姥子温泉をもっと深掘り!自然湧泉と雨がつなぐ地下水の旅(神奈川県箱根町)

湯め活びより姥子温泉考察編のアイキャッチ画像

箱根の山あいに佇む姥子温泉には、岩間や浴槽の足元から湧き出す自然湧泉が今も残されています。
源泉によって泉質やpHが異なり、さらに湧出量は雨とも深く関わっている――調べるほど、実に興味深い温泉地でした。
では、この湯はどこからやって来て、なぜこの場所から湧き出しているのでしょうか。
分析書や地質・地下水に関する資料を眺めながら、姥子の湯が生まれるまでの「大地の中の物語」を追ってみました。

姥子温泉で興味深かったこと
  • 岩間から湧き出す自然湧泉
    湯船の足元にも現れる自然湧泉は、どこから流れてくるのか気になりました。
  • 源泉ごとに異なる泉質とpH
    近い場所なのに泉質やpHに幅があることから、地下の違いに興味を持ちました。
  • 雨量によって変化する湧出量
    雨と自然湧泉の湧出量が連動するという記録を知り、その時間差に注目しました。
  • 約3000年前の山体崩壊との関係
    神山の大規模な崩壊で生まれた地形と、現在の湧泉とのつながりが気になりました。
  • 箱根火山の地下をめぐる水
    山に降った雨がどのように地下を移動し、温泉として現れるのかを追ってみました。
目次

姥子温泉ってどんなところ? | 4コマ漫画で体験してみる

ゆめにゃん

猫は入れないからフィクションにゃ…

姥子温泉の魅力を詰め込んだ4コマ漫画。源泉の個性や金太郎伝説、箱根観光を紹介。

姥子温泉レビューと注目ポイント考察

この記事は、筆者が実際に温泉を訪れた際に感じた「なぜ?」をきっかけに、温泉分析書や公開資料などを調べ、自分なりに考察した内容です。資料から確認できる事実と筆者個人の考察を分けて記載するよう努めていますが、専門家による学術的な見解や結論を示すものではありません。直接的な裏付けを確認できていない仮説や想像については、その旨を明記しています。一人の温泉好きが、分析書や資料を眺めながら考えた「温泉の自由研究」としてお楽しみください。

箱根カルデラは、巨大な集水装置なのか

姥子温泉の位置を地図で眺めていると、箱根カルデラの内側、神山の北西斜面にあります。周囲を山に囲まれた地形を見ているうちに、「カルデラ全体が巨大なすり鉢のように雨を集め、その水が姥子へ集まってくるのかな」と想像しました。姥子の自然湧出量が雨によって大きく変わることを知ると、なおさらカルデラそのものが巨大な集水装置に思えてきます。

そこで神奈川県温泉地学研究所「箱根姥子温泉調査報告」を読んでみると、話はもう少し細かく分かれていました。1969年の研究では、姥子の自然湧泉は神山の山崩れ堆積物の中を、大涌谷・冠ヶ岳方面から姥子へ向かって流れる浅層の温泉水とされています。一方、もっと深い地下水については、カルデラ西側から浸透した水が中央火口丘の基底部に広がる透水性の高い層を通って流動するモデルが示されています。

つまり、「カルデラという器に落ちた雨が全部姥子へ集まる」という単純な仕組みではなさそうです。姥子の自然湧泉について見るなら、むしろ神山北西斜面に降った雨と、その地下にある山崩れ堆積物の中の流れが重要でした。カルデラ全体を巨大なじょうごだと思っていましたが、地下には浅い流れと深い流れが別々に存在する。すり鉢一個では済まないところが、箱根らしい面白さでした。

造成温泉の隣に自然湧泉、地下ではつながっている?

大涌谷では火山性の蒸気を利用した「造成温泉」が供給されている一方、そのすぐ西側の姥子では、岩盤から自然に湧き出す温泉があります。この二つを知ったとき、私は「人工的につくる温泉のすぐ隣に、天然の温泉が残っている」と対照的に考えていました。ところが地図を眺めていると、そもそも同じ神山の斜面です。「作り方は違っても、地下ではかなり近い世界なのでは?」と気になりました。

箱根温泉供給株式会社「大涌谷温泉ができるまで」を見ると、大涌谷では地下から得た高温の蒸気と別にくみ上げた水を造成装置で混ぜ、さらに自然湧出する温泉も加えて各地へ送っています。一方、神奈川県温泉地学研究所「箱根姥子温泉調査報告」では、姥子の浅層温泉水は大涌谷・冠ヶ岳方面から山崩れ堆積物の中を流れてくるモデルが示されています。つまり、造成泉と自然湧泉は「人工対天然」ときれいに二分できる話ではありません。

