中川温泉をもっと深掘り!pH10前後の湯の秘密(神奈川県山北町)

中川温泉深掘りアイキャッチ画像

神奈川県・西丹沢の山あいに湧く中川温泉。
実際に湯に浸かり、温泉分析書を眺めていると、pH10前後という数字や成分構成など、気になることが次々と出てきました。
「この素晴らしいお湯を生み出している要因は何だろう?」――そんな疑問を入口に、地質や地下水、歴史、過去の研究資料まで寄り道しながら掘り下げます。
一枚の温泉分析書から始まる、中川温泉の“湯の向こう側”をめぐる自由研究です。

中川温泉で興味深かったこと
  • 丹沢の岩石と高pHの関係
    pH10前後のアルカリ性は、地下の岩石とどう関係しているのでしょうか。
  • 分析書に現れたOH⁻の数字
    OH⁻1.70mg/kgという数値が気になり、高pHとの関係を追ってみました。
  • 炭酸と硫黄のイオンバランス
    HCO₃⁻やCO₃²⁻、HS⁻の数字から、湯の中で起きていることに注目しました。
  • 狭い温泉帯と地下水のつながり
    約1km×500mに集まる源泉は、地下でどう関係しているのか気になりました。
  • 信玄伝承と積み重なる研究史
    戦国時代の伝承と1960年代から続く研究資料、その両方をたどってみました。
目次

中川温泉ってどんなところ? | 4コマ漫画で体験してみる

ゆめにゃん

猫は入れないからフィクションにゃ…

中川温泉の魅力を詰め込んだ4コマ漫画。猫のゆめにゃんがアルカリ性のお湯や猪鍋、巨木・箒杉を紹介。

中川温泉レビューと注目ポイント考察

この記事は、筆者が実際に温泉を訪れた際に感じた「なぜ?」をきっかけに、温泉分析書や公開資料などを調べ、自分なりに考察した内容です。資料から確認できる事実と筆者個人の考察を分けて記載するよう努めていますが、専門家による学術的な見解や結論を示すものではありません。直接的な裏付けを確認できていない仮説や想像については、その旨を明記しています。一人の温泉好きが、分析書や資料を眺めながら考えた「温泉の自由研究」としてお楽しみください。

pH10の数字から丹沢の岩石反応を追ってみた

信玄館で温泉分析書を見たとき、真っ先に目に飛び込んできたのがpH10.0でした。アルカリ性が高いこと自体は知っていましたし、他にも同様の温泉地はありますが、「そもそも山の地下を流れてきた水が、どうしてここまでアルカリ性になるんだ?」と気になりました。丹沢には大きな深成岩体があります。それなら、雨水が岩盤の中を巡るうちに鉱物と反応して、このpHと関係しているのか――そんなところから調べ始めました。

すると、神奈川県温泉地学研究所「ワクワク 中川温泉」には、まさに岩石との反応が登場します。丹沢山地には約1500万年前の海底火山活動に由来する地層や、石英閃緑岩・トーナル岩などの深成岩体があり、地下へ浸透した水は割れ目を通って流動します。そして高pHについては、地層中の灰長石と温泉水が反応してモンモリロナイトという粘土鉱物が形成される過程で、水中のH⁺が消費されるためpHが上昇すると推定されています。2001年の温泉地学研究所「中川温泉の化学成分」でも同じ考え方が紹介されています。

私は最初、「岩が溶けてOH⁻をどんどん作るのかな」とかなり大ざっぱに想像していました。でも調べてみると、話の主役は灰長石と粘土鉱物、そしてH⁺の消費でした。pH10.0という一個の数字から、最後はモンモリロナイトまで登場する。こういう寄り道が始まるから、温泉分析書はなかなか閉じられません。

成分が控えめなのにpH10という組み合わせの面白さ

中川温泉でもう一つ不思議だったのが、「成分がものすごく濃い湯ではないのに、pHはかなり高い」という組み合わせでした。私が信玄館で確認した分析書では、溶存物質は0.471g/kg。それなのにpH10.0です。私はなんとなく「アルカリ性が強いなら、アルカリ性の成分も大量に溶けているのかな」と思っていました。

