日本百名山・両神山の麓、小森川が流れる山あいに湧く両神温泉。
pH9を超えるアルカリ性単純温泉は、無色澄明ながら微硫化水素臭を記録する個性的な源泉です。
道の駅の薬師の湯や山あいの宿を拠点に、里山の景色とともに湯を巡れます。
奥秩父の山並みへ分け入った先に、数字まで読み込みたくなる一湯が待っています。
- 両神温泉の泉質とお湯の特徴
pH9.1のアルカリ性単純温泉を、実際の湯ざわりとともに紹介します。 - 温泉分析書から読み解く源泉成分
源泉温度や成分総計、ナトリウム・塩化物などの数値を詳しく見ていきます。 - 国民宿舎両神荘での日帰り入浴体験
夕暮れ前に訪れた山あいの温泉で、内湯や露天風呂の様子を綴ります。 - 湯ざわりと加温・循環などの湯使い
無色澄明のお湯の感触と、現地掲示で確認した湯使いを紹介します。 - 湯上がりに味わう秩父グルメ
豚みそ丼とわらじかつ丼まで、温泉と一緒に楽しんだ秩父旅をたどります。

両神温泉ってどんなところ? | 4コマ漫画で体験してみる
ゆめにゃん猫は入れないからフィクションにゃ…


両神温泉 体験記
晴天が広がった8月下旬、新木鉱泉を出発して次に向かったのが両神温泉でした。
山道を進み、夕暮れ前にたどり着いた高台の宿で、まず足を止めたのは脱衣所前の温泉分析書です。
源泉温度25.3℃、pH9.1、成分総計0.960g/kg、そして「微硫化水素臭」「ガス発泡有」の文字。
数字を頭に入れてから浴室へ入り、実際の湯ざわりと照らし合わせていきました。
新木鉱泉を出発し、緑深い秩父路をさらに西へ。小森川沿いの集落を抜け、16時50分頃に山あいの宿へ到着しました。夕暮れが迫る静かな館内を進み、浴室へ向かいます。
- 新木鉱泉から次の一湯へ
晴天の8月下旬、最初に立ち寄ったのは秩父の古湯・新木鉱泉でした。硫黄系の匂いを含む独特の鉱泉を味わったあと、再び車へ。国道を西へ進み、次の目的地である両神温泉へ向かいました。車窓には山肌と深い緑が続き、秩父市街から少しずつ山あいへ入っていきました。 - 小森川沿いの山里へ
木々の間を走ること数十分、小森川沿いの集落へ入りました。事前に見ていた情報では、両神温泉はpH9を超えるアルカリ性の源泉。同じ秩父地域でも、先ほど入った新木鉱泉とは分析値も泉質名も異なります。山道を進みながら、「さて、今度はどんな湯ざわりだろう」と浴槽での対面を待ちました。 - 16時50分頃に到着
時計が16時50分を指す頃、小高い場所に建つ宿へ到着しました。西日はすでに山の向こうへ傾き始め、駐車場には木立の影が長く伸びています。車を降りると、草木の匂いを含んだ夏の空気。周囲には大きな観光施設のざわめきもなく、そのまま玄関へ歩いていきました。 - 脱衣所前で足が止まる
日帰り入浴の受付を済ませ、静かな館内を浴室方向へ進みます。すると脱衣所の手前に、手書きの温泉案内と温泉分析書が並んでいました。案内板にはpH9.2の文字。ただし隣の分析書を見るとpH9.1です。ここは分析書を基準にしようと決め、服を脱ぐ前に、まず額の前へ陣取りました。
浴室へ入る前に温泉分析書を確認しました。源泉名は「両神温泉 すすきの湯」。pH9.1、源泉温度25.3℃、成分総計0.960g/kg。数字を追うほど、単純温泉という泉質名だけでは収まらない個性が見えてきます。
- 源泉名はすすきの湯
温泉分析書の上段から順番に読んでいきます。源泉名は「両神温泉 すすきの湯」、湧出地は小鹿野町両神薄。泉質はアルカリ性単純温泉です。源泉温度は25.3℃。25℃をわずかに超える低温泉で、そのままでは浴槽温度に届かないため、施設では加温して利用していることも掲示されていました。 - pH9.1と微硫化水素臭
次に目を移したのがpH9.1という数値です。知覚的試験には「無色澄明、微硫化水素臭、無味、ガス発泡有」と並んでいました。無色のアルカリ性単純温泉というだけなら珍しくありませんが、そこへ微硫化水素臭とガス発泡有が加わります。この二文字、いや数文字を見た瞬間、鼻まで参加する調査になりました。 - 1g/kg直前の成分総計
