標高700メートルの山頂に位置し、正面に富士山、眼下に甲府盆地を見下ろす露天風呂があります。
日の出の1時間前から開門し、夜明け前の街明かりから朝焼け、そして太陽がのぼる瞬間までを湯船の中で見届けることができます。
敷地内には源泉の異なる二つの浴場があり、開放的な空間で豊かな湯に身をゆだねる時間が広がっています。
ほったらかし温泉ってどんなところ? | 4コマ漫画で体験してみる
ゆめにゃん猫は入れないからフィクションにゃ…


ほったらかし温泉 体験記
4月中旬の土曜日、まだ静まり返る国道を走り、山梨のほったらかし温泉へ車を走らせました。
目的地は、夜明け前の暗闇から澄み切った朝の空へと移り変わる瞬間の露天風呂です。
脱衣所の温泉分析書を眺め、湯口から注ぐお湯の感触を手で確かめながら、この場所ならではの湯浴みを五感で受け止めてきた記録です。
日の出1時間前に開門すると聞いて、まだ暗い国道を走り山頂へ向かいました。車を降りると4月の冷たい山風が通り抜け、身が引き締まります。脱衣所の壁に貼られた分析書を横目に見つつ、湯気が立ち上る扉を開けると、そこには夜景から朝焼けへと刻一刻と表情を変える甲府盆地の大パノラマと、富士山の影が静かに広がっていました。
- 富士山と甲府盆地を捉える視界
正面に富士山、眼下に甲府盆地という配置は、この立地ならではの面白さです。湯船の縁に顎を乗せて眺めると、遮るものの少ない視界がそのまま自分の目の前全体へと溶け込んでいくような感覚を覚えます。 - 日の出1時間前オープン
まだ街全体が眠っている早朝から扉を開けるという営業スタイルをとっています。夜の静寂から少しずつ空が白んでいく変化を湯船の中でじっくり追う時間は、早起きをした際に巡り合える密やかな場面です。 - 夜景から朝焼けへ移ろう空の色彩
暗闇に輝く甲府盆地の街明かりが、東の空の深みのあるオレンジ色に押されるように姿を変えていきます。光の当たり具合で湯面の反射も移り変わり、ほんの数十分の間で幾通りもの表情を見せてくれます。 - 風情の異なるふたつの湯
元祖である木造の「こっちの湯」と、広大な岩風呂がある「あっちの湯」という二つの世界が並んでいます。正面に富士を仰ぐ素朴な佇まいか、視界が開けた広々とした空間か、その日の気分で湯を選ぶ愉しみが用意されています。
別の温泉地への移動を控えていたため、今回は広大な「あっちの湯」のみ利用しました。湯口から注ぐお湯は、かすかに淡い黄褐色を帯びたように見えました。手ですくうと角のない素朴な香りが漂います。pH10.1の数値通り、腕をさすると指先から滑り落ちるような感触があり、オーバーフローする湯の音を聞きながら、早朝のためかややぬるめに感じた湯に身体を沈めました。
- アルカリ性単純温泉のやわらかな表情
成分総量が控えめなアルカリ性単純温泉であり、角の少ない素朴な肌触りが特徴として挙げられます。お湯の主張が強すぎない穏やかな質感で、お湯の感触や景色と向き合うことができました。 - pH10前後の数値が示すお湯の性質
あっちの湯の分析書にはpH10.1という高いアルカリ度の数値が記されており、指先で触れると滑らかな手応えを確かめられます。アルカリ性特有のすべるような湯ざわりで、湯船の中で肌をさすると滑らかな手応えが伝わってきました。 - 広い岩風呂を満たす温かな湯のゆらぎ
あっちの湯の大きな浴槽にはたっぷりとお湯が満ちており、ゆったりと湯が巡っています。澄んだ湯面に周囲の風景が映り込み、暗い中でもゆらゆらと揺れる光の反射をじっと見つめる時間が流れました。 - 温度の異なる浴槽を行き来できる配置
温度が異なる湯船が並び、自身のペースに合わせて湯を行き来できる造りになっています。それぞれの温度を確かめながら、心地よい湯加減の場所を見つける愉しみがあります。
湯船の中に立つと、視界を遮る壁や屋根が一切なく、山頂の風と湯気が直接肌に触れ合います。上半身を外気に晒せば4月の冷気で皮膚が引き締まり、再び湯の中に身を沈めればじんわりと温もりが戻ってくるのを感じます。天井のない空を見上げながら、風の音と湯が流れる音だけに耳を傾ける時間が流れていました。
