒湯の秘密|塩分と硫黄の泉質
含硫黄の塩化物泉が生み出す、湯口の黒い析出物と肌ざわりの個性。 - 日帰り施設から湯めぐりまで
複数の浴場を巡って、施設ごとに異なるお湯の表情と個性を比べる楽しさ。 - 港町の恵みと新潟地酒
冬の日本海が育む新鮮な魚介と、コシヒカリ、越後の地酒の食べ比べ。 - 越後一宮への参拝と周辺観光
弥彦神社、弥彦山ロープウェイ、温泉を拠点にした観光地のアクセス情報。 - 江戸から続く温泉街の歴史
芸妓文化と木造の老舗宿が残る、岩室温泉ならではの情緒と背景。
岩室温泉ってどんなところ? | 4コマ漫画で体験してみる
ゆめにゃん猫は入れないからフィクションにゃ…


岩室温泉 体験記
12月中旬、雪の心配をしながらスタッドレスタイヤの車を走らせ、新潟の岩室温泉を目指しました。
越後平野の西端、弥彦山の麓に佇む街並みに足を踏み入れ、鼻をくすぐるほんのりとした硫黄の香りをたどります。
湯口から注がれる濃厚な湯と、日本海に近い新潟ならではの海鮮料理に浸る冬の旅です。
いつ積雪があってもおかしくない冬空の下、無事にたどり着いた岩室の街。脱衣所で温泉分析書を眺めつつ、足先からじっくりと浸かる湯船にはほんのりと硫黄の香りが漂い、見た目や湯ざわりからも岩室らしい個性が伝わってきました。
- 湯口に固着した黒い析出物
脱衣所で温泉分析書を確かめると、含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉の文字が目に飛び込んできます。大浴場のドアを開けた瞬間、かすかなたまご臭とともに視線をとらえたのは湯口でした。ゴツゴツとした岩の表面に黒い層のような析出物が付着しており、近くから眺めると、表面にはざらりとした硬そうな凹凸が広がっていました。 - 黒みを帯びた独特の湯色
湯船の縁に腰を下ろし、ゆっくりと足を沈めました。澄んだ透明に見えたお湯は、光の差し込み具合でほのかに黒みを帯びた深緑色へと表情を変えます。浴槽の底に沈めた自分のつま先がうっすらと霞んで見え、湯面にゆらゆらと白い湯の花が漂う光景をじっと見つめてしまいました。 - 肌を包み込む塩分と滑らかな湯ざわり
手ですくい上げた湯を鼻先に近づけると、やさしい硫黄の香気とともにほのかな塩気が漂います。肌をなでると、まとわりつくような軽い粘り気が指先を滑っていきました。湯から上がったあとも、肌の表面を薄い膜が包んでいるような感覚があり、足元にはしばらく温かさが残っているように感じました。 - 静かな湯面と縁を伝うオーバーフロー
湯口から静かに注がれる湯は、静寂な大浴場の中にとくとくと水音を響かせています。浴槽のふちからは温かいお湯がゆっくりと溢れ出し、床のタイルの上を静かに伝っていきました。その揺らめく波紋を眺めながら、時間を忘れて湯に身をゆだねます。
宝永年間に開かれたと伝わる岩室温泉の歴史に触れつつ、車を置いて静かな温泉街を歩きました。軒先から立ち上る湯けむりや伝統の三味線の音が、弥彦参りの旅人を迎えた時代の賑わいを今に伝えてくれます。
- 歴史を物語る白雁の伝説
足湯の傍らにある案内板に目をやると、一羽の白雁が湯浴みをして傷を癒したと伝わる、開湯伝説が記されていました。江戸時代から続く湧出の歴史に思いを巡らせながら、湯口から注がれる温かい湯にそっと手をかざします。数百年の時を超えて今なお湧き出る湯の温もりが、手のひらからじわじわと伝わってきました。 - 木造建築が並ぶ落ち着いた温泉街
くもり空の下、アウターのポケットに手を突っ込みながら温泉街の通りを散策しました。大きな歓楽街のような喧騒はなく、格式ある木造の老舗旅館が静かに佇んでいます。ガラガラと引き戸を開ける音が聞こえ、暖簾の奥から立ち上る湯けむりが冬の冷たい空気に白く溶け込んでいきました。 - 夕暮れに聞こえる三味線の音色
