西丹沢の中川川沿いに宿が点在する中川温泉は、武田信玄の隠し湯伝承を今に残す山あいの湯場です。
pH10前後を示すアルカリ性単純温泉が湧き、無色澄明の湯には源泉ごとの個性が刻まれています。
賑やかな温泉街ではなく、周囲を占めるのは丹沢の山々と清流、そして木々の連なり。
湯ざわりや香りを確かめながら、西丹沢の静かな夜を辿りたくなる温泉地です。
- 中川温泉・信玄館の日帰り体験
実際に日帰り入浴して見た浴場や館内の様子を紹介します。 - 中川温泉の泉質とpHを確認
温泉分析書をもとに泉質やpH、源泉温度を読み解きます。 - 信玄館のお湯の香りと湯ざわり
湯色や香り、湯口で確かめた湯ざわりを体験目線で紹介します。 - 信玄館の日帰り入浴の流れ
到着から受付、入浴、退館まで実際に辿った流れを紹介します。 - 信玄の隠し湯と西丹沢の魅力
武田信玄の伝承や丹沢湖など、中川温泉周辺の魅力も紹介します。


中川温泉ってどんなところ? | 4コマ漫画で体験してみる
ゆめにゃん猫は入れないからフィクションにゃ…


中川温泉 体験記
伊豆半島を北上した夕刻、次なる一湯を求めて西丹沢の中川温泉へ車を走らせました。
夜の山道を抜けて辿り着いたのは、武田信玄の名を掲げる「信玄館」さんです。
温泉分析書に並ぶpH10.0の数字を読み込み、無色澄明の湯へ入り、湯口では微かな香りを追いました。
数値と浴槽での湯ざわりを往復しながら記録した、夜の立ち寄り入浴です。
夕刻の湯河原で次の立ち寄り先を探し、高pHの源泉を掲げる中川温泉へ進路変更。電話で受付時間を確認してから、丹沢湖を越えて夜の信玄館さんへ向かいました。
- 湯河原で次の一湯を探す
朝に伊豆下田の観音温泉へ入り、伊東、熱海と海岸線を北上しました。17時ごろに湯河原町内で車を停め、手元のスマホで周辺の立ち寄り湯を検索。画面に現れたのが、西丹沢の中川温泉とpHの高い源泉を掲げる信玄館さんでした。 - 電話一本で西丹沢へ進路変更
営業終了時刻が気になり、その場で信玄館さんへ電話を入れました。今から向かっても日帰り入浴の受付に間に合うとの案内をいただき、すぐにルートを設定。海沿いから離れ、東名高速道路方面を経由して丹沢の山間部へ進みました。 - 丹沢湖を越えて山の暗闇へ
国道246号から県道76号へ入ると、道路脇の明かりは次第に少なくなりました。ヘッドライトの先には舗装路と木々の輪郭が浮かび、やがて丹沢湖の脇を通過。対向車もまばらな道を中川川上流へ進み、18時40分ごろ宿の灯りを見つけました。 - 菱形の看板を目印に館内へ
駐車場から玄関へ向かうと、「信玄館」の文字を刻んだ菱形の木製看板が目に入ります。行灯の光、格子戸、信楽焼のタヌキが並ぶ夜の玄関です。フロントで電話した旨を伝えて料金を支払い、説明を受けて貴重品ロッカーの鍵を手に浴室へ向かいました。
浴室へ向かう途中、壁に掲げられた温泉分析書を発見。源泉名「信玄公隠し湯」、pH10.0、源泉33.6℃。浴槽へ入る前から足が止まりました。
- 源泉名は「信玄公隠し湯」
脱衣所へ入る直前、額装された温泉分析書の前で立ち止まりました。分析日は令和4年9月26日、決定年月日は令和5年6月2日。泉質はアルカリ性単純温泉です。そして源泉名の欄には「信玄公隠し湯」。ここでいったんメモを始めました。 - pH10.0と源泉33.6℃を確認
視線を下へ移すと、pHは10.0。源泉温度は33.6℃、使用位置は40~42℃と記されています。知覚的試験は無色澄明、無味、微硫化水素臭。これから入る浴槽で、湯色、湯ざわり、香りがどう現れるのかを頭に入れて扉へ向かいました。 - 0.471g/kgの成分表を読む