ところが、神奈川県温泉地学研究所「ワクワク 中川温泉」に掲載された3源泉の例を見ると、成分総計は252~471mg/Lなのに対し、pHは9.4~10.6。温地研自身も、中川温泉の特徴として「溶存成分量は少ないものの、高いアルカリ性を示す」と紹介しています。さらに温泉地学研究所の泉質判定の解説では、温度25℃以上で総溶存物質1,000mg/kg未満なら単純温泉に分類されることが説明されています。

ここで気づいたのは、「成分が少ない」と「pHが中性に近い」は別の話だということでした。溶けている物質の総量が少なくても、水素イオンと水酸化物イオンのバランスは強くアルカリ側へ寄ることがある。数字が少ない分析書なのに、読み始めると話題が増えていく。中川温泉の単純温泉としての面白さは、むしろこの組み合わせにある気がしてきました。

OH⁻1.70mg/kgを見てpH10を考えてみた

信玄館の分析書で思わず二度見したのが、水酸化物イオン(OH⁻)の欄でした。そこには1.70mg/kgという数字があります。pH10.0と書いてあるだけでも十分なのに、そのすぐ近くでOH⁻まで数字になっている。「これはpH10の中身が成分表に直接顔を出しているんじゃないか?」と、妙にうれしくなりました。

水の基本的な酸塩基平衡について、米国国立標準技術研究所(NIST)のpH解説では、25℃の水でH₃O⁺とOH⁻の濃度積が一定になり、アルカリ側へpHが上がるほどOH⁻濃度が増える関係が示されています。つまり、pH10前後の水でOH⁻が存在感を増すこと自体は、ごく自然な化学の姿です。一方、中川温泉については山北町も町立中川温泉ぶなの湯の案内で、高いpHと水酸化物イオンを特徴として紹介しています。

もちろん、分析書の1.70mg/kgという一個の数字だけで温泉の性格全部を説明できるわけではないのかもしれません。でも私には、pHという対数の数字だけを見るより、OH⁻が実際の成分表に記載されている方が妙に実感があります。「pH10ってつまりこういう世界なのか」と分析書を一段深く眺められる。OH⁻の一行だけで、しばらく遊べてしまいました。

HCO₃⁻とCO₃²⁻からpH10の世界を覗いてみた

分析書の炭酸系を眺めていて、次に興味深かったのがHCO₃⁻とCO₃²⁻でした。私が信玄館で確認した分析では、炭酸水素イオン(HCO₃⁻)5.33mg/kgに対して、炭酸イオン(CO₃²⁻)4.07mg/kg。量そのものはHCO₃⁻の方が多いものの、CO₃²⁻もしっかり数字になっています。「これもpH10.0と何か関係しているのでは?」と気になりました。

炭酸水素イオンは、さらにH⁺を放してCO₃²⁻になる平衡を持っています。J-STAGE掲載の炭酸イオン分析に関する論文では、25℃付近でこの第二解離のpKa₂は約10.33とされています。つまりpHが10前後まで上がってくると、HCO₃⁻だけでなくCO₃²⁻の割合も無視できなくなる領域へ近づきます。

私は最初、「pH10なら炭酸成分が全部CO₃²⁻へ変わるのかな」と単純に考えていましたが、実際はそんな白黒の世界ではないようです。pH10.0はpKa₂の少し手前なので、HCO₃⁻もまだ存在しながらCO₃²⁻も顔を出す。温度やイオン強度なども関係するため、分析書だけで平衡状態を完全再現することは難しいのかもしれません。それでも、HCO₃⁻とCO₃²⁻の二つの数字を見比べるだけで、pH10という水の中を少し覗いたような気分になりました。

分析書のHS⁻から“隠れ硫黄”を追ってみた

信玄館の泉質名はアルカリ性単純温泉です。ところが分析書を下へ追っていくと、硫化水素イオン(HS⁻)0.33mg/kgという数字がありました。さらに信玄館公式サイトの温泉情報にも、知覚的試験として「微硫化水素臭」とあります。無色透明の単純温泉なのに、湯口ではほんのり硫黄系の香りも感じる。「HS⁻があの香りの正体なのか?」と考えました。