岩室は越後芸妓発祥の地として知られています。夕暮れの温泉街を歩いていると、かつて三味線や下駄の音が響いた時代の情景が浮かんできました。 - いわむろやの足湯でひと休み
散策の途中で観光施設「いわむろや」に立ち寄りました。屋外に設置された足湯に裸足を浸すと、じんわりとした熱さが足裏から伝わってきます。のぼせた顔に冬の冷気が心地よく当たり、地元で採れた新鮮な野菜や手作りの工芸品が並ぶ館内をのんびりと覗いて回りました。
海にほど近い岩室温泉だからこそ味わえる、冬の海の幸と新潟の米から生まれる地酒。宿の個室や宴会場で運ばれてくる出来立ての料理を、香りや食感にも意識を向けながら、冬の味覚をじっくりと味わいます。
- 脂がのったのどぐろの塩焼き
夕食の膳に運ばれてきたのは、じっくりと網焼きにされた大きなノドグロでした。箸を差し入れると皮目がパリッと音を立て、中から溢れ出す透明な脂が身を包みます。口に運べばふっくらとした身が解け、濃密な魚の旨みと粗塩の塩気が一気に口いっぱいに広まりました。 - 透き通る南蛮えびの甘み
鮮やかな朱色をした南蛮えびの刺身をお醤油に少しだけ浸します。口に含んだ瞬間にねっとりとした歯ごたえがあり、噛みしめるほどに強い甘みが舌の上に残りました。透明感のあるプリッとした身は、日本海に近い新潟らしさを感じる、みずみずしい味わいでした。 - 澄んだ地酒と炊きたてコシヒカリの味
冷えたグラスに注がれた新潟の地酒を一口含むと、鼻から抜ける爽快な香気とキリッとした辛口の味わいが喉を通り抜けます。締めに出てきた炊きたてのコシヒカリは、つややかに光り輝いており、一粒一粒を噛みしめるたびに米本来の濃厚な甘みが口内にあふれました。 - 寺泊の市場通りで楽しむ浜焼き
宿をあとにし、車で20分ほどの寺泊魚の市場通りへ向かいました。通り沿いにはイカやホタテを串に刺して炭火で炙る煙が充満しています。香ばしい醤油の香りに誘われて串焼きを頬張ると、熱々の汁と香ばしさが冷えた体にじわっと染み渡っていきました。
温泉街から車を少し走らせれば、越後一の宮の荘厳な境内や日本海を望む絶景が広がります。冬の凛とした空気の中で見る景色は、旅の記憶に強く刻み込まれました。
- 巨木に囲まれた彌彦神社の参道
彌彦神社の鳥居をくぐりました。背の高い杉や古木が立ち並ぶ参道は静寂に包まれており、砂利を踏みしめる自分の足音だけが響きます。冷たく澄み切った空気を胸いっぱいに吸い込みながら拝殿へ向かい、静かに手を合わせました。 - ロープウェイから見下ろす越後平野
弥彦山ロープウェイに乗り込み、山頂を目指して一気に高度を上げていきます。窓の外には広大な越後平野の田園風景と、鉛色に輝く日本海の大パノラマが一面に広がりました。雲の切れ間から差し込む光が海面を照らし、波が寄せる海岸線が遠くまで見渡せます。 - 山頂の奥の宮へと続く静かな参道
ロープウェイを降り、山頂に鎮座する御神廟を目指して歩を進めました。足元に気を配りながら階段を登り切ると、霧に包まれた社殿がひっそりと佇んでいます。冷たい風が吹き抜ける中、眼下に広がる広大な風景を見下ろし、厳かな面持ちで静たたずみました。 - ・門前町で味わう名物の温かい玉こんにゃく
参拝を終えて鳥居の近くまで戻り、門前町の売店に立ち寄りました。湯気が立ち上るアツアツの玉こんにゃくを串ごと頬張ると、出汁の旨みと辛子の刺激が冷えた体にじわっと広がりました。
同じ岩室温泉の中にありながら、施設や浴槽の作りによってお湯のニュアンスは様々です。立ち寄り温浴施設や宿をめぐり、それぞれの湯船が持つ固有の個性を比べ歩きました。
- 遊雁の湯よりなれで味わう寛ぎ
地域で親しまれる温浴施設「遊雁の湯 よりなれ」へ足を踏み入れました。山あいの景色が広がる開放的な浴場で、やさしく漂う硫黄の香りに包まれます。外気に触れながら適温に保たれたお湯を手にすくい、肌にじんわりと染み渡る温もりを確かめました。 - 浴槽ごとに違って見える黒湯の表情