溶存物質は0.471g/kg、成分総計も0.471g/kg。陽イオンではナトリウムイオン126mg/kg、カルシウムイオン20.8mg/kg、陰イオンでは硫酸イオン228mg/kgが目立ちます。数字を追っているだけで数分が過ぎ、なかなか浴室へ進めません。 - アルカリ側の数値にも注目
さらに水酸化物イオン1.70mg/kg、炭酸水素イオン5.33mg/kg、炭酸イオン4.07mg/kg、硫化水素イオン0.33mg/kgを確認しました。成分一つで浴感を決めつけず、まずはpH10.0という分析値を頭に置き、実際の湯船で確かめることにしました。
浴槽では透明な湯の中へゆっくり入り、手のひらや指先で湯ざわりを確認。湯口へ近づくと、分析書に記された微硫化水素臭を思わせる淡い香りも拾えました。
- 底まで透ける内湯
浴場へ入ると、湯けむりの向こうに広い内湯が現れました。体を洗ってから足先を入れ、肩までゆっくり沈みます。体感では41℃前後。無色澄明の湯は浴槽底まで透かし、水面には照明の光が細かく揺れていました。 - 指先で追う滑らかな湯ざわり
湯の中で腕を動かし、手のひら同士を軽く擦り合わせます。さらりとした湯の中に、指先がすっと滑るような摩擦の少なさがありました。粘りの強い湯というより、表面を薄い膜が通り過ぎるような感触です。入浴前に見たpH10.0の数字が再び頭に浮かびました。 - 湯口ではごく淡い香り
次に湯口へ寄り、流れ落ちる湯の近くで鼻を近づけます。強く主張する匂いではありませんが、塩素系とは異なる淡い硫黄系の香りを拾いました。分析書には「微硫化水素臭」の文字。その記載を思い出しながら、湯口から離れてもう一度湯船へ沈みました。 - 夜風と瀬音の露天風呂へ
ガラス扉を開けて露天へ出ると、冷えた夜気と中川川の水音が一度に入ってきます。浴槽では湯口から注がれた湯が水面に波紋を広げ、縁から流れ出す湯も目で追えました。暗い山影、白い湯けむり、川の瀬音を前に、内湯とは異なる景色の中で湯に浸かりました。
浴槽を出たあと、そのまま帰らず温泉分析書へ再訪。入浴前に読んだ数字と、湯船で拾った湯ざわりや香りを一つずつ照らし合わせました。
- 風呂上がりに分析書を再訪
着替えを終えると、先ほどの温泉分析書へもう一度戻りました。入浴前には数字だけを追っていた表ですが、今度は無色澄明の湯色、指先を滑る感触、湯口で拾った淡い香りが加わっています。ひとつひとつ見直しながら、各項目を上から順番に読み返しました。 - 数値と体験は分けて記録する
pH10.0、水酸化物イオン1.70mg/kg、炭酸イオン4.07mg/kg。気になる値はいくつも並びます。ただし、浴槽で得た湯ざわりを単独の成分だけに結びつけることはせず、「分析書の数字」と「自分が浴槽で拾った感触」を分けてメモしました。 - 加水なし、加温ありを確認
掲示下部の利用状況には「加水は行っていません」「加温は行っています」とあります。源泉33.6℃を入浴に適した温度へ加温して使用する方式です。実際の浴槽は40~42℃との掲示。源泉温度と使用位置の数字を見比べながら、設備面にも目を通しました。 - 循環と消毒も掲示で確認
同じ欄には循環装置等の使用と塩素系薬剤による消毒も明記されています。温泉資源の利用と衛生管理を両立させながら浴槽を維持する運用です。利用方法まできちんと掲示されているため、源泉そのものと浴槽での使われ方を分けて確認できました。
約1時間の立ち寄りを終えて19時50分に退館。水分補給を済ませ、静まり返った県道76号を丹沢湖方面へ下り、伊勢原を目指しました。
- スタッフへ礼を伝えて退館
ロビーへ戻ると時計は19時50分。フロントのスタッフさんへ、遅い時間の立ち寄り入浴を受け入れていただいたお礼を伝えました。見送りの言葉を受け、格子戸を開けて外へ。先ほど見た菱形の看板と行灯が、暗い玄関先に浮かんでいました。 - 駐車場ですぐに水分補給