調べると、ここにもpHが絡んできます。米国環境保護庁(EPA)の硫化水素に関する資料では、水中の硫化物はpHによってH₂SとHS⁻などの割合が変わり、pH9付近では大部分がHS⁻の形になると説明されています。一方、香りとして空気中へ出てくる主役は分子状のH₂Sです。さらに温泉地学研究所「中川温泉の化学成分」では、調査された中川温泉の各源泉から総硫化水素0.04~0.98mg/Lが確認され、微かな硫化水素臭が特徴として記録されています。

つまり「HS⁻そのものが匂っている」という私の最初の考えは少し違うのかもしれません。でも、そのおかげでH₂SとHS⁻がpHによって姿を変える世界まで知ることができました。透明なアルカリ性単純温泉の成分表の奥に、ちゃんと硫黄の話まで隠れている。個人的には、このくらいの“隠れ硫黄感”がたまりません。

単純温泉なのにSO₄²⁻が目立つ理由を追ってみた

信玄館の分析書を眺めると、陰イオンの中で妙に存在感があるのが硫酸イオン(SO₄²⁻)です。私が確認した分析では228mg/kg。泉質名だけを見れば「アルカリ性単純温泉」なので、最初はこんなに硫酸イオンが目立つとは思っていませんでした。「単純温泉の中身をよく見ると、実は硫酸塩っぽい個性が隠れているのかもしれない」と気になりました。

神奈川県温泉地学研究所「ワクワク 中川温泉」に掲載された3源泉でも、SO₄²⁻は101、178、228mg/Lと、いずれも主要成分の一つになっています。そして面白いことに、同資料では中川温泉のカルシウムイオンや硫酸イオンの起源について、地下の石膏などが溶解することによるものと考えられている、と紹介されています。2001年の「中川温泉の化学成分」でも、硫酸イオンが中川温泉の主要成分として整理されています。

私は最初、「もしもっと濃かったら硫酸塩泉になるのでは?」と泉質名ばかり考えていました。でも、その分類ゲームよりも、「このSO₄²⁻は地下のどこから来たのか」と追いかけた方が面白かった。単純温泉という名前の裏側から石膏まで登場する。泉質名だけでは見えない中川温泉の顔を、一つ見つけた気がしました。

約1km×500mの温泉帯に源泉が集まる不思議

中川温泉を歩いていると、温泉地そのものはそれほど広くありません。それなのに複数の源泉があります。「地下に大きな亀裂が一本通っていて、そこへ源泉が集中しているんじゃないか?」と、また勝手な地下断面図を頭の中に描きました。山奥の狭い谷に温泉が集まっていると、どうしても“温泉の通り道”を探したくなります。

すると神奈川県温泉地学研究所「ワクワク 中川温泉」には、1965年の調査で中川温泉の地熱活動範囲が約1km×500mと狭く、その範囲では各源泉から揚湯すると互いに影響することが確認された、とあります。さらに2023年3月時点では利用源泉は5本で、掘削深度116~500m、自噴3源泉・動力揚湯2源泉、総揚湯量は約260L/分とされています。地下水は地下の割れ目を通って上昇すると考えられています。

ここまで読むと、「一本の断層が全部を支配している」という私のイメージより、狭い地下空間の中で源泉同士がつながり合っているような姿の方が面白くなってきました。どの亀裂がどの源泉へ続くのかまでは分かりません。それでも、地下では別々に見える井戸同士が影響し合う。その見えないつながりを知っただけで、温泉街の狭さまで意味を持って見えてきます。

約34℃の自噴泉が浴槽へ届くまでを追ってみた

信玄館の源泉温度を見たとき、「思ったより低めだな」と感じました。私が現地で確認した分析書では33.6℃。そのままでは一般的な浴槽温度より低いので、「この湯は源泉から浴槽まで、どう使われているんだろう?」と設備の欄まで読み始めました。温泉というと成分ばかり見がちですが、源泉が浴槽へ届くまでにも一つの物語があります。

現地掲示では、加水なし・加温あり、循環装置を使用し、塩素系薬剤による消毒を行う利用方法が記されていました。一方、現在の信玄館公式サイトの温泉情報では、源泉「信玄公隠し湯」は34.1℃、pH10.1で、地域唯一の自噴泉として紹介されています。つまり地下からは自力で湧き上がる30℃台の源泉を、浴用として温度管理しながら利用しているわけです。