利用の仕組みは違っていても、どちらも箱根火山の熱や火山性ガス、地下水と深く関わっていました。最初は正反対の温泉に見えていましたが、調べてみると、むしろ同じ火山の働きを別々の方法で利用しているように見えてきました。「造成か天然か」より、その前段階で地下水と火山の熱がどう出会ったのか。そのほうが気になるようになりました。

pH3前後の湯は、どこで酸性になったのだろう

姥子の分析値を見ていて気になったのが、自然湧出泉のpHです。過去の温泉地学研究所の調査では、元箱根4号泉などの浅層温泉がpH2.9~3.3程度を示しています。大涌谷の噴気地帯に近いことを考えると、「火山性の成分を含む水が地下水で薄められ、姥子ではpH3前後に落ち着いているのかな」と最初は考えました。

ところが神奈川県温泉地学研究所「箱根温泉の泉質分帯」を読むと、箱根の高所にはpH2~3程度でSO₄²⁻の多い「酸性硫酸塩泉」が分布し、姥子の自然湧泉もその代表例として扱われています。研究では、噴気地帯付近で火山ガス中の硫化水素が酸化されて硫酸を生じ、それを含んだ降水起源の浅層地下水が岩石と反応しながら流動するというモデルが示されています。さらに姥子から先へ流れるにつれ、浅層温泉水は次第に中和されていくと考えられていました。

つまり、「姥子で地下水に薄められたからpH3になった」というだけではなさそうです。むしろ酸性の浅層温泉水そのものが姥子まで流れてきて、その後さらに性質を変えていく途中に姥子がある。pHの数字を一点だけ見るより、「この水は今どの途中にいるのか」と考えたほうが面白くなってきました。

硫黄臭が強くないのに、硫酸イオンが多いのはなぜ?

大涌谷では硫化水素を思わせる強い香りが漂いますが、姥子で実際に湯に入ったとき、私には同じような強い香りは感じられませんでした。それなのに分析を見ると、姥子の自然湧泉はSO₄²⁻を多く含む酸性の温泉です。「同じ火山の近くなのに、鼻で感じる“硫黄”と分析書に現れる“硫黄”はどうつながっているのだろう」と気になりました。

1960年代の神奈川県温泉地学研究所「箱根姥子温泉調査報告」では、浅層源泉は無色透明で、当時の記録では無臭とされ、SO₄²⁻が多く含まれていました。また箱根の酸性硫酸塩泉について、温泉地学研究所では、火山ガス中の硫化水素が地表近くで酸化されて硫酸となり、それが地下水に入る仕組みを説明しています。つまり、香りとして感じるH₂Sと、分析書に現れるSO₄²⁻は、同じ硫黄元素を含んでいても存在する形が違います。

もちろん、姥子でH₂Sが「全部酸化した」とまでは言えるわけではありません。それでも、大涌谷で鼻に感じる火山ガスの印象と、姥子の分析書に並ぶSO₄²⁻を単純に同じものとして見ないほうがよさそうです。香りが弱いから硫黄との関係が薄いわけでもない。鼻と分析書では、硫黄の違う姿を見ているのだと分かりました。

「岩盤湧出泉」は、どんな地層から湧いている?

秀明館で最も気になったのは、やはり「岩盤自然湧出泉」という存在でした。ポンプで地下深くからくみ上げるのではなく、目の前の岩場から自然に湯が現れる。「岩盤の亀裂そのものが地下深くまで続き、そこを温泉が上がってくるのだろうか」と、つい巨大な割れ目を想像しました。

姥子温泉 秀明館「岩盤湧出泉」では、自然湧出は降水量に左右され、春雨、梅雨、秋雨の時期などに現れやすいと案内されています。さらに地質を調べると、神奈川県温泉地学研究所「箱根姥子温泉調査報告」では、元箱根4号泉は硬い岩盤の一本の割れ目を深部から上がるというより、約3000年前の神山山体崩壊でできた山崩れ堆積物の岩塊の間隙から湧出する浅層温泉として説明されています。

これは私のイメージとは少し違いました。「地下深部から一本の割れ目を直上する湯」というより、崩れた山体の中を横方向にも流れてきた温泉水が、地表へ姿を現す場所のようです。また、湧いた瞬間から酸化や成分変化がまったく起こらない、とまで言うこともできません。それでも、岩の間から季節によって現れたり消えたりする湯をその場で利用するという光景は十分に特別です。今度は湯そのものより、湧いてくる岩の並びまで見たくなりました。

同じ姥子なのに、浅い湯と深い湯は別世界?