運転席へ戻り、持参していた常温のミネラルウォーターを取り出しました。ボトルの蓋を開け、数回に分けて喉へ流し込みます。入浴後の水分補給を済ませてからシートベルトを締め、ナビゲーションに伊勢原方面を入力しました。 - 丹沢湖まで再び夜道を下る
県道76号へ戻ると、周囲は再び山の暗闇です。中川川沿いを下り、丹沢湖の脇を通過。ヘッドライトが照らすカーブを一つずつ追いながら進みました。行きに目印として見ていた湖畔の景色も、帰路ではほとんど黒い輪郭だけになっていました。 - 最後は豚丼を食べて帰路へ
国道246号へ合流すると、トラックや乗用車のテールランプが増え、山道から幹線道路の日常へ戻りました。この日は下田から伊豆半島を北上し、最後に西丹沢まで移動した一日です。途中で豚丼を食べて腹を満たし、そのまま帰路につきました。



清流の音を聞き、透明なアルカリ泉に浸かり、丹沢の山道を辿る。
次の休みは、中川温泉で「西丹沢の静かな奥行き」を追う旅へ出かけませんか?
中川温泉 – アクセスと基本情報
| 温泉地名 | 中川温泉 |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県足柄上郡山北町中川 |
| 入浴施設 | 複数あり 今回は信玄館さんの日帰り入浴を利用させていただきました |
| 主な泉質 | アルカリ性単純温泉(低張性・アルカリ性。源泉により低温泉~温泉) 中川温泉ではアルカリ性単純温泉が中心です。泉温区分などは源泉によって異なります。 pH:10前後(信玄館10.1、魚山亭やまぶき10.6など) |
| お湯の特徴 | 無色透明を基本とするアルカリ性単純温泉で、pH10前後を示す源泉が見られます。 溶存物質が比較的少ない中川温泉らしい澄んだ湯色と、施設ごとに異なる滑らかな湯ざわりを確かめながら、源泉ごとの個性を比べるのも楽しみのひとつです。 |
| 香り | 基本的には香りの主張が強い温泉ではありませんが、信玄館の「信玄公隠し湯」は知覚的試験で「微硫化水素臭」と記載されています。 無色透明の湯に浸かりながら、湯口付近でごく淡い硫黄系の香りを探してみるのも面白いところです。 |
| 雰囲気 | 西丹沢の山々に囲まれ、中川川沿いに宿や入浴施設が点在する静かな山あいの温泉地です。 大規模な温泉街や歓楽街ではなく、周囲には清流や森林が広がります。 武田信玄の隠し湯伝承も残り、山里の景観と戦国ロマンが重なる湯場です。 |
| 楽しみ方 | まずはpH10前後のアルカリ性単純温泉に浸かり、湯色や湯ざわり、湯口の香りをじっくり観察。 周辺では丹沢湖の散策やカヌー、西丹沢のハイキングなどを組み合わせられます。 食事はヤマメ・イワナなどの川魚、ジビエ、足柄牛、足柄茶など山北らしい味へ。 温泉だけで完結させず、「西丹沢の山・川・食」を一緒に巡ると中川温泉らしい旅になります。 |
| ※源泉や施設によって記載と異なる場合があります。コンディションによって印象は変わる場合があります。 ※掲載している情報は訪問時のものです。最新の情報は公式サイト等で確認をお願いいたします。 | |
- アルカリ性単純温泉の中川温泉
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中川温泉ではアルカリ性単純温泉が中心で、pH10前後を示す源泉も見られます。無色透明を基本とする湯が多く、施設や源泉ごとの分析値、湯温、香りなどを比べてみるのも温泉巡りの面白さです。
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マニアの人はこうなっちゃう…かも!?