- 囲いを抑えた開放的な造り
標高約700メートルの山頂付近という立地もあり、人工の遮蔽物を極力抑えた構造になっています。湯船に身を置くと空と山並みがそのまま視界に飛び込んできて、山頂の空気感をダイレクトに味わいました。 - 山頂を吹き抜ける涼やかな風
高台特有の涼やかな山風が露天風呂の湯面を撫でていきます。温かなお湯に身体をあずけつつ胸いっぱいに山の冷気を吸い込むことで、高台ならではの清々しい空気感を全身で受け止めました。 - ゆったりとした開放感のある湯船
あっちの湯は広大な岩風呂の造りになっており、湯船のどこに位置を取るかで景色や雰囲気が変わります。時間帯によっては混み合いますが、広さのおかげで目の前に広がる大パノラマを満喫しやすい設計です。今回はそれほど混雑しておらず、自分のペースで目の前の景色とお湯の感触に集中しました。 - 四季のうつろいを映す山の色彩
春の果樹園の桃色、夏の深い緑、秋の紅葉、冬の白い冠雪と、時期によって見せる表情が変化します。季節ごとの空気の冷たさや光の角度の違いにより、再訪するたびに新しい発見をもたらしてくれるロケーションです。
湯上がりに木造の売店へ向かうと、名物の温玉あげは10時からの販売のため、今回は時計を見て断念しました。自販機で冷たいお茶を買い、木製ベンチに腰を下ろして喉を潤しました。湯上がり肌に春の山風が吹き抜け、心地よいぬくもりを身体に残しながら駐車場へと向かいました。
- 風を感じられる屋外の休憩スペース
敷地内には木製のベンチや風情ある休憩スペースが点在しており、身体に残る湯の余韻を感じながら、涼やかな山風を受けてゆったり過ごせます。水分補給をしながら、目の前の富士山や街並みを眺めました。 - 湯上がりの名物「温玉あげ」
サクサクとした衣の中に半熟の黄身が収まった、ほったらかし温泉の定番とも言えるB級グルメです。程よい塩加減が湯上がりの身体に心地よく、小腹を満たす手軽な名物として多くの来場者に親しまれている一品です。 - 朝風呂のあとに味わう朝食
日の出の時刻に合わせて営業を始める食事処があり、朝風呂を終えたあとに温かいご飯や味噌汁、卵かけご飯といったシンプルな朝定食をいただけます。早朝の清々しい空気の中でとる食事は、旅の行程をより味わい深くしてくれます。 - 周辺に広がる食文化と直売所
温泉の周辺や山を降りたルート沿いには、山梨の郷土料理であるほうとうの店舗や、季節の果物を扱う直売所が点在しています。温泉での湯浴みと合わせて、その土地ならではの食文化に触れられる立地の良さも魅力です。
4月中旬の訪問では、麓の甲府盆地に淡いピンク色の果樹園が点在しているのが目に入り、春特有の柔らかい色彩を湯船から観察できました。晴天に恵まれたこの日は、遠くの山肌までくっきりと見渡せるほど空気が澄んでおり、新緑や紅葉、雪の季節の表情に思いを巡らせながら、次の目的地へ向かいました。
- 春の盆地を彩る淡いピンク色
4月上旬から中旬にかけて、麓の甲府盆地には桃の花が咲き揃います。露天風呂から春らしい柔らかい色彩を見下ろしながら、うららかな空気の中で湯浴みを楽しめる時期です。 - 夏の涼やかな早朝と夜の星空
夏場は冷涼な早朝の風が心地よく、朝日を浴びながらの入浴に趣があります。また夜間には甲府盆地の夜景の上に星空が広がり、湯上がりの肌に心地よい夜風を受けながら、広大なパノラマをじっくりと眺める過ごし方が可能です。 - 秋の紅葉と山々のシルエット
空気が澄み始める秋は周囲の山々が色づき、冠雪を始めた富士山とのコントラストを形成します。朝晩の冷え込みが強まることで、日の出前の空のグラデーションもより際立ち、色彩豊かな景色を湯船から望めます。 - 冬の雪化粧と凛とした空気感
一年の中で特に空気が澄み渡る冬は、真っ白な雪を戴いた富士山が輪郭をくっきりと現します。キリリとした冬の冷気と、温かなお湯のぬくもりとの対比を味わう、冬期ならではの静かな湯浴みが用意されています。



湯に浸かり、富士を仰ぎ、朝焼けの光を全身に浴びる。
次の休みは、ほったらかし温泉で「天空の開放感」を確かめる旅に出かけませんか?