姥子周辺の分析値を見ていると、不思議なことがあります。自然湧出する酸性の湯がある一方、周辺で深く掘削された源泉には、中性から弱アルカリ性のものまであります。「数百メートルしか離れていないのに、地下水脈の深さが違うだけでここまで変わるのか」。同じ姥子という名前の下に、まったく別の温泉が重なっているように思えました。

実際、神奈川県温泉地学研究所「箱根姥子温泉調査報告」では、姥子・大涌谷周辺に大きく浅層と深層の二つの温泉帯水層が認められています。1960年代の分析では、浅層側にpH2.9~3.3程度の酸性硫酸塩型の源泉が並ぶ一方、深さ400~700m前後の孔井ではpH6.3~8.2程度で、HCO₃⁻とSO₄²⁻を多く含む別のタイプの温泉が確認されています。

面白いのは、「深くなるにつれて少しずつ同じ湯が変化する」という単純なグラデーションではなかったことです。研究では浅層と深層を別の主要帯水層として捉えています。地表では同じ姥子温泉でも、地下では異なる高さに別々の水の世界がある。施設ごとの分析書を比べるときも、「近いから同じ水」と考えないほうがよさそうだと思いました。

自然湧泉は、箱根火山の「圧力計」になれるのか

自然湧出する温泉を見ていると、「地下で何か変化したら、この湯にもすぐ現れるのでは?」と考えたくなります。ポンプで一定量をくみ上げる源泉より、自然に湧いている姥子のほうが、地震や火山活動の変化をそのまま伝える“天然の計器”のように見えました。過去の群発地震と泉温の記録を調べてみることにしました。

1969年の神奈川県温泉地学研究所「箱根姥子温泉調査報告」では、元箱根4号泉の泉温が1966年頃から2~3℃ほど上昇し、当時の研究者は、同時期に箱根火山の群発地震の震源が浅くなった影響が姥子にもわずかに現れた可能性を考察しています。箱根全体でも、1966年の群発地震後に強羅などで大きな温度上昇が観測され、温泉と火山活動をあわせて研究する契機になりました。

ただし、姥子の自然湧泉で最も明瞭に確認されている変動要因は降水で、「姥子の湯量が変わった=火山活動が変化した」と読むことはできません。火山の圧力計というより、雨と地下水、地熱、火山活動が重なる場所を長く観察できる窓。そう考えるほうが、姥子には合っているように思いました。

約3000年前の山体崩壊が、今の温泉にも残っている

姥子周辺を調べていると、「約3000年前の神山山体崩壊」というかなり大きな出来事に行き当たりました。岩屑なだれが早川をせき止め、現在の芦ノ湖形成にも関わったとされています。「もしかすると、姥子の温泉もこの山崩れで積み重なった地層の中を流れているのでは?」。景観の歴史だと思っていた山体崩壊が、急に温泉の話へつながりました。

箱根ジオパーク「神山と流れ山」では、約3000年前に神山北側が大きく崩壊し、その岩屑なだれ堆積物が姥子周辺にも広がったことが説明されています。さらに神奈川県温泉地学研究所「箱根姥子温泉調査報告」では、姥子の自然湧泉そのものが、この山崩れ堆積物の中に形成された浅層温泉流が地表へ現れたものとされています。

ここは、私の予想より資料のほうが面白い話を持っていました。山体崩壊の堆積物は単なる過去の傷跡ではなく、現在も温泉水が通る地質として姥子の地下に残っています。ただし、堆積物全体が巨大な一つの「温泉タンク」になっているとまでは言えません。約3000年前に崩れ落ちた山の破片の間を、今も水が流れている。そのくらいの距離感で考えると、姥子の岩場を見る目が変わりました。

なぜ標高約900mの姥子で、湯が地表へ現れる?