- 「pH10.0」で一度立ち止まる
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温泉分析書を眺めていて「pH10.0」の文字を発見すると、視線がそこで停止します。同行者が「早くお風呂行こうよ」と先へ進んでも、「ちょっと待って、二桁だから」と謎の理由で動きません。入浴前から数字だけで数分楽むことができてしまいます。
- 湯船の中で手を擦り合わせる
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無色透明のアルカリ性単純温泉に入ると、まず手のひら同士をスリスリ。「うむ……滑る」と一人で確認を始めます。同行者には単なる手洗いにしか見えませんが、本人は湯ざわりの観察中。何度も腕や指を動かし、摩擦感の違いを追い続けます。
- 透明なお湯ほど湯口へ向かう
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見た目は無色澄明。それでも温泉好きは浴槽へ入った直後から湯口の位置を探します。「色がないから普通のお湯?」なんて言われれば、「いやいや、ここからが面白いんだよ」と移動開始。注がれる湯、析出物、流量まで順番に観察してしまいます。
- 微硫化水素臭を探して鼻が忙しい
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分析書に「微硫化水素臭」と書いてあれば、湯口付近でさりげなくクンクン。「……いる。微かにいるぞ」と小声で喜びます。同行者が「何が?」と聞いても、「硫黄がいる」としか答えません。強烈な匂いではなく、淡い香りを拾えたことに満足するのです。
- オーバーフローを見つけると追跡する
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浴槽の縁から湯が流れていれば、視線は自然とその先へ。「ここから出て……こっちへ流れるのか」と排水方向まで追跡します。同行者からすれば完全に謎の観察ですが、本人にとって湯口からオーバーフローまで確認して、ようやく浴槽一周が終了です。
- 分析書を入浴前と入浴後に二度見る
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普通なら一度読めば十分な温泉分析書を、入浴後にもう一度確認します。「さっきの香りは……」「あの湯ざわりは……」と浴槽での記憶を呼び戻しながら成分表を凝視。分析書が説明書から答え合わせ用紙へ変わる瞬間です。
- 「単純温泉」を単純だとは思っていない
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泉質名に「単純温泉」と書かれていても、「はいはい、普通ね」と通過することはありません。pH、源泉温度、イオン組成、香りまで確認して「全然単純じゃないじゃん」とニヤリ。同じ泉質名でも源泉ごとに違う個性を探し始めます。
- 「信玄公隠し湯」を見つけてドヤ顔になる
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分析書の源泉名に「信玄公隠し湯」の文字を発見。「ほら!正式に書いてある!」と、なぜか自分が発見した史料のようなドヤ顔になります。同行者が「信玄館なんだからそうでしょう」と返しても聞こえません。ここから温泉旅行が急速に戦国時代へ向かいます。
- 信玄の隠し湯を地図上で増やし始める
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中川温泉へ来ただけなのに、「そういえば山梨にも信玄の隠し湯が……」と別の温泉地を検索し始めます。塩山、下部、増富……気づけばスマホの地図が武田信玄ゆかりの湯で埋まっていき、まわりからは“湯めぐり風林火山”とあだ名されてしまうのです。



管理人いじりですね…
そう呼ばれるのも悪くない!