陽イオンではナトリウム318.3mg/kg、陰イオンでは塩化物446.9mg/kgが主体です。そして溶存物質合計は0.960g/kg。単純温泉はガス性成分を除く溶存物質が1g/kg未満という分類ですが、その境界まであと0.040g/kg。分析書を眺めながら、「ずいぶん端っこにいる単純温泉だな」と数字を二度見しました。 - メタホウ酸53.1mg/kg
非解離成分へ視線を移すと、メタケイ酸21.0mg/kgに対してメタホウ酸は53.1mg/kg。温泉法で温泉判定に用いられる含有成分基準5mg/kgと比べても大きな数値です。さらに「ガス発泡有」の記載も再確認。数値を一通り頭へ入れ、今度は紙ではなく浴槽の中で確かめる番です。
浴室へ入ると、内湯の向こうにガラス越しの山並みが広がっていました。掛け湯を済ませて無色の湯へ。腕を動かすたび、さらさらとも、とろとろとも違う独特のすべる感触が伝わってきます。
- 無色の内湯へ入る
ガラス扉を開けると、薄い湯けむりの向こうに広めの内湯がありました。まず掛け湯をしてから、縁に腰を下ろして静かに浴槽へ。湯色は無色で、底のタイルまでくっきり見えます。鼻を水面へ近づけると、ごく淡い温泉らしい匂いが残っていました。 - すべるような独特の感触
腕を湯の中でゆっくり動かしてみます。ぬるぬると表現するほど粘るわけではありません。それでも皮膚の上を水が滑っていくような、抵抗の少ない感触があります。掌同士を軽く重ねると、その特徴がさらにはっきりしました。分析書のpH9.1という数字を思い出しつつ、数値と体感を別々に確認していきます。 - 露天風呂で小森川を望む
内湯を出て露天風呂へ移動すると、夕方の外気が濡れた腕を通り抜けました。浴槽には湯口からお湯が注ぎ、水面に細かな波紋が広がっています。縁からはオーバーフローが流れ、岩肌を濡らしていました。眼下には小森川、その向こうには山の緑。耳に入るのは、遠くのひぐらしと流れる水の音でした。 - 湯口と析出物を観察
湯口の近くまで移動し、注ぎ込むお湯を眺めます。お湯自体は無色澄明。岩の隙間には白っぽい析出物がわずかに付着していました。掲示によれば利用場所の温泉温度は39~42℃です。数分ずつ浴槽へ入り、外へ出て水分を拭き、また湯へ。額に汗が浮かんだところで浴槽を離れました。
湯上がりに再び温泉分析書の前へ戻りました。源泉は25.3℃、利用場所では39~42℃。加水なし、加温・循環ろ過・塩素系薬剤による衛生管理あり。その掲示を、入浴後に改めて読み直します。
- 入浴後に数字を再確認
服を着てから、そのまま温泉分析書の前へ戻りました。入る前にはただの数値だった「Na⁺318.3mg/kg」「Cl⁻446.9mg/kg」「pH9.1」が、今度は先ほどの湯ざわりと一緒に目へ入ってきます。ただし、どの成分があの感触を作ったのかまでは断定しません。数字と浴槽での体験を横に並べて眺める時間も、現地調査の一部です。 - 源泉25.3℃を39~42℃へ
掲示では、源泉温度25.3℃に対し、利用場所の温泉温度は39~42℃。入浴に適した温度を保つため加温していると記されています。加水はしていません。25℃台の源泉を日々浴槽へ送り、一定の範囲で提供するには設備の運転と継続的な管理が欠かせません。こうして入浴できる状態が保たれていること自体、現場の積み重ねなのだと思いを馳せました。 - 循環ろ過と消毒も明記
温泉分析書の下には、循環ろ過を行っていること、衛生管理のため塩素系薬剤を使用していることも明記されています。源泉そのものと浴槽内のお湯は同じ条件ではありません。その違いを隠さず掲示しているため、現地で湯使いまで確認できます。温泉そのものだけでなく、こうした情報公開にも目を通しておきたいところです。 - もう一度「ガス発泡有」へ
最後に視線を戻したのは、知覚的試験欄の「ガス発泡有」。循環・加温された浴槽で泡付きを確認したという話ではなく、あくまで分析時の源泉についての記録です。それでも、この四文字があるだけで地下から採取された時点の源泉を想像したくなります。掲示に一礼するような気分でロビーへ戻りました。