姥子は標高900m前後の神山中腹にあります。大涌谷はもっと上、芦ノ湖はもっと下です。「この高さに何か地下水をせき止める地層の境界があり、そこから温泉が押し出されているのか」。私は最初、標高約900mという高さそのものに、地質的な意味があるように想像しました。

ところが神奈川県温泉地学研究所「箱根姥子温泉の湧出量の変化」を読むと、もっと地形に沿った説明がありました。研究では、元箱根4号泉は大涌谷噴気地帯方面から神山山崩れ堆積物の中を流れてきた浅層地下水が、山腹の地形変換点で湧出するものとされています。標高889m付近という数字そのものより、地下を流れてきた水と地形が交わる場所であることが重要だったようです。

つまり、「標高900mに不透水層の境界がある」という私の想像を直接裏付ける資料は見つかりませんでした。その代わりに出てきたのが“地形変換点”です。水を通しやすい山崩れ堆積物の中を流れていた浅層温泉が、斜面の形が変わる場所で地表へ姿を現す。標高の数字ばかり見ていましたが、次に現地へ行ったら、源泉の上と下で斜面がどう変わっているのかまで確認したくなりました。

いま湧いている湯は、いつ降った雨なのだろう?

姥子の自然湧泉が雨に左右されると知ると、どうしても考えてしまいます。「いま目の前から湧いている温泉は、いつ降った雨なのだろう?」。山に染み込んだ雨が地下をゆっくり移動し、温められて数か月後に姿を現す――最初はそんな長い地下旅行を想像していました。

ところが1968年の連続観測をまとめた神奈川県温泉地学研究所「箱根姥子温泉調査報告」では、10日間の積算降水量が80~120mmに達すると、およそ6日後から自然湧出が始まり、水位上昇は降雨の約3日後から見られたとされています。一方、後年の神奈川県温泉地学研究所「箱根姥子温泉の湧出量の変化」では、降水と湧出量をタンクモデルで解析し、新たに浸透した水の約80~90%が3か月以内に温泉系から流出すると推定されました。

どうやら「数か月前の雨が、そのまま今の一杯になっている」と一対一で考えるのは単純すぎるようです。雨への反応は数日で始まり、その後数か月という幅の中で地下水系から流れ出していく。さらに秀明館の岩盤湧出泉案内でも、現在なお春雨・梅雨・秋雨などによって自然湧出の時期が変わると案内されています。昨日の雨でも、三か月前の雨でもない。「いくつもの雨が地下で重なって、ある時ふたたび地表へ現れる」と考えるほうが、姥子の湯には似合っている気がしました。

ゆめにゃん

雨の記憶をたどり、火山の息吹に耳を澄ませ、岩間から生まれる湯と向き合う。
次の休みは、姥子温泉で「大地の中をめぐる水の旅」を訪ねてみませんか?

岩間から現れる自然湧泉

姥子には、岩間や浴槽の足元から温泉が湧き出す自然湧泉が残されています。源泉と浴槽との距離が近く、地下から湯が現れる場所そのものに注目できるのが大きな魅力です。

浅層地下水が育てる温泉

自然湧泉には、神山北西斜面を流れる浅層地下水が深く関係しています。山に降った雨が地下をどのように移動し、温泉として地表へ現れるのかを考えたくなる場所です。

源泉ごとに異なる泉質

姥子では、単純温泉をはじめ複数の泉質が確認されており、源泉によって成分やpHにも違いがあります。一つの温泉地の地下に、異なる水の流れが存在することを想像させる面白さがあります。

湧泉を支える山崩れ堆積物

自然湧泉を調べると、約3000年前の神山の山体崩壊まで話がさかのぼります。その堆積物の中を浅層地下水が流れるとされ、現在の温泉と過去の火山活動がつながって見えてきます。

降水量で変わる湧出量

自然湧泉の湧出量は一定ではなく、降水量に敏感に反応することが長年の観測で確認されています。空から降った雨と目の前の温泉がどう結びつくのか、地下の水循環に興味が広がります。

温泉マニアあるある! – 姥子温泉考察編

ゆめにゃん

マニアの人はこうなっちゃう…かも!?