私は最初、「加水なしなのは、この繊細な成分を守るためなんだろうな」などと勝手に管理意図まで想像していました。でも、そこまで物語を作らなくても十分面白い。自然に自噴する源泉そのものの姿と、実際に人が快適に入浴するための浴槽管理は別の層として存在する。その両方を分析書で確認すると、温泉が“湧いて終わり”ではないことがよく分かりました。

信玄の隠し湯伝承を1569年の相模国でたどる

「信玄の隠し湯」と呼ばれる温泉はいくつもありますが、中川温泉を訪れたときに気になったのは、ここが神奈川県だということでした。甲斐の武田信玄なのに、なぜ相模国のこんな場所に隠し湯があるのか。しかも戦国期の相模といえば小田原北条氏の勢力圏です。「敵地の温泉に入ってたの?」と思うと、急に歴史を調べたくなりました。

神奈川県温泉地学研究所「ワクワク 中川温泉」では、武田信玄が北条氏康を攻めた帰路に傷兵をこの湯で療養させたという伝承から、「信玄の隠し湯」と呼ばれるようになったと紹介されています。一方、史実としては、神奈川県による三増合戦場跡の解説で、1569年10月に信玄が小田原城を包囲し、その後甲斐へ退却する途中で三増峠の戦いに至ったことが確認できます。さらに山北町の城郭遺構の解説では、同じ永禄12年に中川温泉周辺の湯ノ沢城などが信玄によって落城したと伝えられています。

「1569年に信玄が中川温泉へ入った」と史実として一本につなげることはできませんでした。でも面白いのは、伝承の舞台のすぐ周辺で実際に武田軍と北条勢力がぶつかっていたことです。隠し湯伝承を調べたら、温泉から戦国時代の相模国の地図へ話が広がってしまいました。

一枚の分析書から温地研の資料沼へ落ちてみた

中川温泉で分析書を眺めていたときは、pH10.0やOH⁻、SO₄²⁻といった目の前の数字だけを楽しんでいました。ところが家に帰って「この数字、昔はどうだったんだろう」と検索したのが運の尽きでした。神奈川県には温泉地学研究所という、温泉好きにとって非常に危険な資料庫があります。調べ始めると、何十年前の中川温泉まで次々と出てきます。

たとえば1967年の「中川温泉の泉質」には、当時の各源泉について温度、pH、Na⁺、SO₄²⁻、HCO₃⁻、CO₃²⁻、OH⁻など細かな分析値が並んでいます。そこから時代を進めると、2001年の「中川温泉の化学成分」では複数年代のデータが整理され、さらに2025年の「ワクワク 中川温泉」では2023年時点の源泉利用状況や、2017~2022年に分析された3源泉の例まで確認できます。

もちろん、年代も源泉も分析方法も違う数字をそのまま横並びにはできません。でも、「昔はこうだった」「現在はこの分析値」という記録がこれだけ残っていると、一枚の分析書が時間軸まで持ち始めます。最初はpH10に興奮していただけなのに、気づけば1960年代の報告書まで読んでいる。中川温泉でいちばん深い沼は、浴槽ではなく温地研の資料庫だったのかもしれません。

ゆめにゃん

湯に浸かり、分析書を眺め、足元の地層に思いを馳せる。
次の休みは、中川温泉で「湯の向こう側」まで想像する旅に出かけませんか?

高pH温泉を比べてみる

pH10前後の源泉がみられる中川温泉。数値が近い温泉でも、泉質や成分構成、源泉温度などはさまざまです。高pHという共通点から別の温泉へ目を向けると、それぞれの個性が見えてきます。

アルカリ性単純温泉を巡る

中川温泉にはアルカリ性単純温泉に該当する源泉があります。同じ泉質名が付いていても、主要なイオンや成分量まで同じとは限りません。「同じ名前なら似たようなもの?」から始める温泉比較も面白いテーマです。

信玄の隠し湯をたどる

武田信玄にまつわる伝承が残り、「信玄の隠し湯」として紹介される温泉地のひとつ。山梨や長野などにも同様の伝承を持つ温泉があり、戦国史を入口に各地の湯をつないでみる楽しみ方もあります。

丹沢湖と温泉を楽しむ

山あいの温泉地から少し足を延ばせば丹沢湖。湖畔では散策をはじめ、ボートやサイクリング、キャンプなども楽しめます。温泉だけで完結させず、西丹沢の自然と組み合わせて旅程を考えたいエリアです。