ほったらかし温泉 – アクセスと基本情報
| 温泉地名 | ほったらかし温泉 |
|---|---|
| 所在地 | 山梨県山梨市矢坪1669−18 |
| 入浴施設 | ほったらかし温泉 |
| 主な泉質 | アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性温泉) pH:あっちの湯10.1、こっちの湯9.68(公式サイトより) |
| お湯の特徴 | アルカリ性単純温泉で、肌をなでるようななめらかな湯ざわりが魅力です。 泉質そのものの個性はもちろん、絶景とともに楽しめる心地よい湯です。 |
| 香り | 香りはほとんどなく、クセの少ない無臭に近いお湯です。 温泉初心者でも親しみやすく、景色や開放感をじっくり楽しめます。 |
| 雰囲気 | 標高約700mの高台に位置し、露天風呂からは甲府盆地と雄大な富士山を一望できます。 夜景、朝焼け、ご来光へと移り変わる景色は圧巻で、空と山々に包まれるような開放感は全国でも屈指。 時間帯や季節によってまったく異なる表情を見せるのも魅力です。 |
| 楽しみ方 | おすすめは、日の出前に訪れて夜景からご来光までの絶景を露天風呂で満喫すること。 湯上がりには名物「温玉あげ」を味わい、周辺のフルーツ公園やワイナリー、ほうとうなど山梨グルメと組み合わせれば、一日を通して充実した旅を楽しめます。 泉質だけでなく、景色や食も含めて満喫したい温泉です。 |
| ※源泉や施設によって記載と異なる場合があります。コンディションによって印象は変わる場合があります。 ※掲載している情報は訪問時のものです。最新の情報は公式サイト等で確認をお願いいたします。 | |
- 富士山を一望する絶景露天風呂
-
標高約700メートルの高台から、富士山と甲府盆地の大パノラマを見渡せる絶景スポットです。開放感抜群の露天風呂からは、時間帯によって色合いを変える山並みや街並みを一望でき、山梨観光の代表的な見どころとして知られています。
あわせて読みたい
富士河口湖温泉郷レビュー| 富士山と湖を望む絶景&泉質魅力を徹底紹介(山梨県富士河口湖町) 目の前に広がるのは、雄大な富士山と静美な河口湖が織りなす一枚の絵画のような絶景。澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込み、優しく柔らかな湯に身を委ねれば、日々の喧騒… - 日の出1時間前から始まる特別営業
-
オープン時間が「日の出の1時間前」に設定されている全国的にも珍しい温泉です。早朝から開門するため、夜明け前の街明かりから朝焼け、そして太陽が昇る瞬間までを湯船で楽しむことができ、早朝ドライブの目的地としても人気を集めています。
あわせて読みたい
氷見温泉郷レビュー|海越しにそびえる立山連峰と化石海水、富山湾の海の幸を味わう旅(富山県氷見市) 少し冷たい春風が残る3月中旬、能登半島の付け根に位置する氷見温泉郷を訪れました。湯船からは富山湾越しに立山連峰を望み、湯口からは化石海水を源とする塩化物泉が静… - あっちの湯とこっちの湯の違い
-
敷地内には元祖である「こっちの湯」と、新しく作られた「あっちの湯」のふたつが存在します。木造の素朴な風情や正面に富士山を仰ぐロケーション、広大な敷地などそれぞれに魅力があり、訪れる時間や好みで選べる楽しみが用意されています。
あわせて読みたい
伊香保温泉レビュー| 黄金・白銀を比較する、日帰り石段街散策(群馬県渋川市) 365段の石段を軸に、店先の賑わい、伊香保神社、そして性格の異なる二つのお湯が連なる伊香保温泉。茶褐色の黄金の湯と無色透明の白銀の湯を見比べれば、温泉地としての… - 名物温玉あげと湯上がりグルメ
-
敷地内の軽食スペースで味わえる「温玉あげ」は、サクサクの衣の中に半熟卵が入った看板グルメです。日の出時刻に合わせて営業する食事処の朝定食や、山梨ならではのフルーツ加工品など、温泉と一緒に味わいたいご当地食も充実しています。
あわせて読みたい
はやぶさ温泉レビュー|ドバドバと溢れる源泉とトロトロの湯ざわりを体感(山梨県山梨市) 地下1000メートルから毎分500リットルの源泉が湧き続けるはやぶさ温泉。脱衣所に向かう廊下で温泉分析書を眺めると、pH9.9の高アルカリ性が記されていました。浴槽に身… - アクセスと混雑を避けるコツ
-
山梨ICや勝沼ICからのアクセスが良好で、車でのドライブコースとしても親しまれています。週末や早朝の日の出時刻は多くの来場者で混み合うため、時間にゆとりを持って訪問するか、平日の時間帯を狙うことで落ち着いて利用できます。
あわせて読みたい
石和温泉の魅力|源泉を楽しみ、果物とワインの街をめぐる旅(山梨県笛吹市) 新宿から特急列車に揺られて約1時間半、甲府盆地の東側に広がる石和温泉。かつてぶどう畑から突如として湯が湧き出した物語を持つ、山梨を代表する温泉郷です。穏やかに…
温泉マニアあるある! – ほったらかし温泉編



マニアの人はこうなっちゃう…かも!?