老舗旅館の立ち寄り入浴を利用し、大浴場の暖簾をくぐりました。こちらの湯は析出物の黒さが目立ち、湯口周辺の岩肌がまるで墨を塗ったかのように黒光りしています。指先で湯をかき混ぜると波紋が広がり、場所によって異なる湯色の濃淡を目で確認しました。 - 静かな空間で確かめる湯の花の舞い
湯船の隅に腰を下ろし、湯面に揺れる白い湯の花を静かに観察しました。微かな湯の香気を鼻先で引きつけながら、手のひらでゆっくりと湯をすくいます。派手な泡立ちや勢いではなく、肌の上を滑る、岩室の湯ならではの穏やかな質感を指先で味わいました。 - ドライブの合間に立ち寄る無料の足湯
旅の終わりに、観光施設「いわむろや」の足湯へ再び足を運びました。靴下を脱ぎ、しっかりと温かいお湯に足を浸します。車の運転で固くなった足首をゆっくりと動かすと、じんわりと温もりが戻り、そのまま車へ乗り込んで帰路につく準備を整えました。



濃厚な湯に浸かり、新鮮な海の幸を味わい、歴史ある街並みを巡る。
次の休みは、岩室温泉で「越後奥座敷の深い温もり」を確かめる旅に出かけませんか?
岩室温泉 – アクセスと基本情報
| 温泉地名 | 岩室温泉 |
|---|---|
| 所在地 | 新潟県新潟市西蒲区 |
| 入浴施設 | 複数あり |
| 主な泉質 | 含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉(高張性・弱アルカリ性・高温泉) など pH:7.7-8.3前後 |
| お湯の特徴 | 塩化物泉らしいしっかりとした存在感がありながら、ほんのりと硫黄の香りも感じられる個性的なお湯です。 施設によっては黒い析出物が湯口や浴槽に見られ、湯色や湯ざわりにも違いがあります。 同じ岩室温泉でも湯の個性を比べながら巡る楽しさがあり、温泉好きほど印象に残る温泉地だと感じました。 |
| 香り | 浴場へ入ると、硫黄の香りが強く主張するというより、ほんのりとやさしく漂ってくる印象でした。 塩化物泉らしい落ち着いた湯の雰囲気に、わずかなたまごのような香りが重なり、思わず深呼吸したくなる心地よさがあります。 施設や源泉によって香りの強さが異なる点も興味深く感じました。 |
| 雰囲気 | 弥彦山の麓に広がる岩室温泉は、老舗旅館が静かに並ぶ落ち着いた温泉街です。 華やかな歓楽街というよりも、歴史ある街並みをゆっくり歩きながら過ごすのが似合う雰囲気でした。 越後芸妓の文化や開湯伝説が今も受け継がれ、冬には澄んだ空気と湯けむりが風情ある景色を演出してくれます。 |
| 楽しみ方 | 宿ごとの湯ざわりや湯色、湯口の析出物を見比べながら湯めぐりを楽しむのがおすすめです。 温泉街の散策や「いわむろや」の足湯、彌彦神社や寺泊へのドライブを組み合わせれば、新潟らしい景色や海の幸も満喫できます。 温泉・食・観光をゆったり味わえる旅にぴったりの温泉地です。 |
| ※源泉や施設によって記載と異なる場合があります。コンディションによって印象は変わる場合があります。 ※掲載している情報は訪問時のものです。最新の情報は公式サイト等で確認をお願いいたします。 | |
- 黒湯が映える独特の湯色
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岩室温泉を象徴するのが、微量の鉄分等を含んだ独特な黒湯です。季節や天候によって透明から淡い深緑、黒みへと色合いが繊細に変化します。湯面に浮かぶ湯の花や湯口の黒い付着物など、視覚的にも源泉の個性を深く感じられる魅力があります。
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マニアの人はこうなっちゃう…かも!?