足元湧出と聞いた瞬間、浴槽より床を見る

姥子には、岩間や浴槽の足元から自然に湧き出す源泉があります。「足元湧出」の四文字を見つけたマニアは、景色のいい浴槽を前にしても視線が下へ。「どこだ……どこから出てる……?」と静かに捜索を始めます。同行者が気持ちよさそうに湯へ浸かる横で、ひとりだけ岩の隙間を凝視。温泉に入りに来たのか、湧泉調査に来たのか分からなくなります。

雨予報を見てちょっとニヤつく

旅行の日が雨なら普通は少し残念なもの。しかし、姥子の自然湧泉では降水量と湧出量に関係があると知ったマニアは、「ほほぉ……雨ですか」となぜか嬉しそう。もちろん今日の雨がすぐ湯量に反映されるとは限りません。それでも空から落ちる雨を眺めながら、「これもいつか地下へ……」と想像開始。悪天候だったはずが、いつの間にか観察日和へ変換されています。

pHを見比べて分析書を二度見する

姥子の資料を眺めていると、源泉によってpHや泉質がかなり違うことに気づきます。「同じ温泉地なのに、こんなに違うの!?」と分析書を二度見。そこから泉温、成分総計、SO₄²⁻、HCO₃⁻……と視線が止まらなくなります。同行者が「早く入ろうよ」と待っていても、「ちょっと待って、こっちの源泉も見たい!」。入浴前からすでに忙しいのがマニアです。

SO₄²⁻を見つけると大涌谷の方向を見る

自然湧泉の古い分析値にSO₄²⁻が多いと知ると、「なるほど……」と急に遠くを見始めます。頭の中では大涌谷方面、浅層地下水、硫黄成分の変化が勝手につながり始め、温泉旅行が化学の時間へ突入。ただし成分表だけで地下の仕組みをすべて説明できるわけではありません。それでも分析書から見えない地下世界を想像できるだけで、マニアは十分楽しいのです。

オーバーフローを見る目が妙に真剣

浴槽から湯が静かにあふれていると、マニアは急に観察モードへ。「今日はどれくらい湧いているんだろう」と湯口や浴槽の縁をじっと見つめます。姥子の自然湧泉は湧出量が一定ではなく、降水の影響も受けることが研究されています。正確な湧出量を目測できるわけでもないのに、「ほほぉ……」と腕を組む姿だけは研究者風。何も測っていません。

源泉の違いを説明するときだけドヤ顔

「姥子温泉って、どこも同じお湯なんでしょ?」。この質問を待っていました。「実は自然湧泉もあれば、深いところから得られる源泉もあって、泉質やpHも違うんだよ」とドヤ顔。さらに浅層地下水と深層地下水の話まで始めようとします。同行者は「へ、へぇ……」と若干後悔。それでも源泉ごとの違いを知れば巡る楽しみが増えるので、本人はいたって善意です。

湯ざわりの感想から地下水の話へ飛ぶ

湯に浸かって「このお湯、こんな感じなんだなぁ」と楽しんでいたはずなのに、分析書を思い出した瞬間から様子が変わります。「この源泉は浅い地下水系なのかな……」「こっちは深いほうかな……」と頭の中は地下へ。湯ざわりだけから地下水の由来を判断することはできませんが、源泉ごとの違いを知っていると想像は止まりません。身体は浴槽、思考は地下数百メートルです。

3000年前の山崩れまで温泉旅行に持ち込む

姥子の自然湧泉を調べていたはずなのに、いつの間にか約3000年前の神山の山体崩壊へたどり着きます。「この山崩れ堆積物の中を地下水が流れてるんだって!」と嬉しそうに解説。同行者からすれば「いま温泉に来てるんだよね?」ですが、マニアには大昔の火山活動と目の前の湯が一本につながって見えています。温泉旅行の時間軸が突然3000年ほど伸びます。

「数か月」という言葉だけで壮大な気分になる

姥子の自然湧泉を調べると、降水後の比較的短い反応だけでなく、地下へ浸透した水が数か月程度の時間スケールで湧出するという研究にも出会います。するとマニアは湯船を眺めながら、「この水も山の中を旅してきたのか……」と急に詩人化。目の前の湯を特定の日の雨と結びつけることはできません。それでも地下水の時間を想像した瞬間、いつもの浴槽が壮大に見えてきます。

雨の話からすぐカルデラへ飛ぶ

「姥子温泉は、降水量と自然湧泉の湧出量に関係があるらしいんだよ」と、最近覚えた知識を得意げに披露します。「やっぱり箱根カルデラって面白いよねぇ……」と、いつの間にか話題は火山地形へ。降水と湧出量の関係をカルデラだけで説明できるわけではありませんが……まわりからは”湯めぐりカルデラ(湯めデラ)”とあだ名されてしまうのです。

管理人

管理人いじりですね…
そう呼ばれるのも悪くない!

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この記事を書いた人

温泉巡り歴15年。
トロトロのお湯と硫黄の香りが大好物。
なのに他の泉質にもすぐハマってしまう。
休日は山奥の秘湯へ直行。
そして、猫が好き。

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