- 日の出時刻を毎日チェックする
-
旅行の日程より先に調べるのは、その日のご来光時刻。「今日は5時02分か。じゃあ4時には着きたいね」と逆算を始めます。友達が「そんなに早く行く必要ある?」と聞くと、「朝日は待ってくれないから」と真顔で返答。気づけば天気予報よりも日の出アプリを見ている時間のほうが長くなっています。
- 夜景ではなく”夜明け前”が好き
-
普通なら夜景がきれいな時間に到着して満足しそうなものですが、マニアが一番好きなのは空が少しずつ明るくなり始めるわずかな時間。「この青色が最高なんだよ」と語り始めます。街の灯りと朝焼けが少しずつ入れ替わる景色を眺めながら、湯船で静かに待つ時間まで含めて、ほったらかし温泉の醍醐味だと考えています。
- 温泉分析書より先に富士山を見る
-
脱衣所に温泉分析書が掲示されていても、「あとでゆっくり見る」と素通り。そのまま露天風呂へ向かい、まず確認するのは富士山の姿です。友達が「いつもの分析書チェックは?」と聞くと、「今日は富士山のコンディションが先」と即答。分析書も大好きなのに、この温泉だけは景色が最優先になります。
- 「あっち」と「こっち」を本気で比較する
-
「あっちの湯とこっちの湯、どっちが好き?」と聞かれると、待ってましたと言わんばかりに語り始めます。景色、開放感、湯船の広さ、富士山の見え方まで細かく比較し、「今日はこっちかな」と満足そう。友達は「どっちも良かった」で終わりますが、マニアの比較会議はなかなか終わりません。
- 湯口よりも景色に見とれてしまう
-
普段は湯口やオーバーフローを観察するのが楽しみなのに、ここでは思わず景色へ視線が向かいます。「あ、あとで湯口も見よう」と思いながら、結局は夜景や富士山を眺める時間のほうが長め。温泉好きでさえ、景色の魅力に引き込まれてしまう特別な一湯です。
- ご来光の瞬間だけ浴場が静かになる
-
それまで談笑していた人たちも、日の出が近づくにつれて自然と声が小さくなります。そして太陽が顔を出した瞬間、「おぉ…」という小さな歓声だけが聞こえる、不思議な一体感。初対面同士でも、その瞬間だけは同じ景色を楽しむ仲間になっています。
- 温玉あげを旅の締めくくりにする
-
湯上がりに「今日は軽くでいいかな」と言っていても、お店の前を通ると「やっぱり温玉あげは外せない」と予定変更。サクッとした衣と半熟卵を味わいながら、「これで旅が完成するんだよね」と笑顔になります。温泉も名物グルメもセットで楽しむのが、ほったらかし流です。
- 四季それぞれの景色を制覇したくなる
-
一度訪れると、「次は紅葉かな」「冬の富士山も見たい」「春の桃の花も気になる」と次の計画が始まります。同じ温泉でも季節や時間帯でまったく違う表情を見せるため、一回では満足できません。気づけば一年を通して訪れたくなる温泉になっています。
- 「今日は何時に昇る?」が口ぐせになる
-
旅行の話になると、「何時に出発する?」ではなく、「日の出は何時?」から会話が始まります。友達が「温泉より朝日の予定が主役じゃん」と笑っても、「いや、両方セットだから」と即答。旅のスケジュールが、太陽を中心に組み立てられていきます。
- 気づけば”おしゃべりご来光”と呼ばれます
-
「夜景がね」「朝焼けがね」「富士山がね」「あっちの湯は…」「こっちの湯は…」「温玉あげもね」と思い出話は尽きることがありません。それでも本人は満面の笑みで「次は冬に行こうかな」と次の計画を立て始め、まわりからは”おしゃべりご来光”とあだ名されてしまうのです。



管理人いじりですね…
そう呼ばれるのも悪くない!