水分補給を済ませて外へ出ると、時刻は17時50分過ぎ。山の空は濃い青へ変わり始めていました。両神をあとにし、次は秩父市街の高台へ。旅の締めは豚みそ丼とわらじかつ丼です。
- まずはしっかり水分補給
湯上がりに冷たい水を購入し、ベンチで水分補給を済ませました。時計を見ると17時50分を回っています。外へ出る頃には山の稜線が黒くなり始め、昼間の青空とは別の景色になっていました。自動ドアを抜けて駐車場へ戻り、この日の温泉巡りはここで一区切り。次は晩ごはんです。 - 秩父市街へ戻る
エンジンをかけ、小鹿野の山道を秩父市街方面へ下っていきました。窓を少し開けると、道路脇の林から虫の声が流れ込んできます。目指すのは秩父市大宮の高台にある「ちんばた」さん。新木鉱泉、両神温泉と巡ったあとに、秩父名物を二種類まとめて食べる。日帰りドライブの予定表は、最後まで秩父色です。 - 18時35分頃に到着
秩父市街を見下ろす高台へ上がり、18時35分頃に到着しました。ところが店の前には行列。店前の駐車場も埋まっています。少し離れた駐車場へ車を停め、3分ほど歩いて店へ向かいました。温泉では静かな山里、夕食では行列。その落差もこの日の記録として残りました。 - 豚みそとわらじかつ
注文したのは、豚みそ丼とわらじかつ丼を一度に味わう合盛り丼。蓋を開けると、炭火で焼かれた豚肉の香りと甘辛いタレの匂いが立ち上がります。まずカツをかじると衣はサクッと割れ、続いて豚みそへ。味噌の濃い風味に白米を合わせ、箸を往復させました。山の湯で始まった後半戦を、秩父の二大名物で締めました。



山あいの湯に浸かり、分析書を読み、秩父の味を頬張る。
次の休みは、両神温泉で「奥秩父の静寂と滋味」をたどる旅に出かけませんか?
両神温泉 – アクセスと基本情報
| 温泉地名 | 両神温泉 |
|---|---|
| 所在地 | 埼玉県秩父郡小鹿野町 |
| 入浴施設 | 道の駅 両神温泉 薬師の湯 国民宿舎 両神荘 |
| 主な泉質 | アルカリ性単純温泉 pH:9.1(両神温泉 すすきの湯・2016年分析) |
| お湯の特徴 | 源泉温度25.3℃、成分総計0.960g/kgの無色澄明なアルカリ性単純温泉です。 ナトリウム318.3mg/kg、塩化物イオン446.9mg/kgを含み、実際の浴槽ではすべるような独特の湯ざわりを体験しました。 施設では加温して利用されています。 |
| 香り | 温泉分析書の知覚的試験では「微硫化水素臭」と記録されています。 強く主張するタイプではなく、実際の浴槽でも香りは穏やかな印象でした。 無色澄明の見た目とともに、静かに源泉の個性を確かめたくなるお湯です。 |
| 雰囲気 | 日本百名山・両神山の麓、小森川が流れる奥秩父の山あいにある静かな温泉地です。 大規模な温泉街ではなく、山や森林に囲まれた里山の風景が主役。 両神荘や道の駅・両神温泉薬師の湯などを拠点に、落ち着いた湯巡りを楽しめます。 |
| 楽しみ方 | 両神山や四阿屋山の山歩き、丸神の滝など奥秩父の自然と温泉を組み合わせるのがおすすめです。 早春の節分草、秋のダリア、冬の尾ノ内氷柱など季節の見どころも豊富。 湯上がりには、わらじかつ丼や豚みそ丼、手打ちそば、こんにゃくなど秩父・小鹿野の味も楽しめます。 |
| ※源泉や施設によって記載と異なる場合があります。コンディションによって印象は変わる場合があります。 ※掲載している情報は訪問時のものです。最新の情報は公式サイト等で確認をお願いいたします。 | |
- アルカリ性単純温泉を楽しむ
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両神温泉を代表する「すすきの湯」は、pH9.1を示すアルカリ性単純温泉。無色澄明の源泉で、成分総計は0.960g/kgと1g/kgに近く、ナトリウムと塩化物イオンが主体となる組成にも注目です。
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温泉マニアあるある! – 両神温泉レビュー編



マニアの人はこうなっちゃう…かも!?