- 黒い析出物を真っ先に探す
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普通の人は脱衣所から浴場へ入ると湯船へ一直線。でも岩室温泉マニアは、まず湯口へ向かいます。「今日は黒い析出物が育ってるな」「この層の厚み、いい感じだ」と観察を開始。友達が「まだ湯船にも入ってないよ?」と驚いても、「まずは現地調査が先!」と真剣な表情です。岩室では入浴前からフィールドワークが始まっています。
- 温泉分析書で「含硫黄」を探してニヤける
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分析書を見つけると、泉質名を最後まで丁寧に読み込みます。「含硫黄―ナトリウム・カルシウム―塩化物泉…よし!」と満足げにうなずき、友達は「難しい漢字ばかり見て楽しいの?」と苦笑い。それでもマニアにとって分析書は、旅のパンフレット以上にワクワクする読み物なのです。
- 「黒湯なのに透明だ」と説明を始める
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岩室温泉の「黒湯」と聞いて真っ黒なお湯を想像する人もいます。しかしマニアは「いや、黒いのは析出物だったり、光の当たり方で見え方が変わったりするんだよ」と解説モードへ。友達が「まだ入ってないのに授業始まった…」と笑っても、湯色の奥深さを語り始めると止まりません。
- 湯口の音をBGMにする
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勢いよく噴き出す源泉ではなく、静かに流れる湯口の音に耳を澄ませます。「この”とくとく”って音、落ち着くよね」と満足そう。友達が「何も聞こえないけど?」と言っても、「いや、この静けさ込みで岩室なんだよ」とうれしそうに目を閉じます。耳でも温泉を楽しむのが岩室流です。
- オーバーフローの流れを最後まで見届ける
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浴槽から静かにあふれたお湯が、床をゆっくり流れていく様子をじっと眺めます。「この流れ方、きれいだなぁ」と満足そうですが、友達は「何見てるの?」と不思議そう。マニアにとってオーバーフローは、お湯の表情を映す大切な観察ポイントなのです。
- 「今日は硫黄がやさしい日だね」と語り出す
-
浴場へ入ると、まず鼻で香りを確認。「今日はほんのりタイプだね」「昨日より香りが軽いかも」と評論家のようにコメントします。友達が「そんな違い分かるの?」と驚くと、「香りも一期一会だからね」としみじみ。鼻先まで温泉モードへ切り替わっています。
- 宿ごとの湯ざわり比較が止まらない
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一軒目を出るなり、「こっちは少しさらっとしてた」「次はもっと塩の存在感があるかも」と次の湯を想像します。友達が「全部同じ温泉じゃないの?」と言っても、「同じ岩室でも違うんだよ」と即答。宿ごとの個性を比べる時間こそ、マニアにとって最高の贅沢です。
- 温泉街の静けさまで評価対象
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「賑やかで楽しいね」では終わりません。「この静けさがいい」「車の音より湯けむりが似合う街だ」と温泉街そのものを味わいます。友達が「何を評価してるの?」と笑っても、「この空気感も温泉の一部だから」と真顔。街並みまで含めて岩室温泉なのです。
- 彌彦神社とセットで予定を組む
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岩室温泉へ行くと決まった瞬間、「彌彦神社も寄ろう」「寺泊も行けるな」と旅程がどんどん広がります。友達が「温泉だけじゃ終わらないんだね」と驚くと、「岩室は周辺も含めて完成形だから」と即答。温泉を中心に、一日がきれいにつながっていきます。
- 気づけば「黒湯リサーチャー」と呼ばれます
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旅行先で温泉を見るたび、「この黒い析出物は岩室っぽいね」「湯口の育ち方が違うな」と比較を始めます。友達から「また黒いところ見てる!」と笑われても、「黒さにも個性があるんだよ」と楽しそう。気づけば周囲から”黒湯リサーチャー”と呼ばれるようになります。



管理人いじりですね…
そう呼ばれるのも悪くない!