西丹沢の山あいに泊まる

丹沢の山々に囲まれ、川や湖にも近い立地は、この温泉地を語るうえで外せない要素です。都市部の大型温泉地とは異なる山あいの環境に注目すると、「静かな温泉地」という別の切り口でも旅先を探せます。

温泉マニアあるある! – 中川温泉考察編

ゆめにゃん

マニアの人はこうなっちゃう…かも!?

pH10前後を見た瞬間に目が輝く

温泉分析書で「pH10前後」の数字を見つけた瞬間、マニアの目つきが変わります。「ほほう……なかなか攻めてますな」と、なぜか分析した側みたいな顔。友達が「数字が高いと何が違うの?」と聞いた頃には、すでに成分表の陰イオン欄へ旅立っています。

OH⁻を見つけて二度見する

普通なら泉質名を確認して分析書を閉じるところ、マニアはOH⁻1.70mg/kgを発見して急停止。「待って、OH⁻ちゃんと数字出てる!」と大興奮します。友達には何が事件なのかまったく伝わりませんが、本人だけは宝物を見つけたような顔をしています。

無色透明でも鼻だけ忙しい

見た目は澄んだ湯なのに、ふっと感じる微かな硫黄系の香り。「おっ……いるな?」と突然、湯口付近で鼻を利かせ始めます。友達から「何が?」と聞かれても、「いや、ちょっと硫黄方面の気配が……」と謎の捜査開始。透明な湯ほど油断できません。

湯口を見ると分析書に戻りたくなる

湯口から流れ込むお湯を眺めていたはずなのに、「この湯、分析書では何℃だったっけ?」と数字が気になり始めます。浴槽、湯口、掲示された分析書を行ったり来たり。温泉に入りに来たのか、現地調査に来たのか、だんだん本人にも分からなくなります。

オーバーフローを無言で追跡する

浴槽から湯があふれていると、マニアは会話を中断して視線だけで追跡。「ここから流れて……こっちへ抜けるのか」と静かに観察します。友達が先に露天風呂へ移動しても気づきません。浴槽の外へ消えていく一筋の湯まで、立派な観察対象です。

「アル単」で話を終わらせない

「アルカリ性単純温泉なんだね」と聞けば、普通ならそこで納得。しかしマニアは「うん。でも陰イオンを見るとね……」と勝手に第2章を開始します。HCO₃⁻、CO₃²⁻、SO₄²⁻……。泉質名の下に並ぶ小さな数字ほど面白く見えてしまう困った習性があります。

34℃前後と聞いて湯使いを想像する

源泉温度が34℃前後と知ると、「なるほど……」と急に浴槽を見回します。加温の表示、湯口、浴槽の大きさまで確認しながら、どうやってこの湯を提供しているのか興味津々。温泉そのものだけでなく、湯を守り続ける施設側の工夫まで気になってしまいます。

信玄と聞いた瞬間に地図を開く

「信玄の隠し湯」という言葉を見たマニア。「ほう……ここ相模だぞ?」とニヤリ。温泉旅行だったはずなのに、いつの間にか武田氏と北条氏の話を調べ始めます。友達が夕食を選んでいる横で、本人のスマホには戦国時代の地図。旅の目的地が時空を超え始めます。

丹沢の地下を想像してドヤ顔

湯に浸かりながら山を眺め、「この下を地下水が巡ってるわけだな……」と勝手に地中断面図を想像します。友達に「見えるの?」と聞かれれば、「見えない。だから面白いんだよ」とドヤ顔。ついに目に見えないものまで温泉の鑑賞対象になりました。

高pHの秘密を調べて大興奮

帰宅してからも高pHの理由が気になり、地質や水―岩石反応の資料を読み始めます。そして「これかも!? モンモリロナイトかも!!」と一人で大興奮。温泉に入っていた時間より調査時間のほうが長くなり、まわりからは「湯めぐりモンモリロナイト」と呼ばれます。

管理人

管理人いじりですね…
そう呼ばれるのも悪くない!

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この記事を書いた人

温泉巡り歴15年。
トロトロのお湯と硫黄の香りが大好物。
なのに他の泉質にもすぐハマってしまう。
休日は山奥の秘湯へ直行。
そして、猫が好き。

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