- 25.3℃の「0.3」に異様に反応する
-
温泉分析書で源泉温度25.3℃を見つけると、「おおっ、25℃を0.3℃だけ超えてる!」と急にテンションが上がります。友達が「25.3℃って、ぬるいってこと?」と聞いても、「違う!そこじゃない!25℃との距離を見て!」と力説。低温泉と冷鉱泉の境界付近というだけで、数字が急にドラマチックに見えてきます。
- 0.960g/kgを見て「惜しい!」と言う
-
成分総計ではなく、溶存物質0.960g/kgの文字を見て「くぅ~!あと40mg/kg!」と謎の悔しさを見せます。友達からすれば「何が惜しいの?」ですが、マニアの頭には1g/kgという数字が浮かんでいる状態。「単純温泉なのに、ここまで来てるのか……」と、分析書相手に勝手に寸止め感を味わいます。
- Na⁺97.51mval%で電卓を出したくなる
-
陽イオンを見ると、ナトリウム318.3mg/kg、当量比97.51mval%。「97.51%!?」と今度は別の数字に食いつきます。カルシウムやカリウムまで確認して、「陽イオン側、めちゃくちゃNa優勢じゃん」とニヤニヤ。友達に「何がそんなに面白いの?」と聞かれても、説明を始めると長くなるので困ります。
- Cl⁻85.58mval%まで見てドヤ顔
-
ナトリウムだけでは終わりません。陰イオンを見ると塩化物イオン446.9mg/kg、当量比85.58mval%。「ほら!こっちもCl⁻が優勢!」とドヤ顔。友達が「アルカリ性単純温泉なんでしょ?」と言うと、「そう!そこが面白いんだよ!」とさらに加速します。泉質名だけでは終われない。それが分析書を読む楽しさです。
- 「微硫化水素臭」の一文字を見逃さない
-
無色澄明、無味……と読み進めたところで「微硫化水素臭」を発見。「微!!」と肉眼では見えない何かを見つけたような反応をします。実際の浴室でも鼻を働かせ、「どこだ……どこにいる……」と香りを探し始める始末。強い硫黄臭ではないからこそ、わずかな個性を拾いたくなるのです。
- 湯口を見る時間だけ妙に長い
-
内湯や露天風呂に入ったら、景色だけでなく湯口や浴槽の縁にも視線が向かいます。どこから湯が入り、どんな流れをつくり、オーバーフローはどうなっているのか。岩の隙間に析出物らしきものを見つければ、さらに観察時間延長。友達から「風呂入りに来たんだよね?」と確認されます。
- 無色澄明でも情報量が多すぎる
-
見た目は無色澄明のアルカリ性単純温泉。それだけ聞けば穏やかなプロフィールですが、pH9.1、溶存物質0.960g/kg、微硫化水素臭、Na⁺97.51mval%……と分析書を読んだ後では話が別。「透明なのに忙しいな、この湯」と、頭の中だけ情報量過多になります。
- 湯ざわりと分析書を勝手に答え合わせする
-
浴槽では、手足を動かしたときの抵抗や、すべるような独特の湯ざわりをじっくり確認。その後で分析書をもう一度眺め、「pH9.1か……Naも多いな……」と勝手に答え合わせを始めます。もちろん数値だけで湯ざわりの原因を決めつけません。それでも照らし合わせずにはいられないのです。
- 「ガス発泡有」で全部持っていかれる
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25.3℃も面白い。0.960g/kgも惜しい。Na⁺97.51mval%もかなり濃いネタです。ところが知覚的試験に「ガス発泡有」の文字を発見した瞬間、「……発泡!?」と全部そっちへ持っていかれます。炭酸泉と書いてあるわけでもないのに、「何の泡だろう」と急に分析書との距離が近くなります。
- 結局「泡」の話しか覚えていない
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帰宅後、友達から「両神温泉ってどんな温泉だった?」と聞かれます。「pH9.1で、溶存物質が0.960g/kgで、Na⁺が97.51mval%で……」と説明するつもりだったのに、口から出たのは「分析書に『ガス発泡有』って書いてあったんだよ!」。まわりからは”泡ジャンキー”と呼ばれます。



管理人いじりですね…
そう呼ばれるのも悪くない!








